大きな片刃剣
「魔王! 俺たちは、今日! お前を倒しにきたああああああ!! みんなぁ! 頑張るぞーーーー!!」
「「「「「おおおおおおおおおおおーーーーーーーー!!」」」」」」」
「いや待って待って待って。ストップ、一旦ストップじゃ。そのでっかい物体は何であるか?」
魔王は奇妙な光景に困惑しながら、若者達に質問をする。
「これはぁ! 全長25メートルのぉ! 片刃剣だ! 村のみんなでぇ! この戦術で今日までやってきた!」
「何でその武器でここまでこれたの?? 妾、門番としてサンドワームを雇ってたはずなんだけど。あの子地面に潜れたはずじゃが?」
「片刃剣の真下に出てきたから! そのまま剣で押し潰した!」
「うわぁ。死者にいうのもなんだけど……ドンマイ、傭兵のサンドワーム。てか何で妾を倒しに来たのじゃ! 何も悪さはしておらんじゃろ!」
「鍛冶屋のぉ! おっちゃんがぁ! 聖なる鉄をふんだんに使ってぇ作ってたからぁ! 試し切りにちょうど良いかなって! 村のみんな総出で来たぁ!」
「そんなしょぼい理由でこられたら妾も困るのじゃが! あと、老人に剣などという重そうなものを持たせてはならん! ぎっくり腰になっておるではないか!」
「こ、腰が……こ、これも村でたった1人の若者のためじゃ。う、うぅ」
「老人に気を使わせるでない! そこの老人、妾のしもべが代わりに持つから、妾の後ろの王座に腰掛けるのじゃ!」
魔王は若者を叱責しつつ、老人に声をかけた。
「あ、ありがたや……すまぬのう」
「じいさん! ぎっくり腰って気づけなくてごめん! 今度隣村の薬局から湿布をいっぱい買ってくるから!」
「ほら他のものも重かろう、とりあえず床に置いて待っておれ! 今来客用の椅子と机を出すのじゃ!」
「あ、俺らも手伝います!」
魔王と若者、あと30代ほどの数人はいそいそと準備をして、あっという間に全ての物を出し終えた。
「若者、魔王だからといって無闇矢鱈に試し斬りに来るのではないぞ。魔物の間で魔王は神の使いのような存在じゃからの」
「ほんへぇー。じゃあ魔王城は教会みたいな感じなんですか?」
「うむ、人間の建物で例えるとそうなるじゃろう。じゃから、お主らはしばらく魔物から恨まれるじゃろうな」
「そ、そんなぁ……それじゃあ僕のせいで村の人達が襲われちゃうのかあ……」
「いや、今どき人を襲うなどという過激派はおらんじゃろう。居たとしたら言ってくれ。妾がその者を滅ぼしに行く」
「え、そ、それじゃあ魔物は何をしてくるんですか?」
「多分、爪で村の作物に傷をつけて売れなくさせる程度じゃろう。安心せい、魔物共も餓死しない程度には残すじゃろうから」
「じゅ、十分困る……」
「勝手に妾を襲った罰じゃ。せいぜい苦しむがよい。あ、剣は妾が持って帰ってやるから安心せい」
それを聞いた近隣の村の人達は、とぼとぼ村に帰り、片刃剣が村の広場に置かれていたことに驚いたとさ。
大きな片刃剣を持って来た村の人達と魔王のお話。




