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あなたとの思い出を

目を覚ますと私は学校の屋上に居た。


あの光に包まれた後私はどうなったんだろう。


廻君と時雨ちゃんは助かったんだろうか。


ぐるぐると思考を巡らせていると背後から声を掛けられた。


「ようやく目を覚ましたね。」


背後に視線を移す。声の主は零時君だった。


よかった。零時君も無事だったみたいだ。


「廻君と時雨ちゃんはどうなったの?」


私の問いかけに零時君の顔が曇る。


「結論から言うと助けられなかった。」


「え・・・」


私は急いで今日の日付を確認する。


「次の日を迎えてる・・・じゃあ、二人は本当に・・・」


「いや二人は生きてる。」


「どう言うこと?」


「あの出来事自体を無かったことにしたんだ。」


「それって・・・」


「そうだね。絶対にしてはいけない事だ。強制的な時間の書き換え、これはペンダントを扱う者として最もタブーとされている事だ。」


「私の持っているペンダントにはそんな機能は備わってない。」


「そうだろうね。君と僕のとでは同じマスターペンダントでも全くの別物なんだ。僕のは他のペンダントとは違って開発者が異なっているからね。」


そう言って零時君は屋上から街を見下ろす。


その表情はどこか悲しそうであり寂しそうでもある。


私も零時君の隣に並び街を見下ろす。


「ねえ。零時君の事教えて欲しい。」


「分かった。その代わり君のことも僕に教えて。」


「うん。」


どれくらいの時間が経っただろう。生きる世界も見てきたものも全く違う私達。


でも確かな繋がりがあった。


「一つ私から提案があるんだけど。」


「提案?」


「時雨ちゃんを別の世界線に移動させるのはどうかな。最初から廻君と出会わなかった世界線に移せれば廻君と時雨ちゃんのどちらかが犠牲になる未来を防げるんじゃないかな。」


「確かに僕のこのペンダントなら出来ると思うし、二人を救う手段としては良い方法なのかもしてない。でも・・・それじゃあ君が・・・」


「私ね、この世界に来て学生の頃の二人を見て何が一番大切なのか分かった気がする。」


「それって?」


「今の二人の時間だよ。今まで私はずっと未来での自分達の暮らしを取り戻すことだけを考えてこの世界に来て何度も何度も繰り返しやり直して来た。でもその度に二人は自分を犠牲にして涙を流してそれでもまたやり直して・・・この世界で二人が出会ったのも一つの可能性にしか過ぎなくて、二人にとっての今の時間はここだけじゃないと思うから。私はいいんだ。」


「本当にいいんだね?」


「うん。お願いします。」


「分かった。でも、僕も時雨ちゃんに付いてあっちに行くよ。あっちの世界には僕が詳しいから。」


「詳しい?」


「そう。時雨ちゃんが廻と出会わなかった世界線。そして僕が生まれた世界だ。」


「そこに移動させるの?」


「そう。その方が何かと都合がいいんだ。すずかちゃん。君とはここでお別れだ。後のことは頼んだよ。」


そう言い残して去って行く零時君。


「待って!零時君!」


本当に彼にはもう会えない・・・そんな気がしたから。


「私と写真撮って欲しい。」


「写真?」


確かに今私達はこの世界を共に生きていたから。その繋がりを少しでも記録に・・・


屋上に一人残された私を包み込む風。どこか懐かしい匂いを運んできた。


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