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邂逅

昼休み、私は一人で昼食を取れる場所を探していた。転校生と言うこともあるのか朝から色んなクラスメイトに質問攻めに合っている。


私は一人でいるのが好きなので昼食に誘ってくれたり声を掛けてくれるのは嬉しいが少し疲れてしまった。


そんな私は昼食を食べる場所を探しつつ一人のクラスメイトを探している。廻くんだ。


朝のいちごミルクのお礼も言いたいし。しかし彼は何処にいるのか中々見つからない。すると後ろから声を掛けられた。


「時雨さん!」


「先生」


担任の時間先生だ。


「問題なく使えているかい?」


「はい。ありがとうございます。」


「何かあったらすぐに知らせるように。頼むね。」


そう言い残し時間先生は私の前から姿を消した。


私はポケットの中のペンダントに触れる。


「今回こそは・・・」


その時屋上へ続く階段の方から廻くんの声がした。


誰かと話しながら階段を降りてくる。私は咄嗟に近くの柱に身体を隠す。


廻くん達は私には気付かずにそのまま教室の方へ歩いて行った。


「せっかく見つけたのに隠れてしまった。」


そんな私を笑うかの様に昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。


午後の授業もなんとか乗り切り下校の時間になった。


各々部活に向かう人や帰る人がいる中、廻くんが席を立つのが見えた。


私は急いで彼の後を追う。いや待て、これはストーカーなのではと言った心の声が聞こえた様な気もするが聞こえなかった事にして後を追いかける。


廻くんは屋上へ続く階段を上って行く。その後ろ姿を見て少し笑みが溢れてしまった。


「相変わらず好きだな。」


屋上の扉を開けると、そこにはスマホの前で熱狂する二人の男子生徒の姿があった。


廻くんとその友達の工藤零時くんだ。


どうやら二人はアニメを見ながら盛り上がっているらしい。


タイムリープがどうとかあいつがあいつの子供だったのかなどと二人で楽しそうに騒いでいる。


カチャリ。扉の開く音。その音と共に二人の大きな声が静まる。


「あ、あの・・・失礼します。」


「し、時雨ちゃん?どうしてここに?」


「廻くんに用事があって。」


「廻に?ってお前らいつの間に仲良くなったんだよ!」


「別に。朝少し話しただけだって!」


何やら二人は私の目の前でこそこそ話している。


「じゃ、じゃあ俺喉渇いたから飲み物買ってくるわ!時雨ちゃん廻の事よろしくね!」


「お、おい!零時!」


そう言い残して零時くんは飲み物を買いに行ってしまった。意図せず二人きりになってしまった。


「あ、朝はいちごミルクありがとう。美味しかった。私好きだから。」


「そっか。ならよかった。」


そう言って屋上から街を眺める廻くん。私も隣に並び街を眺める。


会話は特にない。でもこの沈黙が私には心地いい。


そうしていると廻くんが口を開いた。


「こうして街を眺めているとこの一つ一つの家に誰かが住んでいてその人達の暮らしがあってドラマがある。なんだかほっこりするんだ。無限と時間を感じる。」


「その無限とも言える可能性と時間の中を有限の命で生きていく。私は私の大切な人にも幸せに生きていてほしいよ。」


「なんで今俺の言おうとした事・・・」


「って何だろう私変なこと言ってる。ごめんね!今日はありがとね!私帰るね!」


「時雨!俺らいつもここで集まってんだ。よかったらまたこいよ。」


「うん!」


時雨が帰り、一人でまた街を眺めていると扉が開く音がした。屋上にやって来たのは黒野すずかだった。


「嬉しそうな顔してるじゃないか。」


「ああ、嬉しかった。」


「やけに素直じゃないか。でも今まで通りに進めると今回も・・・」


「わかってる。だから今回は・・・」


するとまた扉が開く音がする。入って来たのは零時だ。飲み物を三本も抱えている。


「お前一人でそんなに飲むのかよ。」


「んなわけあるか!お前と時雨ちゃんにも買ってきたんだよ!ってもう時雨ちゃんいないじゃんかよ!」


「時雨ならさっき帰ったよ。」


「何だ帰っちゃったのか。ならそこの君にあげるよ。」


そう言って零時はいちごミルクを黒野すずかに差し出す。


しかし黒野すずかはとても驚いた顔をして時が止まったかの様に動かなくなってしまった。


こんな表情をするのは初めて見た。


「あれ?俺なんか変な事しちゃった?」


「おい!大丈夫か!おい!」


俺が彼女の身体を揺さぶるとようやく正気に戻ったらしい。


「あ、ああ。ありがとういただくよ。」


「何か嫌だったならごめんね!俺そろそろ帰んなきゃだから!また!」


「ジュースを渡しに来ただけかあいつ。俺もそろそろ行くけどお前は?」


「もう少しここにいるよ。」


「てかさっきの驚き様は何だったんだ?」


「何でもないよ。関係ないことさ。」


「わかった。詳しくは聞かない事にする。じゃあな。」


そう言って黒野すずかを置いて俺も屋上を後にした。


一人屋上に残った黒野すずかは街を眺めながらいちごミルクを一口飲む。


「甘。お母さんが好きだったなこれ。そして問題発生だ。まさか私のことが見えるやつが居たとは・・・一体何者だ?」


















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