表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

第5話 結局、太陽って無限でタダなんだよな?

「結局さ、全部の源って太陽光じゃない?」


次男は空を見上げながら、ぽつりとつぶやいた。

独り言のようでいて、隣の執事に向けている。


「太陽ってタダだろ? 無限に熱くて、無限に降り注ぐんだよ。

 だったらさ、使わない理由なくない?」


執事は控えめに口を開く。

「……天候や昼夜が……」


「まあまあ、それはあとで考えるとしてさ」


次男は軽く手を振り、足早に巨大な施設群が並ぶ敷地へ向かった。



最初に案内されたのは、巨大なレンズのような装置だった。

太陽光を一点に集め、白く輝く焦点が地面を焼いている。


「これが【巨大レンズ太陽炉】。

 太陽光を集めれば無限に熱くなるだろ? あれタダなんだよ。

 だから、集めた分だけ発電できるんだよ」


執事はそっと目を伏せた。

(……集めても限界が……いえ……)


次男はもう次へ進んでいた。



空を覆うように巨大なドームが建っていた。

透明な膜が太陽光を捕まえ、内部に閉じ込めている。


「これが【全天候型太陽光ドーム】。

 空全部を覆えば、逃げる光がなくなるだろ?

 だからタダで全部使えるんだよ」


執事は小さく息をつく。

(……光は散乱し……まあ……)



次に案内されたのは、地面に向かって深く掘られた坑道だった。

内部からは熱気が立ち上っている。


「これが【地熱発電坑道】。

 地下って永遠に熱いだろ? あれタダなんだよ。

 だから掘れば掘るほど得なんだよ」


執事は眉を寄せる。

(……地熱は局所的で……やめておきましょう……)



さらに奥へ進むと、火山の熱を直接利用する装置があった。

赤く光るパイプが脈動している。


「これが【火山熱利用装置】。

 マグマって無限に熱いだろ? タダだよな」


執事は静かに目を閉じた。

(……火山も冷え……いや、もう……)



次男は勢いよく別の施設へ向かった。


巨大なタンクと水路がつながり、雨水が循環している。


「これが【雨水循環発電】。

 雨って勝手に降るだろ? あれタダなんだよ。

 だから降った分だけ発電できるんだよ」


執事は控えめにうなずく。

(……降水サイクルは太陽光で……まあ……)



さらに進むと、巨大な温室のような施設があった。

内部では植物が高速で成長し、その動きで発電機が回っている。


「これが【バイオマス成長力発電】。

 植物って勝手に伸びるだろ? あれタダなんだよ。

 だから伸びた分だけ発電できるんだよ」


執事はそっと息をついた。

(……光合成の仕組みを説明しても……)



そして最後に、巨大な建造物が姿を現した。


複数の塔、ドーム、坑道、温室が一本の管でつながれ、

中央の巨大炉に集約されている。


「これが【統合エネルギー炉】。

 太陽光も地熱も雨も植物も、全部タダだろ?

 だったら全部まとめれば永久機関になるよな」


執事は静かに目を伏せた。

(……自然エネルギーはすべて太陽光の派生なのに……)


次男は満足げにうなずいた。


次男は歩き出す。

執事はその背中を追いながら、

この誤解が世界を変えてしまう予感に、胸がざわついた。



次男の誤解は、またひとつ積み上がった。

その誤解がどこへ向かうのか、まだ誰も知らない。

■巨大施設

 【巨大レンズ太陽炉】【全天候型太陽光ドーム】【地熱発電坑道】

 【火山熱利用装置】【雨水循環発電】【バイオマス成長力発電】【統合エネルギー炉】


※この物語はフィクションです。

 次男の誤解が世界を曲げるのは、物語の中だけの優しい現象です。

 現実では、どうか真似しないでください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