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世界はつながっている

 ナカムラ書房から出版された最初の4冊は、アベさんの「反逆の物語」と、ナカムラさんの短編集。それに、自称天才作家のイワカベさんと、ゴチャゴチャした文章を書いていたワタナベさんの長編が1冊ずつだった。

 ナカムラさんに関しては、確実に長編の方がデキがよかったのだけど、「どうしても、最初は短編から出したい!」という本人の意志を押し通し、最初の1冊目は短編集ということになってしまった。この前のプロとの作家対決で使用した作品も入っている。


 売り上げの方は、まあ…ボチボチといった感じだった。というか、正直、あまり売れていなかった。完全に大赤字だ。このままだと、印刷代も回収できそうにない。

「すみません。私の力不足で…」と謝ると、ナカムラさんは笑いながらこう返してくる。

「なぁに、ミカミカ君のせいじゃないさ。本業に比べれば、こっちの方は趣味みたいなもんだし。少々の赤字は気にしてないよ。それよりも、次に出す本の準備を始めておいてくれないか」と。

 ナカムラさんは、まだまだ本を作る気なのだ。それどころか、自分の書いた小説が形になったことで、ますますやる気になっていた。どうやら本作りのおもしろさに目覚めてしまったようだ。


「そうは言われても、このままじゃいけないわね」と、私は心の中で思っていた。

 “いい本は作っている!”そういう自負はあった。けれども、実際に販売数は伸びていかない。数が売れていないのだ。

「このままじゃいけない。なんとかしなければ…」

 そういう思いばかりがつのり、どんどんあせってしまう。

 私は小説読み師の仕事をこなしながら、同時に次の作品の出版準備も進めていった。

 けれども、それはいい影響も与えてくれていた。

「そうか!がんばれば、実際にプロの小説家としてデビューできるんだ!自分の書いた小説が本になるんだ!」と、私の元を訪れる依頼者たちの心に火をつけたのだった。

 おかげで、ますます依頼者の数は増え、誰の依頼を受けるか以前よりもさらに厳選しなければいけなくなってしまった。それでも、悪いコトよりもいいコトの方が大きかった。


 私は自分のやっている行動に“つながり”を感じるようになってきていた。

 小説を読む依頼をされ、作品やそれを書いた作家にいろいろとアドバイスをする。やがては、それらが本の形となり世界へと流通していく。それを見て、他の人たちもよりいっそうがんばる。努力するようになる。以前よりも、もっともっと作品に熱意が込められるようになってゆく。

 そういった一連の流れが、よいスパイラルを形成し、どこまでもどこまでも高め合っていくようだった。

 “世界はつながっているんだな”と私は感じていた。事実、そうだったのかもしれない。

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