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マスターペンダント

彼女と私は燃え盛るアパートを後にし、近くにある公園に向かった。


私はたまたま出かけていたからよかったがアパートの中にいた人達はどうなったんだろう。


みんな無事に避難出来たのだろうか。


そんな心配も頭の片隅にあったが、今の私の頭の中を支配しているのは彼女が時間を見ることが出来るという事実だった。


彼女の力は未来を見ることができる以外に何かあるのだろうか。もしも過去に干渉できる力もあるとしたら・・・


ぐるぐると思考を巡らせている内に公園に到着した。


二人でベンチに腰掛ける。早速私は頭の中でぐるぐるしているものを彼女にぶつけて行った。


私の質問に彼女は淡々と答えてくれた。


彼女は現在大学に務めており、時間についての研究を行っていること、今現在は少しの先の未来が見えるだけで自

分の意思で時間に干渉することは出来ないということ。何年か前に一度タイムリープのような体験をしたという話を聞かせてくれた。


そして彼女には娘がおり、自分の子供にもこの不思議な力が遺伝していないか心配しているということも話していた。


彼女との出会いから数年、私は彼女と共にある会社を設立した。


トキマタイムテクノロジー。それが私達の設立した会社の名前だ。


人々に彼女と同じように時間を見る力を与える装置、ペンダントを完成させることを目標に掲げている。


しかし人々が過去に干渉できるようになることで現在や未来にどのような影響があるのかペンダントを作り上げる上での課題は山積みだった。


しかし私はそんなことはどうでもよかった。


過去に戻れる力が手に入るのならば何だって利用するつもりだった。


時間を操る力を持つ彼女の遺伝子を元にしてペンダントを作るための研究を私達は進めて行った。


彼女の娘である時雨輪も研究に加わり、さらに私達の研究に興味を持ってくれた人達が技術的な面や資金面でサポートしてくれるようになり私達の研究は少しずつ形になりつつあった。


それから数ヶ月、ついに私達の研究の到達点であるペンダントの試作品が完成した。


私の長年の研究が身を結んだ瞬間だった。やっと針平に会える・・・


ここから私の計画はさらに加速して行った。


ペンダントの安全性を確かめるための実証実験を自ら行ってみた。


結果は良好だった。指定した日時にタイムリープし、無事に針平に会うことができたのだ。


しかしこのペンダントには制限が掛けられている。


製品化に当たって使用者が過去の人物や出来事に対して過度な干渉ができないようにあくまで時間旅行を少しの間楽しむためのデバイスという枠に収めるため彼女の意向でそう言った仕様になっていた。


彼女の意向もそうだが、製品化する上での様々な懸念点を考慮してのことだった。


つまり今の段階のペンダントでは針平に会うことは出来ても救うことは出来ないのだ。


それから私は今までの彼女との研究のノウハウを生かして彼女とは別に私のオリジナルのペンダントを作るための研究を始めた。


私の作るペンダントは人々のためではなく私のための、針平を救うためのものとして完成させる。


時間を越え過去に干渉し、事実を書き換える力。しかしその研究を成し遂げるにはどうしても彼女の存在が邪魔だった。


私と彼女の作りたいペンダントでは根本から思想が異なっているからだ。


私の計画の障壁になる前に手を打たなければならなかった。


そして、私はついに時間を越え、過去を書き換える力、真のペンダント。マスターペンダントを作り上げた。























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