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出会い2

「とりあえず、自己紹介でもしましょうか。」




そうだ。俺は彼女の名前さえ(もちろんプレイヤーネームだが)知らない。


「あぁ、そうだな。俺の名前はリュウ。レベルは46で、武器は両手剣だ。」


「私の名前はリンです。レベルは43、使ってる武器は片手剣です。これからよろしくお願いしますリュウさん。」


リンか・・・可愛い名前だな・・・


「そ、そうですか?」


はっ!?いかん!口に出してたみたいだ・・・


「そ、それはそうともうパーティーを組むんだから敬語は使わなくて良いし、俺のこともリュウって呼んでくれ。」


彼女・・・リンはくすりと小さく笑い、パーティー登録のための手続きを始めた。

しばらくすると、リンからパーティー勧誘メールが届いた。メニューを操作し、パーティーに加入する。その後、リンとフレンド登録も済ました。


「じゃあ、えっと、リュウ。取りあえず、少しモンスターと戦ってみない?」


リンがそう提案してきた。俺は今さっきレベル上げが終わったばかりだったから、あまり乗り気ではなかった。そんな気持ちが顔に出ていたのか、


「・・・だめ?」


と、少し首をかたむけ、上目遣いで訪ねてくる。

・・・くそっ、そんな可愛い顔で聞かれて断れるわけあるか!


「分かった。ん~そしたら、どこで戦うか・・・」

初めてパーティーを組んだばかりで今行ける最上級のダンジョンに行くのも少し不安だし、かといってひとつ前のステージに戻ってダンジョンまで行くのもめんどくさいし・・・。

このゲームでは、一度行ったことのある町には、町の一角にあるゲートを使えば行けるんだけど、前のステージって、町からダンジョンのある場所までの道が長いんだよな~。

移動石を使えば一瞬だけど、移動石はひとつしか持てないから出来るだけ使わないでおきたいしな~。


「何を悩んでいるの、リュウ?」


一人で考え込んでいる俺を心配に思ってくれたのか、リンが声をかけてくれる。


「いや、どこのモンスターと戦おうかな~と思って。」


今考えていたことをリンに話す。


「プッ!あはははははは!!」


リンがいきなり笑い出す。え、なに?俺、なんか変なこと言った?

リンはまだ笑いが収まらないようで、少し苦しそうに話始める。


「ふふっ、そんなことに、悩んで、たなんて。あははは!だ、だってそんなの、ここからダンジョンにいくまでの、途中の道で戦えば良いじゃない。」


そ、そうか、そのとおりだ。う~ん全く気づかなかった。でもさぁ~、そのさ~そんなに笑わなくても良いじゃんさ。

俺の隣では、まだリンが少し笑っている。

俺が拗ねていることに気づいたのか、


「ごめんごめん、だってあんなに深刻そうな顔で悩んでんだもん。やっぱりパーティー組むのがいやになっちゃったのかと思ってさ。」


それで俺の顔を覗き込んだとき、あんなに不安そうな顔だったのか。思わず守ってあげたくなる顔だった。


「俺はリンとのパーティーは、死ぬか、ゲームクリアか、リンの方から解散したいって言われるまで、パーティーやめる気はないよ。」


「ホント!!うれしい!」


やっぱ可愛い。ヤバイ、太陽みたいな笑顔だよ。眩しいから、失明しちゃうから。


「ま、そしたら行きますか。」










しばらく歩いていると、モンスターに会った。


「お、ロックゴーレムか、丁度良い。」


目の前に現れたのはロックゴーレムというモンスターだ。俺の探索スキルで見たところ、ロックゴーレムのレベルは34。十分安全だろう。少し不安要素があるとしたら、ここが森の中で周りが見えにくいということぐらいか。

でもまぁ、ロックゴーレムでかいし見失うなんてことないだろ。


「よし、まずは俺が1人でやるよ。」


リンの手前、かっこいいところを見せておきたい。


「グワーー!!」


ゴーレムが叫びながら走ってくる。それに向かいこちらも正面から突っ込んでいく。

ゴーレムは俺の身長の二倍程のでかい体を持っていて、その腕は俺の胴ほどもある。ゴーレムの右手が持ち上げられ、降り下ろされそうになった瞬間に、俺はゴーレムの右側に滑り込む。

ゴーレムの攻撃は、からだがでかいわりには早い。だが、俺のステータスはSPD、つまり速さにかなり割り振ってあるため、なんなくかわせた。


「ハッ!」


なにもない地面を叩いたゴーレムの右手に剣を降り下ろす。ガツン!という音と共にゴーレムの右手が切断され吹き飛ぶ。


「えっ?一撃で?」


リンが不思議そうな顔でこちらを見ている。

今のは多分、称号の「ラッキー」の効果が出たんだと思う。

「ラッキー」は凄い称号で、ドロップアイテムの出る確率が上がったり、たまにダメージを軽減してくれたり、今みたいに、一撃で部位破壊を起こしたりと、様々な場面で活躍してくれる。


「グワー!!!」


ゴーレムがまた突進してきた。今度は左手を振り上げ、殴ってくる。

俺は、今度は避けずにスキルを発動させる。下から剣を勢いよく振り上げる、「ライトテイル」だ。

ゴーレムの左手を弾きあげ、その名の通り、そこには光の尾が残っている。ここで俺とゴーレムは同時に、俺はスキル使用後の硬直で、ゴーレムは腕を弾かれた衝撃で動くことが出来ない。

本来なら、このあとで俺の方が早く硬直が解けるからこのまま攻撃しようと考えていたのだが、その間に高速でなにかが入り込んだ。


カーン!


「リン?」


そう、リンが硬直中の俺たちの間に入りゴーレムに攻撃を加えているのだ。

リンは右手に持った片手剣で、ゴーレムに反撃の隙も与えず素早く切り込んでいく。

右下から左上に切り上げ、そのまま垂直に右へ剣を動かし、今度は右上から左下に切り下げ、手を引いて突きを繰り出す。

ここに来てようやくゴーレムが反撃に出たが、降り下ろされた拳はあっさりとリンの盾に受け止められる。


「リュウ!スイッチ!」


リンがこちらに叫ぶ。


「あ、ああ!」


リンの戦いに見入っていた俺は、少し反応が遅れたが、スキルを発動させながら走り出す。


「おぉぉおぉっ!」


スキルは「フレアドライブ」

剣に炎を纏わせ、突進する技だ。わずかだがINTの値も技の威力に関係する。属性もそのまんま火がついていて、火が弱点のモンスターには効果絶大だ。

俺はゴーレムに突っ込んで剣を突き刺す。すると剣の先が小さく爆発し、その衝撃でゴーレムのHPは全て削りきられた。

すぅぅ・・・とゴーレムの体が消え、戦闘終了の合図となる音楽が鳴り響いた。

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