ブルーベリーのお姉さん
「あれ、お母さん? お父さん……?」
人で賑わっている大型ショッピングモールの中、とある1人の女の子が、親とはぐれてしまったようだ。
女の子は必死で辺りを見渡しているが、一向に親が見つかる気配はない。
「うっ、うう……」
きっと知らない人ばかりで不安になってしまったのだろう。女の子が目に涙を浮かべたその時だった。
「おっ、そこの可愛いお嬢ちゃん、このブルーベリーの風船はいるかい?」
「お母さん、どこぉ?」
「おやおや、もしかして君迷子かい? 親御さんとはぐれちゃったのねぇ。どれ、お姉さんが親御さんを探すのを手伝ってあげよう! 君のお名前は?」
「し……知らない人に名前言っちゃダメってお母さんが言ってた」
「いやはや、よく出来たた子どもだねぇ! あっしはそこのブルーベリーのお店の店員だよ。まあとりあえず、この風船と、ついでに飴を受け取りな!」
店員は女の子にブルーベリーの形をした風船と、紫色の飴を渡した。
「あ、ありがとう……?」
「はっはっは、そこは思いっきり喜ぶ所だよ! ほら、わーーいって!」
「わ、わーい」
女の子は店員の高すぎるテンションについていけないようだ。店員はそんな女の子の頭をガシガシと撫でた。
「よしよし。そういや親とはどこではぐれちゃったんだい?」
この人はお店の人らしいし、危ない人ではないのかな。
女の子は、親しげに接してくれた店員への警戒を解いた。
「えーっと、わたしのなまえは、ユウリです。そこらへんで、足がつかれたからすわってたら、気づいたらはぐれちゃった……」
「お、名乗ってくれてありがと! よーしそーゆーことなら任せとけ!」
そういうと、店員は大声で叫び始めた。
「親御さああああぁぁぁん! ユウリちゃんはここ! ブルーベリー・スイーツの前ですよおおおおおおお!」
店員の大声に反応して、あたりの人がこちらを見る。
しばらく待っているとユウリのお母さんとお父さんが、こちらに走って来た。
「ユウリ、はぐれちゃダメじゃない! もーお母さん達必死で探してたんだから!」
「ごめんなさい、お母さん。疲れてイスですわってたらはぐれちゃった。でも、このおねえさんがふうせんと、あめをくれたんだよ!」
「すみません、ユウリを見つけてくれて。その上風船と飴まで頂いてしまって」
「いえいえ、大丈夫ですよ。あ、お父さんも飴入ります?」
「あっ、では頂きます。ついでにそこのお店で何か買っていきますよ」
「それは本当助かります! 是非、うちの店をご贔屓に!」
「ほら、ユウリ、お姉さんにありがとうして」
「あ、ありがとうございます」
「また迷子になったときはあっしを頼りな!」
わたしはそういえば、と思っておねえさんがくれたあめを食べる。
おねえさんがくれたあめは、しつこいブルーベリーのにおいで、でもやさしいあじがした。
迷子の女の子と、ブルーベリー店のお姉さんのお話。




