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脱皮支援店「うまれかわり」

 テロテンテロ、と綺麗なメロディが店内に流れる。

 確か、このメロディは海からのお客様のはずだ。

 店員は急いで店内にある、海に繋がっているスペースに入った。


「いらっしゃいませー! 脱皮支援店、うまれかわりへようこそ! 当店にはどのようなご用事でいらっしゃいましたか?」


「この子の脱皮です。脱皮が初めてなので、少し手伝って欲しくて」


 店員が母親のそばを見ると、すこし怯えた様子の子供がこちらを恐る恐る見つめていた。店員は、その女の子の緊張をほぐすように、しゃがみ込んで話しかける。


「こんにちは。ここは君の脱皮を手伝うお店だよ。私はメツラって言うんだ。君のお名前は?」


「……ルカ……」


「ルカっていうんだ、素敵な名前だね。このお店では、君の体に触ったり、お薬を使ったりすることがあるんだけど、それは嫌だ?」


「薬は……嫌」


「うんうん、そっか。じゃあお薬は使わないようにするね」


 店員がそう言うと、女の子は少し安心した表情を浮かべた。女の子が安心したことを確認すると、店員は立ち上がり、母親に向けて話し始めた。


「それでは脱皮支援を始めますが、ルカちゃんの種族はなんですか?」


「シロイルカとオットセイのハーフです。あの、親が片方脱皮しない種族でも、1人でちゃんと脱皮は出来るのでしょうか……?」


「はい、もちろんです! 自分1人でも出来るよう、サポートするのがこの店ですから。ルカちゃんもきっと、きちんと脱皮出来るようになれますよ!」


「それなら良かったです。えーっと、代金は何円ですか?」


「代金は500円となります。あ、親御さんもお子様の脱皮を見守りますか?」


「いえ、大丈夫です」


 店員はそうですか、と小さく頷き小銭の計算をする。


「はい、500円ぴったりですね! それじゃあルカちゃん、この海藻をくぐって私について来てね」


「う、うん」


 女の子を連れて、店員は店の奥へと入っていった。


「とうちゃーく! これから脱皮についてメツラお姉さんが教えていくねー!」


「よ、よろしくおねがいします」


「お、挨拶出来るなんて良い子だね〜。よし、ルカちゃんはお母さんやお父さんから、脱皮について聞いたことはある?」


「えーっと、お父さんがきれいにだっぴはたいへんって言ってた」


「そうだね、ルカちゃんのお父さんが言っているように、綺麗に脱皮するのは難しいんだ。どうしてもヒレの隙間とかに残っちゃうからね」


「じゃあ、脱皮は大変なことなの?」


「そう、でもとっても大切なことなんだ。ルカちゃん、試しにこの壁に体当たりしてみて」


「う、うん!」


 女の子が恐る恐る壁にぶつかると、口先から皮が取れてきた。


「そうそう、いい感じ。次は体を擦り付けてみて、上手いこと皮を尾びれの方まで寄せてみて」


「こ、こうですか?」


「そうそう、おー、上手だね! それじゃあ最後の仕上げ、壁の上の方でヒレの付け根に残っているのを取ってみようか」


「よいしょ……と、取れたかな?」


「うん、ちゃんと取れてるよ! お肌がツルツル!」


「お肌がツルツル!」


「すっごい上手にできたね。それじゃあお母さんに自慢しに行こっか!」


「うん!」


 肌が綺麗になってテンションの上がった女の子は、意気揚々と母親の元へと駆け寄って行くのであった。







 


 脱皮を手伝う店員さんと、客の女の子のお話。



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