何度目の再会か
時雨輪はどれを買うか自販機の前でかなり長考している。優柔不断だ。
俺がそんな時雨輪を眺めているとこちらに気づいたらしく彼女が振り返る。
「ご、ごめんなさい!さ、先にどうぞ!」
時雨輪は俺を見るなり驚きや動揺とも取れる何か探し物でも見つかった時の嬉しさに満ちた様な表情でそう言った。
「あ、ああ悪いな。」
俺はもじもじしながらこちらを伺う彼女の視線を浴びながら自販機と対話する。
俺がいつも飲んでいるエナジードリンクともう一本いちごミルクを購入する。
そしていちごミルクを時雨輪の方へ差し出す。
「これあげるよ。」
「え、どうして?」
彼女はとても驚いた顔をしてそう言った。そしてなぜか俺を写すその瞳に涙を浮かべている。
「何買おうかすごく悩んでそうだったから。嫌だったら誰かにあげて!それじゃ!」
俺は彼女にそう伝え階段を駆け上がる。急がないと授業が始まってしまう。
「まさかな・・・」
「なんで私がこれを好きだってわかったんだろ。」
昼休みになった。一時間目から四時間目まで俺は、寝て過ごすか窓の向こうを眺めて時間を潰した。
どうせ同じ内容なので支障は無い。
俺は購買でパンを買い屋上で食べることにする。俺の大好物のメロンパンをゲットした。
屋上へ続く階段を上り、扉を開く。すると屋上から遥か遠くを見つめながら一人の女生徒が何かを頬張っている。
黒野すずかだ。
「なんだ先客がいたのか。」
「ん?ああ廻くんか。」
こちらを見た黒野すずかは口いっぱいにメロンパンを詰め込みすぎてリスみたいになっている。
まさかのメロンパン被りだった。
「で?何かわかったのかい?」
「いや。何も。」
「私たちはこれまで二度妨害されている。おそらく私たちと同じこれを持っている人間が他にいるとしか思えない。」
そう言って黒野すずかは制服のポケットから特殊な形のペンダントを取り出す。
「そうだろうな。そもそもなんでお前は俺にもう一つのペンダントを渡した?なんでこんなものを持っていたんだ?」
「またその話か。前にも言ったがそれは教えられない。それに、それがなかったら君も彼女を救えないだろ?」
「それはその通りだが・・・」
「ならこの話はこれでおしまいだな。」
そう言い残して黒野すずかは俺の前から姿を消した。それから俺は一人屋上から見える街の景色を見ながらメロンパンを齧った。




