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迷い森の戦い

「うぅ…オレ、どうなって…」


最初に気がついたのはぷにゅりんだった。己の身体は傷だらけかつ、辺りを見渡すもクーゲル達は居ない。


「オレだけで大丈夫ぷにゅかな…」


不安に駆られるぷにゅりん。その時、背後から足音が聞こえ、素早く振り向く。


「へっへっへ…」


「ぷにゅ…!?」


そこには、大ぶりの剣を持ったモンスターが立っていた。じりじりと近づいてくるモンスターに対し、ぷにゅりんは後退りしていく。


「へっ!」


モンスターがぷにゅりんに向けて剣を振り下ろそうとしたその時…


『グォォォォォォォ!』


どこからともなく大きな咆哮が鳴り響く。怯んだモンスターは、周囲に向けて剣を振り回すも、咆哮は止まらず鳴り響いている。すると突然、ぷにゅりんの背後から巨大なドラゴンが現れる。


「へっ…!?」


『森ヲ荒ラス者…排除スル!』


巨大なドラゴンはそう言って突進すると、モンスターを一撃で吹き飛ばしてしまう。そしてぷにゅりんの方を見ると口を大きく開け、頭の葉を咥える。


「ひっ…!」


食べられると思い、目を瞑るぷにゅりんだが、気がつくとドラゴンの背に乗せられていた。


「あ…あれ…?」


『案ズルナ…森ノ恵ミヨ。』


そう言ったドラゴンは何処かへと進んでいく。疑問に思ったぷにゅりんは巨大なドラゴンに質問する。


「あの…君は誰ぷにゅ?」


『オイラハ〔トゲオ〕。コノ森ヲ警備シテイル。』


巨大なドラゴン…トゲオは、森の中をドシドシと進みながら、ぷにゅりんに語る。


『オ前ハ森ノ恵ミ。長老ガ言ッテイタ。りん族ハ、森ノ恵ミダト。』


トゲオは背に乗せたぷにゅりんにそう言って森の中を突き進む。


「とにかく助けてくれてありがとうぷにゅ。ところで、トゲオは何処へ向かってるぷにゅか?」


そんなぷにゅりんの言葉にトゲオは笑顔で言葉を返す。


『オイラノ住ム隠レ里!オ前ハりん族!歓迎スル!』


「…オレは仲間を助けに行かなきゃいけないんだぷにゅ!降ろすぷにゅ!」


ぷにゅりんはそう言うものの、トゲオは歩みを止めず、口を開く。


『ソンナ傷デ仲間ヲ探シテモ無駄。ダカラオイラノ住ム隠レ里ニ連レテク。』


正論によりぐうの音も出ないぷにゅりん。そんな事はお構い無しに、トゲオは森の中を静かに進むのだった。


一方その頃、


「こ…こっち来るなー!」


「まーてー!」


ドロヒューを神魔宝軍(しんまほうぐん)のモンスターが追いかける。必死に逃げるドロヒューだが、思いのほか素早いモンスターに、息も絶え絶えになる。


「バラバラになったお前達なんて私達、神魔宝軍の敵ではないわー!」


「はぁ…はぁ…!しつこいなぁ…!」


確実に追い詰めてくる神魔宝軍に、疲れが溜まったドロヒューは捕まりそうになる。その時…


「デストロイブラストッ!」


何処からともなく飛んできた破壊光弾がモンスターに直撃し、大爆発を引き起こす。


「ぎゃあああ!」


悲鳴とともにモンスターは消滅し、破壊光弾の飛んできた方向を見ると、デストロームが走ってきていた。


「無事かドロヒュー!」


「デストローム!」


デストロームがドロヒューを抱き抱え、口を開く。


「敵の数が多く、なるべく戦闘を避けてクーゲル達を探さねばならぬ…。我が運ぶから、ドロヒューは休んでおくといい。」


「追い回されてヘトヘトだったし、お言葉に甘えるよ…。」


ドロヒューはデストロームに抱えられ、デストロームは再び走り出した。


「(クーゲル…ぷにゅりん…無事でいてくれ…!)」


