出会い
何か暇になったんで続き書いてみました。
いや、ホントにすいません。読んでくれている方が少なかったとは言え、9ヶ月放置はやり過ぎにもほどがありました。
ここからは不定期ですか一応1ヶ月以上間を開けないよう頑張っていくんでお願いします。
それから3ヶ月ほどが過ぎた。
「ふぅ~疲れた~」
ついさっき、レベル上げのための戦闘を終えた俺は疲れきっていた。
「きっついね。あんだけやって昨日と合わせてレベルは1しか上がらないなんて。」
ちなみに今俺のレベルは46、今のこのゲームの進行状況は、やっと10ステージあるうちの5つめだ。このゲームの適正レベルは、1ステージ目が5レベ、2ステージ目が10レベ、3ステージ目が20レベ、4ステージ目が30レベ、ここ、5ステージ目が40レベとなっている。俺のレベルは今日上がって46レベとなっているんだが・・・
「俺はソロだからな~何か少しでも事故るとヤバイからな~。」
誰に言い聞かせるわけでもなく呟いた。以前もいろいろとやらかしたことがある。まだまだゲームを始めたばかりの頃、ダンジョン攻略を終え帰ってきて、疲れのあまりすぐに休んじまって翌日回復アイテム買わないままダンジョン行っちゃてさ、
「も~あのときは焦った焦った(^_^;)」
今じゃそんなことは無いけどな!
「あの~すみません・・・」
あのときは運よくダメージ受ける前に気づいたから良かったけど
「あの~・・・」
体力減ってから使おう!と思ってなかったらと思うと今でも・・・ヒぃ!
「すみません!!」
うぉっ!なんだ!?
「さっきから声かけてるのに無視するなんて・・・」
目の前にいきなりあらわれた女性は泣きそうな顔で言ってくる。
さっきから声かけてた?そう言えばさっきから横で「あの・・・」とか、「すみません」とか聞こえてた気がする・・・
そ、そうか、あれは俺に向かって言って来てたのか。普段人から喋りかけられるなんてこと滅多にないから気がつかなかったぜ。
「あぁ、悪い悪い。別に無視してたわけじゃないんだ。」
そういうと女性は少し顔を上げる。
「じゃ、じゃあ何で返事をしてくれなかったんですか?」
うっ、普段話しかけられることがないから、自分だって気がつかなかったなんて恥ずかしくて言えない!
こうなったら・・・
「ちょっと考え事をしててさ。」
どうだ・・・?
「そうでしたか。てっきり邪魔者扱いされてるのかと。」
ふぅ、現実世界で培った言い訳スキルが役に立ったぜ。
現実世界じゃ言い訳、言い訳、言い訳の連続だったからな~と、少し思い出に浸っていると、
「・・・んでください!」
「ん?何?」
「だから、私とパーティー組んでください!」
へ?
いやいやいやいや?ちょっと待とうぜ?パーティー?何で?訳がわからん。
「だめ・・・ですか?」「いや、その、えっと、なんで?」
「そ、れはですね、私もパーティーに入っていたんですよ。ついこないだまでは・・・」
その瞬間、背筋にゾクリとしたものを感じた。「その先は聞いてはならない」と、体の奥底から声が聞こえる。
しかし俺の口は開かなかった。
「昨日の出来事です・・・私たち、《ホワイトシープ》という名前でパーティー組んでいたんですが、昨日はここ、5ステージに入ったんです。いつも私たちは4ステージのダンジョン内でレベル上げをしていました。」
女性は淡々と話始めた。
「リーダーだった、【フウ】が、全員のレベルが40に届いたからといって、ここ、5ステージに挑戦してみようと言い出したのです。」
少し間をおき、また女性は口を開いた。
「私はパーティーの中で一番レベルが高く、44になっていました。しかし、他の3人は、40、41、40と、ギリギリだったのです。私は反対しました。そこに出てくる敵より強いと言ってもたかだか1、2レベ程度。トラップに引っ掛かったらひとたまりもない、危ないからやめようと。」
「だけれど皆大丈夫だと言い、止めることができずに5ステージのダンジョンに入ることになってしまいました。結果は・・・言わずともわかっているようですね。」
彼女は少し首をすくめた。
