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「ハナの使い魔だ!」でお願いします!

 同じ高校に通うミキヒコ先輩(高2)とハナちゃん(高1)は付き合っています。そんな2人は演劇部員。ミキヒコ先輩は淡白で、ハナちゃんはそれが少し不満。ミキヒコ先輩から、もっとたくさん甘い言葉をかけてほしいハナちゃん。そこで、ハナちゃんは、思いつきます。ラブラブな台本を読み合わせに使おう!


 演劇部員にとって、読み合わせは、大切な稽古です。読み合わせとは、台本に書かれているセリフを、声に出して読んでみる稽古です。ただ声に出すだけでなく、感情を込めて読みます。ドキドキする台本を、ミキヒコ先輩と、いっぱい読み合わせしたい!照れたら負け!のルールで勝負です。

 ハナちゃんが今回選んだ台本は、名作『ゼロの使い魔』(アニメ版/エピソード13/虚無のルイズ)から。ヒロインであるルイズが、愛の力で、虚無の能力に目覚めるきっかけとなる名場面だ。


 無能者なので「ゼロ」という残念な二つ名を与えられたルイズ。そのルイズが、ついに、伝説級の能力、虚無に目覚める。


 ゼロのルイズ。そのルイズが呼び出した使い魔が、東京に暮らす高校2年生のヒーローとなる才人さいとだ。召喚魔法によって東京から異世界ハルケギニアに召喚された。


 普通、使い魔として人間が召喚されることはない。なので、失敗?が、このヒーローが活躍する。


 ドタバタがあって、二人の心が近づいていく。そしてヒロインのヒーローへの想いが溢れて止まらなくなったそのとき、ヒロインの能力が覚醒するのだ。


 ハナちゃんが選んだのは、そのピークのところ。ヒロインに、簡単に「好き」とは言わせず、ただ、相手の名前を切なく連呼させる演出がすごいと思った。愛の告白を、ただ、相手の名前を連呼することで行うなんて。


 ハナちゃんは、ヒーローの決め台詞と、それに対するヒロインの反応を耳コピし、SMSでミキヒコ先輩とも共有済みだ。


 今回は、ミキヒコ先輩のパートよりも、ハナちゃんのパートのほうの難易度が高い。相手の名前を連呼することになるが、ただ連呼すればいいわけではない。毎回、声の表情に変化をつけなければ、あふれる想いは表現できない。


 ハナちゃんが演劇部の部室に到着したときには、すでに先輩がいた。今日もバッチリ、二人きりだ。演劇部は、公演前でこそみんな部室にいる。けれど普段は、みんな幽霊部員みたいな感じだ。


 さて先輩。ちゃんとセリフの練習をしているみたいだ。


「俺には、伝説も貴族も平民も関係ねえ。こいつを守るだけが取り柄の、なんにもねえ。ゼロの使い魔だ!」


「先輩、もう、バッチリですね。ただ、ゼロの使い魔じゃなくて、ハナの使い魔ですからね。そこ、オリジナルのままだと、私のドキドキが半減しちゃいます。それだと私、照れないので、先輩、勝てませんよ」


「わかった。はじめていい?」


「ちょっと、私まだ部室に来たばかりじゃないですか。カバン置いたり、歯磨きしたりさせてくださいよ」


「歯磨き?必要、それ?」


 聞こえないほど小さな声で、ハナちゃん、こんなこといってた。


「読み合わせで盛り上がりすぎて、その勢いで・・・とか、あるかもじゃないですか」


「なに?え?聞こえなかった」


「うるさい!ちょっと待ってくださいっ」


「はい」


 ハナちゃんは、部室のソファに、カバンを置く。そこにはミキヒコ先輩のカバンが先に置かれていた。ハナちゃんは、大事に、大事に、自分のカバンを、ミキヒコ先輩のカバンにそっと寄せる。


 身体だけでなくて、カバンも、先輩の近くがいい。ハナちゃんのそんな気持ちが、先輩にも伝わる。今日は、先輩のほうが、ドキドキ要素が多くなりそう。ハナちゃん、それから歯磨きもした。


「はい、じゃあ、きっかけ行きます。よーい、はい!」


「俺には、伝説も貴族も平民も関係ねえ。こいつを守るだけが取り柄の、なんにもねえ。ハナの使い魔だ!」


「ミキヒコ、ミキヒコ、ミキヒコ、ミキヒコ・・・ひぐっ」


 ハナちゃん、うまい!きっと、たくさん練習したんだ。相手に対する「好き」の感情があふれて、相手の名前が、自然と声になっちゃう。それが見事に表現できた。それぞれの「ミキヒコ」が、丁寧に、大切に発音されている。それが4回も。


 自分の名前を、丁寧に大切に呼んでもらえると、こんな気持ちになるんだ。そういえば、名前を連呼されたことなんて、これまでなかった。ミキヒコ先輩?泣いてます?前回に引き続き、今回も、ミキヒコ先輩の負けー


 ハナちゃん、ミキヒコ先輩を泣かせちゃった。泣いているところを見られたくない先輩は、壁のほう、あっちを向いている。


 ちょっと気まずいので、ハナちゃん、このまえ『ゆびさきと恋々』(アニメ版)の読み合わせ(ep.1)で覚えた手話を、先輩の背中に向かって、なん度も繰り返してた。


「先輩の全てが、愛おしいよ」(手話)「先輩の全てが、愛おしいよ」(手話)「先輩の全てが、愛おしいよ」(手話)

『ゼロの使い魔F』(アニメ版)も、素晴らしいですよね。もう、ラブラブで最高です。

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