そう心の中で思ったデストロームは、急いで二人を探すのだった。


一方、クーゲルは…


「はぁっ!」


「ぐわぁぁぁぁ!」


「ぎゃあっ!!」


大勢の神魔宝軍に囲まれ、苦戦を強いられていた。どれだけ倒しても数が多く、至る所から攻撃してくる。


「いくら何でも多すぎる…!」


クーゲルは突破口を見つけようとするが、上手くいかない。


「隙ありーっ!」


「そうはいかない!」


背後から飛びかかって来たモンスターを、盾で弾き、反撃する。


「ぎゃー!」


「倒してもキリが無い…!」


敵を倒しまくるクーゲルだが、近づいてくる殺気に気づき、武器を構える。


「森の奥深くにでも飛んでいったかと思ったが…まさかこんな近くにいるとは。」


十五魔将(フィフティデーモナー)…!」



十五魔将(フィフティデーモナー)の白いダイオウウズラがクーゲルの元へ歩いてくる。傍らには、火種のモンスターを連れていた。


「貴様をもっと苦しめられる素敵なモンスターを連れてきたのさ。」


「なんだって…!?」


白いダイオウウズラはクチバシで咥えていた不気味な仮面を見せつける。


「これはマスカース。無機物に取り憑いて怪物になるというモンスターさ。そして私の側にいるこの子は、サラン。小さいながら、あらゆるモノを燃やすモンスターだ。」


白いダイオウウズラの言葉に対し、クーゲルは睨む。そして口を開く。


「それらをどうするつもりだ!」


「言わずとしれた事…。こうするのさッ!」


白いダイオウウズラはサランに目配せすると、サランが1本の大きな樹に向けて、火を吹いた。勢いよく燃え上がる大樹に向けて、ダイオウウズラはマスカースを投げつけた。


カコッ…と硬い音を鳴らしながら、燃える大樹にマスカースは張り付いた。すると突然地響きが起こり、大樹が禍々しく変形し、動き出す。


「さぁカエンボク!やってしまうがいい!」


「ゴァァァァァ!」


カエンボクはクーゲルに向けて歩き出し、神魔宝軍をお構い無しに踏み潰した。


「「「「「ギャァァァァァ」」」」」


「自分の部下を踏み潰させるなんて!」


クーゲルは怒りを込めて叫ぶも、白いダイオウウズラはニヤリと笑う。


「他者を気に掛けるよりも、自分の心配でもしてみたらどうだ?」


「ゴァァァァ!」


クーゲルがハッとすると、カエンボクが前脚を振り上げ、勢いよく踏み潰そうとしていた。


「あっぶな…うわっ!」


間一髪で回避するものの、発生した衝撃は避ける事ができず、クーゲルは吹き飛ばされてしまった。


「いてて…」


吹き飛んだ拍子に木に叩きつけられるも、何とか立ち上がるクーゲル。


「後は任せたぞカエンボク。私は他のヤツらを潰してくるとしよう…」


「ゴァァァ」


白いダイオウウズラは素早く森の中へ消えていき、カエンボクはクーゲルを再び踏み潰そうとする。


「(こんな巨大なモンスターとまともにやり合っても勝てる見込みがない…いや、ボクは諦めない…!)」


クーゲルは自分を奮い立たせ、カエンボクの振りかぶった前脚に向けて、武器の棘を突き刺した。


「ゴ…ゴァァァァァ!?」


足の裏に鋭いものが突き刺されば誰もが悶絶する。それはカエンボクも例外では無かった。痛みに耐えかねて暴れるカエンボクにクーゲルは盾を構えて突撃する。


「はぁっ!」


「ゴッ!?」


クーゲルはタックルでもう片方の脚に衝撃を与えてカエンボクを転ばせた。巨体の分、カエンボクは中々立ち上がれない。


「まだまだここからだ!」


クーゲルはそう叫ぶと、武器に電撃を纏わせた。


「ライトニング…」


「ゴァァァァ…!」