「私たちはモンスターハウスに入ってしまいました。しかもそこに入り込んでしまうと、移動石<テレポストーン>が使えなく、さらにはその空間から出ることもできなくなってしまいました。」
・・・俺も噂には聞いていた。今回のステージから、移動石が使えなくなる場所が出てきたらしい。話を聞く限りでは、モンスターハウスがその[移動石無効化エリア]になっていたらしい。モンスターハウスと言うものはもともと、「そのモンスターハウスに出てくるモンスターを全て倒す」
ということをしないと移動石を使う以外脱出する手段が無かったのだ・・・
そこにさらに[移動石無効化エリア]とは・・・
「そこで、苦戦しながらも戦っていました。しかし、回復薬を飲む隙もなくじわじわと一人のHPが減っていき・・・」
回復薬は飲んでいる間(およそ4、5秒)に攻撃を受けると回復が出来ないのだ。モンスターが1、2体ならば何とか戦闘中に隙をつくれないことはないが、モンスターハウスでは不可能だ。
「あっけなく0になりました。そこから統率が乱れて、残りの2人も死んでしまいました。しかし、そのあとすぐに他のパーティーが運良く駆けつけてくれて私だけは何とか助かったんです。」
「私が悪いんです。」
「違う・・・」
彼女は悪くはない。死んだやつらが悪いんだ。言い方が悪いが、こんなのは自分の力を過信した、自業自得だ。
「いいえ、私があのとき強引にでもひき止めていれば・」
「違うっていってんだろ!!」
俺はつい声を荒げてしまった。女性が驚いているなか、ゆっくりと口を開く。
「俺も、一度だけあるプレイヤーとパーティーを組んでいたことがある。」
そう、一度だけ。
「その時は、俺もあんたんとこのリーダーさんと同じで自信過剰だったんだよな。色々あって。」
いきなりでかいスライム倒したりそのあとも何だかんだあって。
「んで、ある日宝箱を見つけてさ。もう一人のやつ、《ハヤト》っていったんだけど、そいつは罠の可能性が高いからやめようって言ったんだ。」
あそこには人が入った形跡がなかった。町で買ったマップにもそのエリアがある場所には何もかかれていなかった。
「だが俺はそいつの言うことを押しきって宝箱を開けた。すると・・・」
女性も息を飲んで話を聞いている。
「・・・中からレア武器が出たんだよ。」
どこかほっとしたようすの女性に、話を続ける。
「だが、そのあとが問題だった。そいつをしまった瞬間、上からポイズスパイダーが5~6匹降ってきてな。攻撃を食らって毒状態になった俺たちはパニックで移動石を使うのも忘れて戦ってたんだ。」
女性の肩がピクリと動いた。
「その結果、俺よりレベルの低かったハヤトが先に死んだよ。そのあとで俺は移動石のことを思い出して転移したから助かった。」
「俺が、あのとき俺があいつの言うことを聞いていれば、ちくしょう!!・・・・・・だから、言い出した方が悪いんだ。止めようとした方に罪はない。」
「では、私とパーティーを組んでいただけますか?」
「俺は、仲間を、すでに一人殺してるんだぞ?」
「そんなことを言えば、私なんて3人もの人を殺してしまっています。」
「だから、それは違・・」
「いいえ、同じです」
女性はきっぱりと言った。そして、少し自慢げに、
「私はそう簡単には死にませんから。」
そう言った。俺は不思議に涙が止まらなかった。ハヤトが死んだその日にさえ涙は出なかったのに、今はそれが止まらない。
「うぅっ、くっ、こんな・・・やつでいいなら・・・パーティー、組んでくれ。」
彼女はヘルムを外し、満面の笑みで言った。
「勿論!」
不覚にも、俺はその笑顔に見とれてしまった。今まで防具をかぶっていたため顔が見えなかったのだが、そのまま数十秒見とれていた。それくらいかわいかった。
整った顔に、腰ほどまで伸びた髪、この世の人とは思えないほど可愛かった。俺が意識を取り戻したのは、彼女が困惑した顔でこちらを見つめていることに気づいたからだ。
「あ、いや、すまん。ちょっとな。」
あなたが可愛すぎて見とれてました。なんて恥ずかしくて言えたもんじゃない。
「これから、よろしくお願いします。」
「おう、よろしくな。」
次話も二人のお話です。