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伝う、涙。

皆が欲する涙。


どうしたら、神の許しのもとそれを手に入れることができるのか。


力や権力をかさにしたとて、手に入るものではない。


では、愛し子様のご機嫌をとるか。

慈悲を請うか。

代価となるものを差し出すか。






先代の愛し子が亡くなったのはおよそ100年前。


故に、神の愛し子は語り継がれるだけの存在であった宝物。



16年前。

突然、現れた姫の存在に

皆が混乱した。



王の娘として受け入れられた、まだ幼かった姫。

その愛らしさに人々は魅了された。

誰からも愛され、望まれ、敬われた。



けれど


誰一人として


口では褒めはやしても、幼い姫の頭をなでてはやらなかった。

その涙は欲しても、泣いてる姿を認めて 抱き上げてはやらなかった。

ぬくもりを捜し求める手を、その小さな手をつかんでやる者はなかった。



姫がどんなに親しみを込めて微笑んでも、人々は一線を引く。


あれは人であって、人ではない。

決して人のものにはならない神の宝物。



それが


フレア姫







「・・・貴方の涙を見たのは何年ぶりだろう。」


そっと近づき、ヴェールをはずす。

その安らかな寝顔に安堵する。


手袋をはめたまま、その頬に触れ、涙を拭う。

ジジッと涙で濡れた手袋が焦げ、細い煙を上げる。



許しなく涙に触れると火の女神のお怒りに触れる。


「涙を拭ってやることも、許されない・・・。」


スッと手を引き手袋をはずす。

それを床に落とすとそのまま静かに炎を上げ灰も残さず消えた。



姫はわずかに眉を寄せるが目覚めることなく、安らかな寝息をたてている。



己の中にあるのは、姫への想いだけ。

欲するものは、姫の笑顔だけ。

そして、己の願い全てを奪う、火の女神への憎しみだけ・・・




━━━




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