起き上がったカエンボクに向けて武器を構え、飛びかかる。


「シュナイダーッ!」


「ゴァァァァァ!!」


電光ほとばしる斬撃が、カエンボクを真っ二つにし、大きな爆発を引き起こす。クーゲルは素早く武器をしまい、爆発の方へ振り向く。


そこには炎が消え、美しく佇む元の大樹に戻っていた。根元には逃げようとするマスカースが居た。


「…」


クーゲルは無言でマスカースを踏み潰し、粉々に砕いた。


「こんな大きな樹を燃やしてからモンスターに変えるなんて…自然は大事にしなきゃなのに。さて…皆を探さなきゃ。」


クーゲルは大樹に背を向けて、木々の間を歩き出した。


一方、ぷにゅりんは…


『到着ダ。此処ガオイラノ住ム隠レ里。』


「ぷにゅ…」


ぷにゅりんはトゲオの背から降りると、辺りを見回す。樹をくり抜いた家が至る所に建ち並んでいた。


「ここが隠れ里…って、トゲオの姿が!」


「気にするな。オイラの表の姿に戻っただけだ。」


ぷにゅりんが横を見ると、巨大なドラゴンだったトゲオの姿が三本角の亜人に変わっていた。


「オイラのようなドレイク族は、表と裏の姿があるんだ。表の姿は…ま、見ての通り亜人で、裏の姿はその人の本性なんだ。オイラが巨大な四足歩行のドラゴンになるのは、力持ちで皆を守れる存在になりたいって言う表れなんだよ。」


そんなトゲオの説明を聞いてたぷにゅりんは、トゲオに突然抱えられた。


「ぷにゅっ!?」


「さ、長老の所にはオイラが運んであげるよ。」


トゲオが隠れ里を歩いていると、沢山のドレイク族がぷにゅりんの方を見ていた。


「何だか恥ずかしいぷにゅ…」


「この森にかつてりん族が居たのが実に200年前だからなー。」


そんな会話をしていると、一際大きい樹の中へとトゲオは入っていく。


「長老…トゲオ、ただいま戻りました。」


「警備ご苦労。してトゲオよ。その抱えているモンスターはもしや…」


「えーと…はじめましてぷにゅ。オレはぷにゅりんと申しますぷにゅ。」


何気なく長老に挨拶するぷにゅりん。すると長老はぷにゅりんをじっくり見つめる。


「この色…このカタチ…そしてぷにっとした感触…間違いない。トゲオ!りん族を連れてきたのだな!」


「はい長老!オイラが警備の途中で、森を荒らすモンスターから助けました!」


わいわいとする長老とトゲオをぽかんと見ているぷにゅりん。それに気づいた長老が軽く咳払いをすると、膝をついた。


「森の恵み、りん族よ…よく我らの森へ戻ってきてくれた…」


「え?え?えーと…どういう事ぷにゅ?」


困惑するぷにゅりんを見て、長老は語りだした。


「今から200年前…この森には数多くのりん族が暮らしておった。りん族は森の恵みとして、我らドレイク族や、森に棲む生き物達を豊かにしてくれていた…。」


静かに語る長老を見て、ぷにゅりんはじっと聞いていた。


「しかしある時、りん族を狙う不届き者が現れた。不届き者は片っ端からりん族を捕らえ大きなカゴへ放り込んでいった…。」


長老は悔しそうに拳を握りしめる。それでもぷにゅりんの為に語るのをやめなかった。


「我らドレイク族はりん族を助ける為に戦った。自らを裏の姿へと変え、不届き者を追い払った。最初のうちは何とか追い払えていたのだが…やつらは卑劣な手段でりん族を何度も捕まえようとしたのだ…。」


長老は地面を殴り、腕をヒラヒラさせる。どうやら割と痛かったらしい。そして語るのを再開した。


「…森に火を放ったり、森のあらゆる生き物を密猟して、我らに手出しできなくしようとしてきたのだ。やがてりん族はほぼ全て不届き者に捕らえられ、この森から消えてしまった…。」


