子猫
私は知っていた
朝靄にポツリと震える影がひとつ
道の端っこで丸まって
父か母かを待っている
道行く人は今はなく
舞い降りるのは朝日だけ
私は知っていた
通りすぎたその道で
あなたの待ち人はもう来ない
何故ならあなたの待ち人は
骸となって、消えてしまっているのだから
私は知っているよ
「ねぇ、君は誰を待っているの?」
それでも君は、待つことを
「にゃぁ」
◇ ◇ ◇
学校にて
友人「あのさ、私今日子猫見たんだ」
私「そうか」
友人「うん、可愛かった」
私「そうだな、子猫は可愛いよな」
友人「でね、プルプル震えてたから、なんかかわいそうだったから、ミルクあげてきたのっ」
私「そうか」
明るく笑う友人に、なぜだか震える子猫が重なった
私「そっか」
友人「? そうだよ」