色々おかしい新生児室
「おぎゃーおぎゃー」
「え? なんでこの赤ちゃんだけニコニコ笑顔の実写なの?」
看護師は顔に写真が貼り付けられた赤ん坊を見て困惑する。
よく見ると写真の右下には※表情差分はありません、とちょっと意味がわからない文章が書かれていて、ますますよく分からなくなってくる。
「おぎゃーおぎゃー(吾輩が聞きたいわ、あとおしめを替えて欲しい)」
「うわあこの赤ん坊念話してくるんだけど」
しかも一人称吾輩で。なに、この子の前世は王だったの? その割にはこの子、キラキラとしたオーラが漂っているけど。乙女ゲーのスチル並みにキラキラしてらっしゃるけど。
「あ、そういえば念話は病院の通信に混ざるからやめて欲しいんだけど」
看護師が赤ん坊にそう伝えると、赤ん坊は口(概念)を召喚し、喋り始めた。
「うむ、承知した。あと、吾輩はプ◯キュアであるぞ」
「いやさらっと人の思考読まないで!?」
「キュアエスパーだからな。これぐらい出来て当然だ」
プリキュ◯って何だっけぇ。看護師は自分の中からプリ◯ュアの概念が崩壊していくのを感じながら、吾輩口調の赤ん坊のおしめを変える。
「ふむ、これは中々に屈辱的だな」
「そんなニコニコ笑顔の写真で言われても、説得力はないけどね」
《だって表情差分用意するのめんどくさかったんだもん》
唐突に現れた不吉な存在に、身の危険を感じた同室の新生児達が泣き出してしまう。
「うわぁ、最近巷で有名なイタズラ好きの邪神だぁ。なんか気色悪くて、出会ったら身の危機を感じるって本当だったんだ。新生児室に勝手に降臨しないでよ、赤ちゃんが泣いちゃったじゃん」
嫌がる看護師に邪神が答える。
《だって我、そこの吾輩口調のプリキュ◯を赤ん坊にした犯人だよ?》
「え? マジで言ってる? この赤ん坊の名前だけわけわからん字で、全く読めなかったのってそのせい?」
《そうだね、我のせいだよ。そして空気を読んですぐに攻撃しないでくれてありがとう、吾輩口調のプリキュ◯》
「安心しておけ、今からサハラ砂漠までお前ごとテレポートして、吾輩の顔と体を元に戻させてから殺すからな。看護師、今まで世話になった。有難う」
「私、君のおしめを替えたぐらいしかしていないけどね。あとプ◯キュアなのに言葉選びが物騒。子供に悪影響だから懲らしめるとかにして」
《じゃあそういうことで、我らはちょっと生死をかけた戦いをしてくる》
そう言って、吾輩口調のプリキュ◯と邪神は新生児室からテレポートした。新生児室には看護師と邪神のせいで泣いてしまった大勢の赤ちゃんが残されたのであった。
「……二度と巻き込まないでほしいなぁ」
看護師は遠い目をしながら、ポツリと呟いた。
プ◯キュアと邪神の戦いに、看護師と赤ちゃん達が巻き込まれる話。




