アブラナお悩み相談室
あ、あれ? ここはどこ? ぼくは気づいたら、てんじょうが水色で、ゆかは緑色のひろくてきれいなへやにいた。
「いらっしゃい、小さな人間さん。ここはワタクシが暇つぶしに人間の悩みを聞く場所、「アブラナお悩み相談室」です。さあ人間さん、ワタクシに悩みを話してくださいませ」
「あ、あなたはだれ?」
ぼくは、どこからともなくきこえてきた、きれいなこえにきいてみる。
「おやおや、ワタクシは見ての通りチョウですわ。……あ、ワタクシはアブラナの上ですわ」
「アブラナ?」
「黄色くて高い花ですわ。そうそう、やっとこっちを向いてくれた」
初めて見たチョウという生き物は、いままで見たどんなものよりも白くて、ぼくの手よりも小さくて、4つのはねをもっていた。
「チョウさん? って、ちっちゃいのに、とってもきれいだね」
「あら、最近の人間はチョウを知らないのですね。まあそれはいいわ。あなた、最近悩んでいることはない?」
「なやんでいること? うーん、お外に出たいとか? おとなはみーんな、ほうしゃせんがあぶないから、地下から出ちゃダメっていうんだ」
「そういえばここ数百年、ワタクシが連れてきた以外で人間を見かけていませんわね。なるほど、人間はまた戦争を始めたのですか」
「うん、おとなはーせんそうがおわるといいなーって、いっつも言ってるんだ」
「外が見たいというだけなら、もう解決していますわ。ここは外を模してワタクシが作った場所ですもの」
「え、そうなの!?」
ぼくはあらためて、このばしょを見まわした。へえ! おそとって、こんなにきれいなところなんだ! ぼくがいつもいる、ねずみ色ばっかりのシェルターとはぜんぜんちがうなぁ。なんだか、いきがしやすい。
「あなたが望むのなら、またここに連れて来てあげますよ。そのシェルターとやらはきっと窮屈なのでしょう?」
「え、いいの!? それなら、シェルターのみんなもつれてきてあげたいな」
ぼくいがいの人だって、みんなお外を見たがってたし、きっとここにきたらよろこんでくれるはず。
「ワタクシが一度に連れて来れるのは、あなたともう1人だけですわ。なので噂を流さない、きちんとした人を選んでください」
「うん、それならー次はぼくのおかあさんを、ここにつれてきたい!」
「それならば明日、あなたの母親と手を繋ぎ今日のようにシェルターの角で寝てくださいまし。そうしたらここに連れて来てあげますわ」
「うん、わかった! チョウさん、ありがとう!」
「ふふ、偶には人間に感謝されるのも悪くないですわね。それではまた明日」
「うん、またあした!」
暇つぶしに人間の悩みを聞くチョウのお話。