長老は泣いていた。それでもぷにゅりんの為に語ってくれた。


「森の恵みのりん族の失われた森は衰退する。かつて美しかったこの森も、今ではうっそうと木々が生い茂る不気味な森になってしまってな…。200年経った今では、我らドレイク族以外の生き物は暮らす事ができなくなってしまったよ…。」


「そうだったんぷにゅか…」


語り終えた長老はぷにゅりんの見て、改めて涙を流した。


「だが…今こうしてりん族が森に戻ってきた以上、この森もかつてのような豊かさを取り戻すだろう!」


長老が喜んでいる中、トゲオが口を開く。


「ところで長老、お願いがあるのですが…」


「言ってみよ。」


トゲオは長老の言葉の後、ぷにゅりんの方を見つめる。その事に気づいた長老は、ぷにゅりんに声を掛ける。


「もしやお願いがあるのは、りん族の貴方か…?」


「はい。実は…」


ぷにゅりんは今までの経緯を長老に説明し、仲間を助けて欲しいとお願いした。


「なるほど…あいわかった!我らドレイク族は、りん族の貴方に協力しましょう!」


「もちろんオイラも手伝うぜ!」


「ありがとうぷにゅ!」


長老はトゲオとぷにゅりんを連れて外へ出て、隠れ里に住まうドレイク族に呼びかけた。


「皆の者!我らの森に自然の恵みたるりん族が帰ってきた!しかし!りん族は今困り果てている!今こそ、我らドレイク族は立ち上がり、りん族の仲間を助ける時だ!」


「「「「おぉぉぉぉー!」」」」


隠れ里のドレイク族は、気合いじゅうぶんで各々が叫ぶ。そして裏の姿になったトゲオの背にぷにゅりんが乗り、舌を伸ばして叫んだ。


「皆!オレの仲間を頼んだぷにゅよー!」


『『『『グォォォォォォォ!』』』』


『オイラ達ニ続ケーッ!』


『『『『グォォォォォォォ!』』』』


トゲオが走り出すと、裏の姿になったドレイク族全員も続いて走り出す。


一方、森の中で笑い合うダイオウウズラ達の姿が…


「…そこでマスカースとサランを使い、近くにあった大樹をカエンボクにしたのさ!」


「なんと完璧な作戦か。我らの賢さがキラリと光るな。」


白と黒のダイオウウズラがケラケラと雑談している時…


「ライトニングシュナイダーッ!」


電撃纏う斬撃波が素早く飛んでくる。しかしダイオウウズラ達は軽快に回避し、斬撃波が飛んできた方向へ振り向く。


「な…!カエンボクは!?」


「ボクが倒したさ。あの大樹は元に戻ったし、マスカースも砕いた。」


クーゲルのその言葉を聞き、白いダイオウウズラは苛立ちを抑えられなくなる。


「貴様…!我らの完璧な作戦を邪魔しやがって…!」


「だが、たった1人で十五魔将(フィフティデーモナー)のNo:11たる我らに勝てるとでも?」


ダイオウウズラ達は笑い声に近い鳴き声を発し、ジリジリと迫る。その時…


「ヒュードロ夜行!」


「デストロイブラストッ!」


涙の人魂と破壊光弾がクーゲルに近づくダイオウウズラの足元に着弾させ、爆発させる。


「…ちっ!」


「おっと…」


クーゲルが振り向くとそこには…


「やっと見つけた…!」


「助けに来たぞ。クーゲル。」


「ドロヒュー!デストローム!」


ドロヒューを抱えたデストロームが立っており、クーゲルの元へ駆け寄る。


「2人も無事だったんだね!」


「あぁ。クーゲルも無事で何よりだ。ドロヒューと一緒に助けに来たぞ。」


「僕の場合はデストロームに助けられたんだけどね…!」


デストロームが抱えていたドロヒューを降ろすと、3人はダイオウウズラ達の方を睨み、戦闘態勢にはいる。


「…せっかくバラバラにして一人ずつ潰そうと思っていたのに!」


「だが、我らにはまだまだ部下が居る。数で打ちのめせばいい!」


そう言って黒いダイオウウズラが叫ぶと、沢山のモンスターが現れる。


