解明!!恐竜の鳴き声
※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。
「助手君、これを見たまえ」
「これは、ちょっと大きめの…琥珀の板ですか?」
「そうじゃ。
そしてこれは世紀の大発見じゃ。
なんと!恐竜の声が記録された板なのじゃ」
「えぇっ!!そ、そ、そんなことがありえるのですか!?」
「まあ落ち着きなさい。順を追って話そう。
この琥珀の板は、白亜紀後期の地層から発掘されたものじゃ。
炭素年代測定法で調べたら、6600万1年前の12月27日のものと分かった。
隕石衝突の3日前じゃな。」
「そんな細かいところまでわかるんですかっ?」
「炭素年代測定じゃからな。」
「凄いや、炭素年代測定法…。」
「そして、この琥珀の板に細〜い溝のようなモノが見えるじゃろ?
これを電子顕微鏡で観察したところな。
どうも、レコードのように音の振動が記録されていることが分かったのじゃ。」
「凄いや、うちに電子顕微鏡なんて有ったんですね。
でもなんでそんなことが?」
「驚くところ違くない?
…まぁ、これは推測じゃが、
この“軟らか硬い“琥珀の表面をな、たまたま鋭利なもの。まー、黒曜石の破片とか?植物のトゲとか?、が撫でた時に、これまた偶然にも恐竜が鳴き声を上げた。
その振動が【鋭利なもの】を震わせ、琥珀に音声記録として残ったのだと考えられる。」
「凄いや。博士って賢かったんですね。
で、どんな声だったんですか?」
「お前酷くない?
…いや、ワシもまだ聞いておらんのじゃ。お主と一緒に聞こうと思ってのう。
ほれ、再生機も作ってみた。これから一緒に聞こう。」
「ワクワクしますね。どんな声なんだろう?」
カチッ、ピッ…
『…ザザッ………ゴガァーッ!!!』
「「おお〜っ!!」」
「凄いな!かっこいいな!?」
「想像通りって感じですね!!」
『ガオ~、グルルルル、ガー、ゴガガガ、ゴガ?、ガガガーゴ、ゴゲゴゲ、グルーガ』
「……なんか喋ってるように聞こえますね?」
「そうじゃな…。
そうじゃ。AIにかけてみるか。
文脈解析で、うまく行けば言語化できるかもしれん」
カタカタカタカタ…ターンッ
『「覆面の男」による犠牲者はついに四人目!連続殺竜鬼の犯行に、恐怖に怯える谷の集落。そこに名探偵の登場だ!!』バンバンッ
「「!!!!」」
「なんと!高度な言語を操っておる…」
「これは凄いですね。世紀の大発見どころじゃないですよ!」
『かくしてっ!手がかりを求め奔走する名探偵』バンバンッ『しかしなかなか尻尾を掴ませぬ覆面の男!』バンバンッ
「…これは…何をしているんですかね?」
「うーん…人間社会で言うところの、紙芝居でもやっているような感じじゃのう。」
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『さあ、物語も佳境に突入だ!覆面姿の犯人を崖に追い詰めた名探偵。覆面の下は一体誰何者かっ!!』ババンッ
「…面白いですね博士。一体誰が犯人なんでしょう?」
「ええぃ、ちょっと聞こえんから黙っておれ!良いところなんじゃ!」
『…と、い う こ と で、今日はここまで!!続きは来週のお楽しみ〜♪』
「「ええぇーーーーっ!!!」」
「なんということじゃあ!!一番良いところだと言うのにっ。
…続きっ…続きは無いのかっ!?」
「あ…博士。僕、嫌なことに気づいちゃいました…。」
「なんじゃ!?」
「この恐竜、続きは来週って言ってましたよね……」
「!!!、これが録られたのは」
「「…隕石衝突の三日前…」」
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「…のう、助手君。
世紀の大発見だと言うのに、この圧倒的な敗北感は、一体なんじゃろうのう?」
「結局、誰だったんでしょうね?犯人」
「言うな!!頭がモヤモヤしてくる。」
「…博士?これ…公表します?」
「うーん………大発見には違いないんだがのぅ……。これを聞いたら」
「「みんなモヤモヤするんだろうなぁ〜」」
その後、何度も何度もためらった末に、博士はこれを公表した。
そして、世界中の人は大いにモヤモヤしたという。




