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天使のわたるに黒い羽と尻尾がくっついちゃったみたいな。

笑う顔は天使

まとう色は黒


こ・・・小悪魔?


「あなたは、誰?」

問う私。

いや、それよりも

「わたるを知ってるの?あの子どうしてる?心配してる?泣いてない??」


変わらず意地悪な微笑み。

もったいぶっているのか、ただくすくすと笑う。


「ねえ、教えて。わたるのこと、教えて。」

その子の笑い声は私を不安にさせる。

まるでわたるに拒絶されているかのように錯覚してしまう。


ああ、やめて。またわからなくなっちゃう。


「お願い。知ってること、教えて。お願い・・・。」

ぐらぐらと足場がなくなるような感覚。

くすくすと笑い声が頭の中で響き、まわる。

混乱する。

いろんな記憶が迷子になってる。

たまらず頭をかかえて蹲る。


わたるの顔がぼやけてしまう。


やだ。やめて、やめてよ。


「・・わたる・・わたる・。」

知らず涙が零れ落ちる。


暗闇がまた迫ってる。


・・・ああ、また呑まれちゃう



(・・・!)





誰かが私の知らない、私の名前を呼んだ









急に笑い声が消え、現実に戻される。


一瞬の静寂の後、窓を突き破らんばかりの雨音が部屋を満たした。

強く、強く打ち付ける、激しい音。


わたるの記憶が戻ってくる。

わたるの泣き顔を思い出し、笑みがこぼれる。


窓を見上げると、最後の一滴の涙が頬を伝って落ちた。




「あーあ。怒らせちゃった。」

小悪魔の声。

視線を戻すと青緑の瞳と目が合う。

なんなんだ、この子は。

わたると似てるのに、全然違う。


「後が怖いから、教えてあげるよ。お姫様。」


いやな感じのする子だ。

ちろり、と睨む。


「ふふ。誤解しないでね、怖いのはきみじゃないよ。きみを泣かしたせいで怒られちゃうの。ちょっとでもゴマすっておかなきゃね。」


じゃぁ泣かせるようなことすな!

ムっとする。

小悪魔はかまわず話を続ける。


「言っとくけど。ぼくはきみのこと嫌い。だから、全部は教えてあげない。ちゃんと情報料ももらうからね。」


驚いた。

もはや嫌われてるとは。初対面じゃないのか。

そしてむしろ嫌うのは私のほうだろう。

言われっぱなしで悔しいが情報は欲しい。

挑発に乗ってる場合じゃない。

何より相手は年下だ。

小悪魔的な悪がきと思えばムカつくものの我慢はできる。


「フレア姫はクールなお姫様だったけど、きみはわかりやすいね。ヴェール越しでも表情が良く見える。」

馬鹿にされてるのか。ひたすらやな感じ。


しかしフレア姫とな?

「ここはジャイナマンの世界?」

わたるの好きな世界なら不満はない。


しかし小悪魔は鼻で笑う。

「きみは単純だね。ただの姫の名だよ。ヒーローはいない。・・・ああ、でもあの青年。あれの名はナツメ・レッドだったかな。姫の騎士だからね。ヒーローとヒロインは揃ってるか。」


どこか皮肉っぽいが、一応返事は返ってくる。

フレア姫にレッドか。

そういえば姫の魂がさらわれたんだっけ。

ヒーローものだからきっとハッピーエンドになるよね


「ねえ、きみの知りたいのはこんなこと?これじゃ、たいした情報料とれないよ。」

ずれた質問に呆れた顔。

なんだか飽きたらすぐにでもいなくなっちゃいそうだ。


「や、ああちょっと待って。今のは話の流れで。そうじゃなくて私が聞きたいのは、わたるのこと!あなた今わたるがどうしてるか知ってる?」

そう、わたるが心配で、先に思考が進まない。


呆れ顔から一変してニヤリと笑う小悪魔。

「そうだね。トップシークレットだ。情報料高いよ。」

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