「さぁ…この数を突破できるかな?」


「そして…サラン!今こそ真の姿を見せてやれ!」


沢山のモンスターの背後で飛び跳ねていたサランは、突然身体をくねらせて、みるみる変形していく。


「キシャー!」


目の前には、大きな炎の鳥が飛んでいた。その姿はまさに不死鳥だった。


「アーハッハッハ!我ら全員、倒せるものなら倒してみろ!」


「倒せるぷにゅよ!」


どこからともなく、地響きと共にぷにゅりんの声が響く。


「ドレイク族の皆〜!全員突撃ぷっきゅー!」


『『『『『グォォォォォォ!!』』』』』


トゲオの背に乗ったぷにゅりんが、沢山のドラゴンを引き連れて突撃する。神魔宝軍のモンスターはいともたやすく吹き飛ばされていった。


「「「ぷにゅりん!」」」


「皆!待たせたぷにゅね!」


ぷにゅりんとの再会を喜ぶ3人。それを見たトゲオがぷにゅりんに近づく。


『仲間ガ見ツカッテ良カッタナ!』


「ありがとうぷにゅ!トゲオとドレイク族の皆!」


ぷにゅりんはトゲオ達にお礼を言うと、ダイオウウズラの方を見る。


「さぁ、これで互角ぷにゅかな?」


「くっ…!ドラゴンを大量に引き連れてくるとは…どうやって!この森からは私達以外出られない結界を張ってあるのに!」


白いダイオウウズラがキレながらそう言うと、ぷにゅりんはため息を吐く。


「…オレは外に一歩も出てないぷにゅよ。」


「なに…!?」


ぷにゅりんのその言葉に驚きを隠せない白いダイオウウズラ。そしてぷにゅりんは大きく声を出した。


「このドラゴン…ドレイク族の皆は、もとよりこの森に住んでいるんだぷにゅ!」


「小癪な…」


「あっそう。」


ぷにゅりんの言葉にイラッとする白いダイオウウズラ。しかし、黒いダイオウウズラは興味なさげだった。


「ドレイク族とかさ、お前がどうなってたかなんてさ、知ったこっちゃないんだよねー。」


「あ…相棒!?」


突然喋り方の変わった黒いダイオウウズラに白いダイオウウズラは驚く。そして続け様に黒いダイオウウズラは喋りだす。


「だって俺…神魔宝軍になる、はるか前にこの森でお前らドレイク族と戦ったんだしさー。」


その言葉を聞いて、ドレイク族の長老は驚く。


『マサカ…200年前ニ、コノ森を荒ラシタ不届キ者ハ…』


「そ。紛れもなく俺ってワケ。あんときゃ面白かったわー。片っ端から生き物食って、りん族共を捕まえて遊ぶのは。」


それを聞いた長老の怒りが浮かび上がる。


『アノ時、森ノ恵ミヲ面白半分デ奪ッタノカ!』


「だから?それがどーしたって言うんだ?俺が何しようが、勝手だろーがよー。」


それを聞いていた白いダイオウウズラはワナワナと震える。


「お…おい相棒!貴様…かつてそんな事を…!?」


「あー。この話は初めてか。お前とチーム組む前だったからなー。戦闘力の高いお前に都合の良い事吹き込んで、俺の邪魔する奴らを消させてきたんだからな。」


あまりの事実に白いダイオウウズラは驚き、膝から崩れ落ちる。そんな白いダイオウウズラの様子を見て、黒いダイオウウズラはニヤリと笑う。


「今まで俺の手駒になってくれてありがとうよ。相棒?ケヒャヒャヒャヒャ!」


邪悪な高笑いが響き渡り、黒いダイオウウズラは不死鳥の姿となったサランに呼びかける。


「さぁ俺の真の相棒、不死鳥サラン!今こそ俺らの力を見せてやろう!」


「キシャー!」


そう言って黒いダイオウウズラと不死鳥サランはお互いに飛びかかり、一つとなっていく。突然光ったかと思うと、そこには…


「やはりこの姿がしっくり来るわ…ケヒャヒャヒャ…」


黒かったダイオウウズラの姿は、紅蓮の炎を纏い、黄金の羽根を煌めかせる姿へと変貌していた。それは神々しくも禍々しい…胸には十五魔将(フィフティデーモナー)の証たる宝石がキラリと光っていた。


