序章
表と裏では異なることが多いい。世界とは表と裏の両面を持ち均衡を保って、存在している。
桜が舞い散る春の陽気。
世界の表側と呼ばれる、通称"ユートピア"。
桜並木の道を歩く1人の影、
「つまんね。」
それは誰かに向けたことではない。自分自身に向けた言葉のようだ。
白条椿には、親がいない。
産まれた時に母を失い、椿を育てていた父も生活が苦しくなっていき、耐えきれず自殺を選んだ。
まるで、世界が白条椿の育て方を知らないかのように。
だが、それでも白条椿は成長できている。父の知人らしき人に拾ってもらえたのだ。
高校にも通い、クラスに友達を作って、今を生きている。
「何をボーッと突っ立っているんだい?椿君」
あぁ?と、つい邪険に答えそうになったが、声の主が誰かわかったため、寸止めで止まった。
「なんだよ、弥生」
こいつは神崎弥生。小学校からずっと同じクラスの、超がつくほどの腐れ縁ってやつだな。
「なんだよはひどいよ椿君。ボーッとしてるから幼なじみとして、気にかけてあげたんじゃないか」
「余計なお世話だ」
「な、なんでよ!?ひどいよー」
相手してると、こっちが疲れるんだよ。
そんなくだらないやりとりが数分続いてたとき、椿の端末に一件のメールが来た。
(?知らないアドレスだな。)
弥生も一緒に俺の端末を見ている。というかこいつは断りもなしに、人の端末覗くなよな。
弥生を気にしてても仕方がないと思い、メールを開くことにした。開いた瞬間、2人は目を丸くした。
『ユートピアに住む白条椿君へ
今の世界が楽しいかい?
もしも、退屈感や虚無感を感じるなら
あるゲームに参加してみないかい?
参加してくれるなら
この文の下にあるOKを押してくれ
では待っているよ』
「「は!?」」
2人の口から漏れた言葉は、当たり前かのように完全一致した。
「ってなんだこのあからさまに怪しいメール。椿君こんな怪しいメールに反応しちゃダメだよ!」
「悪いな弥生。説得してもムダだ。このメールに興味が湧いた!」
そう言って椿はOKを押した。瞬間弥生の視界から椿は消えた。
「え?……椿君?」
桜舞い散る春の陽気とは間逆の、鮮やかな紅葉に満ちたイチョウ並木。
世界の裏側と呼ばれる、通称"ディストピア"。
「あー暇だな〜」
「急にどうしたの?」
天瓏院零南は幼なじみの神崎弥生と下校中だ。
零南が突飛な事を口にしたため、弥生は唖然としてしまった。
「世の中何も無さすぎて、つまらないって思ってさー」
「零ちゃんはアグレッシブな人生送りすぎたもんね!」
確かにそうかもしれない。
ママは私を産んですぐに死んじゃったみたいだし。パパは私の育児が大変で自殺……
「……………ちゃん……………零ちゃん‼︎」
「!?ん!?どうしたの弥生」
「急に深く考えすぎ!私のせいかもだけどさ、こうもっと女子高生らしく明るく行こうよ。ね!」
弥生はすごく気を使ってくれる。すごく暖かい。
そうしていると零南の端末に一件のメールが来た。
(なんだろ?知らないアドレスからだ)
弥生にも見せながらメールを開くことにした。
内容に2人は目を丸くした。
『ディストピアに住む天瓏院零南君へ
今の世界が楽しいかい?
もしも、退屈感や虚無感を感じるなら
あるゲームに参加してみないかい?
参加してくれるなら
この文の下にあるOKを押してくれ
では待っているよ』
「「は?」」
2人の口から漏れた言葉は、当たり前かのように完全一致した。
「何このあからさまに怪しいメールは。零ちゃんこんなの無視だよ。」
確かにそうしたほうがいいのかもしれない。
けど私は
「ごめんね弥生。なんか私の中の本能みたいのが、落ち着かないの。」
弥生に笑みを向けながらOKを押した。
瞬間弥生の視界から零南は消えた。
「え?……零ちゃん?」
白条椿は目が覚めると、見知らぬ女の子と何もない空間にいた。
天瓏院零南は目が覚めると、見知らぬ男の子と何もない空間にいた。
数分の沈黙が続いたところで、先に口を開いたのは椿だった。
「誰だよあんた」
「!?開口一番でそれ?あんたこそ誰よ。私の事を聞くなら、まずそっちから名乗るなさいよ」
よくあるテンプレセリフを言えて零南はご満悦だった。
椿は少し驚いていた。少しの沈黙を置いてまた先に口を開いたのは椿だった。
「白条椿」
「は?」
「は?じゃねぇよ。俺の名前だよ。俺が名乗ったんだから名乗れよ」
え?なにこいつ野蛮で横暴の俺様強えええって感じのやつなのに、自分から名乗ってくるとか……
「はぁ。天瓏院零南これでいい」
「そうか。じゃあ天瓏院。お前はここどこかわかるか?」
「わかるわけないじゃん」
だよな。そりゃそうだ。あの変なメールのOK押しただけだし…!?
「そうだ天瓏院
「零南でいい」
「……は?」
「だから零南って呼んでいいって言ってんの。天瓏院って呼ばれるのあまり好きじゃないから。」
「そうか。じゃあ零南。お前ここに来る前変なメール来なかったか?」
「来たよ?」
やっぱりそうか。あのメールのOK押した奴がここに来るってことか。
『その通りだよ。白条椿君。君はこの状況でも、冷静でいられるみたいだね。』
「「!?」」
誰!?とも言いたいけど、人なのか。
顔には狐のお面。服装はスーツ。以外と似合ってる。
そんなことは置いといて、なんだこいつは。
まあとりあえず一発殴ってみるか。
『物騒なことは考えないでくれないか?椿君。これからメールの内容の説明しようと思っているんだから。』
「そうか。まあこっちの心が読まれてんなら変な真似できねえしな。」
「え!?心読まれるの!?なんでそうわかるの?」
俺の考えてたことを言われりゃな。つっても説明が長かったら殴るけど。
『君は殴ることしか頭にないのかい?まぁ説明は手短かにするつもりだよ。まず君達2人はユートピアあるいはディストピアのどちらかでしか存在していないのだよ』
『そのためまずは君達2人にはユートピアまたはディストピアのどちらで生きるかを決めてもらう』
「「………え?」」
初めて書いた小説なので、いろいろ至らない部分もあると思います。けれどがんばって連載していきたいと思うので、これからも呼んで頂ければありがたいです。