「改めて自己紹介しよう!我が名はダイオウウズラ…だが!真の名は〔ダイオウフェニックス〕!全てを焼き尽くし…終焉をもたらさん!」


ダイオウウズラ…もといダイオウフェニックスは黄金の羽根を広げ、高らかに宣言した。それを見ていた長老は、怒りのあまり、翼を大きく広げて突進した。


『貴様ダケハ許サヌ!我ラノ怒リヲ思イ知ルガ良イ!』


飛びかかる長老を軽く受け止め、投げ飛ばす。長老は木々に打ち付けられ、表の姿に戻ってしまう。


「うぅ…」


『長老!』


トゲオが駆け寄り、覆いかぶさるように長老を守る肉壁となる。


『長老ハ、オイラガ守ル!後ハ頼ンダ!』


「任せるぷにゅ!」


ぷにゅりんは、頭の葉を回転させ、上空へ飛び上がる。そしてクーゲル達に目配せすると、ダイオウフェニックスめがけて飛んでいった。


「遅い!その程度の攻撃で俺を倒せると思ったら大間違い…だ!」


「ぷにゃっ!」


素早く振り下ろされる拳の一撃を受けてぷにゅりんは地面に叩き落されてしまう。


「いてて…」


ぷにゅりんが起き上がろうとした瞬間、何枚もの羽根が飛んできて、大爆発を引き起こす。


「ぷにゅあっ!」


「数多の生物を焼き尽くした俺の火炎羽根(ヒートフェザー)…味わってもらえたかな?」


ダイオウフェニックスが高笑いしていると、煙の中から回転する盾が飛んでくる。


「おっと…」


盾を避けつつ翼をはばたかせて煙を晴らすと、ぷにゅりんの前にクーゲルが立ちはだかっていた。


「ボクが守ったから、ぷにゅりんへのダメージは0だよ。」


「小癪な…俺の火炎羽根(ヒートフェザー)を防ぎきるとは…。」


驚きと苛立ちを隠せないダイオウフェニックス。すると、突然後頭部に衝撃が走る。


「なっ…!」


「油断して気づかなかったね。ボクのシールドブーメランに!」


唐突な衝撃でダイオウフェニックスが纏っていた炎が消失する。クーゲルはその隙を逃さなかった。


「今だドロヒュー!デストローム!」


「任せて…!ヒュードロ夜行!」


涙の人魂がダイオウフェニックスにまとわりつき、動きを阻害する。動きが鈍くなったその瞬間…


「フルパワーデストロイブラストッ!」


遠くからエネルギーを溜め込みまくっていたデストロームのクチから、超威力の破壊光弾が放たれる。


「クソッ!クソッ!動けん!やめろ…!やめろ!やめろぉぉぉぉ!」


超威力の破壊光弾が命中し、ダイオウフェニックスはとてつもない衝撃に包まれる。必死に足掻くものの、まとわりついた涙の人魂によって逃げられるはずもなく…


「ギャァァァァァァ!痛い!痛い!身体が削れていく!羽根が!羽根が焼けて消えていく!やめろ!やめろ!誰か助けろ!俺は…こんな所で…死にたく…な…」


ダイオウフェニックスが苦しんだ後、破壊光弾が爆発する。空中に漂う煙の中から、火種に戻ったサランと黒いダイオウウズラが落ちてくる。


「クソッ…何故…何故俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだよ…」


かろうじて生きているものの、身体は消滅寸前だった。そこへ、ぷにゅりんとドレイク族が歩いてくる。


「どうしてこんな目にだって…?それはお前がドレイク族の皆から沢山のものを奪ったからだぷにゅ!」


『ソウダ!我ラト生キル命ヲ…森ノ恵ミヲ奪ッタカラダ!』


『オレタチガ…ドレダケ悲シンダト思ッテル!』


ドレイク族は怒りを露わにしながら黒いダイオウウズラに言葉を投げかけた。そこにトゲオに支えられた長老が歩いてくる。


「貴様はこの世に存在してはならぬ者…だが、森の恵みである、りん族を全て返すというのなら、見逃してやろう。」


長老の声には、怒りと冷静さがこもっていた。その言葉に黒いダイオウウズラは静かに口を開いた。


「わかったよ…捕まえたりん族は全員返してやる…」


長老が頷き、手を差し伸べようとしたその瞬間…


「…なぁんて言うワケねぇだろーが!あのりん族共は、とっくに食ってやったわ!このまま全員道づれにしてくれるっ!」


黒いダイオウウズラは自らの身体にエネルギーを逆流させ、自爆しようとする。その時…


「フェトルスイープッ!」


なんと突然白いダイオウウズラが尻尾を振り、衝撃波を起こして黒いダイオウウズラの自爆を止めた。


「がはっ…!ま…まさか…捨て駒のお前が…!」


「貴様に利用されていた事を知った以上、私はもう過ちをおかさない!」


白いダイオウウズラはそう叫び、クーゲルに頼んだ。


「クーゲル!勝手な願いだとはわかってる!だけど…私のかつての相棒…いや、十五魔将(フィフティデーモナー)のダイオウウズラにトドメをさしてくれ!」


クーゲルは少し驚いたものの頷き、武器を手に取る。


「わかったよ。これは君の罪滅ぼしでもあるんだね…。ならば!ボクはその手伝いをするだけだ!」


クーゲルは武器を構え、深き闇を纏わせた。


「ダークナイト…」


「ま…まて!やめろ!」


黒いダイオウウズラの言葉も聞かず、武器を構え、飛びかかった。


「シュナイダーッ!」


「いぎゃぁぁぁぁぁっ!」


闇を纏った斬撃が、黒いダイオウウズラの身体を真っ二つに切断する。


「いや…だ…俺はまだ…死にたく…ない…」


「沢山の命を奪っておいて、死にたくないは都合が良すぎるんじゃない?」


クーゲルの最後に言い放った言葉がトドメとなり、黒いダイオウウズラは最後に何か言いかけて消滅した。


「これでもうドレイク族の皆は安心できるぷにゅね!」


ぷにゅりんのその言葉を聞いた長老は、少し顔が暗かった。


「ですが、森を去ったりん族は戻ってこないのでしょう…あのモンスターはりん族を食ったと…」


ドレイク族は悲しい雰囲気に包まれていたが、ぷにゅりんは切り株に乗り、口を開いた。


「長老、オレに任せるぷにゅ!」


「…そうか!貴方はりん族!森の恵みである貴方なら…!」


長老のその言葉に、ぷにゅりんはニヤリと笑う。


「今こそ聖なる武具を守り、授けるオレの一族に伝わる魔法を使う時!」


ぷにゅりんがそう言うと、何かの魔法を唱え始めた。


「森の木々よ…大地の恵みよ…枯渇せし森に今一度、希望を与えたまえ…!」


ぷにゅりんが魔法を唱え終わると、森が不思議な風に包まれる。木々が生い茂っていた辺りを見渡すと、美しい森に変わっていった。ドレイク族は、かつての美しい森に戻った事を喜ぶ。


「「「「おぉ…!」」」」


「また…この豊かな森を見られる日が来るとは…」


『凄ク綺麗…オイラノ知ッテル森トハ全然違ウナ!』


長老は涙を流し、トゲオは自然の美しさにうっとりする。その時、黒いダイオウウズラの張っていた結界が消え、青空が見えるようになった。


「元々こんなに綺麗な森だったんだね。」


「空気も凄く美味しい…!」


「我はいつか、この森でキャンプとかしてみたくなったな。」


クーゲル達もワイワイと喜び、一息ついたぷにゅりんの元に、長老が歩いてきた。


「りん族…いえ、ぷにゅりん!森を復活させてくれてありがとう!」


「オレはただ、一族に伝わる魔法…リバースエナジーを唱えただけぷにゅ。魔法が効くくらい森が無事だったのは、ドレイク族の皆が頑張ったおかげぷにゅよ。」


ぷにゅりんのその言葉に、長老を含めたドレイク族は涙を流した。そして長老はクーゲル達の元に歩き出し、頭を下げた。


「ぷにゅりんの仲間であるクーゲル達皆様にも、なんとお礼を言ったら良いか…。森を守る為に戦ってくれて感謝する…!」


「ボク達は旅の途中でここを通っただけだから。お礼なんていりませんよ。」


クーゲルはそう言って笑顔でかえすと、長老は少し考えた後に何かを手渡した。


「しかしお礼を何かしなくては我らも気がすまない。だからこれをさしあげましょう。」


クーゲルが4つの首飾りを受け取り、疑問に思っていると長老が説明してくれた。


「これは我らドレイク族の仲間であるという証。これがあれば、他のドレイク族と出会っても信頼されるでしょう。」


「なるほど…ありがとう!」


クーゲルがお礼を言い、ふと後ろを見ると、デストロームと白いダイオウウズラが話していた。


「ダイオウウズラ…」


「デストローム様。私の事は放っておいてください…。」


俯くダイオウウズラをデストロームはあの手この手で落ち着かせようとする姿が見えた。


「確かにお前は悪い事をしたかもしれぬ…だが、それは我も同じだ。」


「え…?デストローム様も?」


疑問を持ったダイオウウズラに対し、デストロームは口を開く。


「あぁ。神魔宝軍は元々我が作ったからな。昔は別の名だったが…それはともかく、今では神魔宝軍が至る所で暴れている。沢山の人やモンスターが犠牲となり、苦しんでいる…。」


「デストローム様…」


デストロームは続けてダイオウウズラに語る。


「我はクーゲル達と共に旅をしている。オメガアーマーに故郷の点心街を破壊されたりしたからな。今は、我を慕う元・神魔宝軍のモンスター達が復興を手伝ってくれている。」


「なるほど…」


デストロームはダイオウウズラの頭に手を置くと、ぽんぽんとなでた。その度に小さく胞子が舞った。


「ダイオウウズラ。よければ今から神魔宝軍をやめて、我の故郷の復興を手伝ってくれないか?」


デストロームの言葉に思わず涙が出たダイオウウズラは涙を拭い、頷いた。


「も…もちろん!私、頑張るよ!」


「よし!では点心街に向かって、ゴールドゴーレム達と合流してくれ。」


デストロームの言葉に頷き、ダイオウウズラは森の中へ、駆けていった。その様子を見てニコッと笑ったクーゲルは、ハッと思い、長老に声を掛ける。


「あの…ボク達、この森を抜けたいんだけど、どっちに進めばいいかな?」


「あぁ、それなら案内役をつけよう。」


長老はそう言ってトゲオに向けて手招きをする。トゲオは未だに裏の姿であり、ドスンドスンと歩いてくる。


「クーゲル達を森の出口まで案内してやってくれ。できるか?」


『モチロン。オイラニ任セテクレ。』


トゲオは身体を屈ませ、口を開く。


『サァ皆、オイラノ背ニ乗ッテクレ。』


「んしょ…んしょ…」


「お邪魔します…」


「我も乗らせてもらうぞ。」


「ふふっ。トゲオの背は乗り心地が良いぷにゅね!」


トゲオはぷにゅりんの言葉に少しむず痒くなったものの、森の出口へ向けてゆっくり歩き出した。クーゲル達はドレイク族に手を振って別れ、また進むのであった。

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