表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/26

星詠みのニコラス

窓に朝日が差し込む。小鳥がさえずる。それと同時にクーゲル達は目を覚ます。


「んん…よく寝たぁ…」


「スイートルームって凄く疲れが取れるぷにゅね…身体が軽いぷにゅ〜♪」


「まったくだ。あれだけの疲れが嘘のようだ。」


クーゲルとぷにゅりん、デストロームがベットから起き上がると、ドロヒューがやってくる。


「皆、起きたね?」


そう聞いたドロヒューに向かって3人は頷く。そしてスイートルームを出て一階へ降りると、ケー鬼が待っていた。


「おはよう!昨日のお菓子作り大会ではありがとね。」


「色々あったけどボクは楽しかった!」


クーゲルとケー鬼がお互い笑顔で話す。するとケー鬼は思い出したかのようにデストロームに近づき、セイロを渡す。


「借りてたモノを返すよ。このセイロのおかげで最高のお菓子を作れたよ。」


「我のセイロが役に立って何よりだ。特異個体の我でも人の役に立てるのが分かって大きな収穫だった。」


くすくすと笑うデストローム。しばらくそんなやり取りをして宿を出た5人は、街の北門の前で立ち止まる。


「ここでお別れだね。」


「交易都市マムクアに寄ったらぼくのパティスリーに来てくれよっ!」


クーゲルとケー鬼は固い握手を交わし、見送られながら4人は北門へ歩みを進める。


「次に会えるのが楽しみだな〜♪」


「交易都市マムクアって所も、いつか寄ってみようぷにゅ。」


楽しそうに歩くクーゲルと飛び跳ねるぷにゅりん。2人を見ていたドロヒューはデストロームが何か考え事をしてるのを見る。


「デストローム、どうしたの?」


「ん?あぁ…なんでもない。」


デストロームは笑って誤魔化す。ドロヒューは疑問に思いながらも深くは触れない事にした。


「(ガナシュ王国を出てから気配を感じる気がする…我の思い違いであればいいのだが…。)」


デストロームは不安ながらもクーゲル達と歩いていく。


しばらく歩いていると明るいはずの道が霧に包まれていく。辺りを見渡すも生き物の気配一つ感じられない。


「な…なにが起こってるんだ!?」


「暗くて怖いぷにゅ…!」


4人が警戒して背中合わせになると、周りの草むらがガサガサと揺れ始める。


「何かとてつもなく強いモンスターが近づいてくる気がする…!」


「くっ!我の予感は的中してしまったのか!」


各々が戦闘態勢をとって警戒を強めると、木々をなぎ倒し、草むらから大きなモンスターが現れる。その姿は3つの首を持ち、全身が骨のドラゴンだった。


「嘘でしょ…あんなに強いモンスターが…」


「ドロヒュー!知ってるの!?」


クーゲルがドロヒューに聞こうとするとぷにゅりんが叫びだす。


「あれはミズチぷにゅ!ステージⅣのとてつもないモンスターだぷにゅ〜!!」


「す…ステージⅣ!?モンスターの中で強さを表す基準、ステージの最上位…!」


「我と同等のステージか!皆は我の後ろへ!」


驚くぷにゅりんとクーゲルを背に隠し、デストロームは三つ首の骨竜…ミズチを睨む。


「我の仲間に手出しはさせぬぞ!」


「消…エ…去…レ…」


デストロームとミズチは激しくぶつかり合う。お互いのパワーはほぼ互角だ。


「ぬぐぁぁぁっ!」


デストロームは鋭い爪でミズチの首を2つ掴むと、力を入れた。ミシミシという音が響き、ミズチが苦しみだす。


「消…エ…去…レ…」


負けじとミズチも残りの首でデストロームに噛み付く。


「がぁぁぁっ!」


その痛みに耐えきれず掴んでいた首を離してしまう。その隙を突いたミズチの突進攻撃をもろに受けてしまう。


「ぐぁぁぁ…」


「デストロームッ!」


クーゲルが心配して走り出すも、ミズチは猛毒をクーゲル目掛けて放とうとする。


「クーゲル!危ないぷにゅ!」


「あっ…」


間に合わないと思った次の瞬間…


「…極光の矢!」


その言葉と共に放たれた光の矢がミズチを貫いた。4人が矢の放たれた方向を見ると、そこには真紅のマントを翻し、黄金の冠を被り、光の矢を手にした蒼いネコのモンスターが佇んで居た。


「アナタは…」


「話は後だ。そこのモンスターの治療を優先する。」


蒼いネコのモンスターはデストロームに向けて祈りを捧げると、みるみる傷が塞がり、デストロームは何事も無かったかのように起き上がる。


「我の怪我が…!」


「あ…ありがとうございます。」


「礼には及ばない。それよりも…」


そう言うと蒼いネコのモンスターは起き上がり、奇襲を仕掛けようとしたミズチをパンチ一発で吹き飛ばし消滅させてしまった。


「す…凄いぷにゅ。」


「ねぇ…君の名前は?」


ドロヒューが名前を尋ねると、蒼いネコのモンスターは自己紹介を始めた。


「私はニコラス。星を詠む者と呼ばれているね。」


「ボクは…」


クーゲルが自己紹介をしようとした時、ニコラスは口を開いた。


「クーゲル。亜人街で暮らしていた10歳の少年。謎のヘルムにより今の姿となった…だろ?」


「どうして知ってるの…?」


クーゲルが不安そうに聞くと、ニコラスは空を指差し、語る。


「星が教えてくれるのさ。私は星を詠む者だからね。他の3人の事も知ってるよ。」


その言葉を聞いた3人は驚く。語ろうとしたニコラスを遮り、クーゲルは話しかける。


「ところで、ニコラスはどうしてここに?」


「私は〔シンタマー〕というモンスターを探している。」


「シンタマーか…」


話しを聞いたデストロームは何やら顎に手を当てて考える。


「心当たりがあるの?デストローム…」


ドロヒューが聞くと、デストロームは難しい顔をする。


「無くは無いんだが…眉唾モノでな…イマイチ確証がなぁ…」


「確証が無くても教えて欲しい。」


ニコラスがそう言うとデストロームは話しだした。


「満月の夜に奇跡が起きる。不思議なタマネギ命を宿す。タマネギすくすく育ちきる。タマネギ人に紛れゆく。タマネギ世界を滅ぼさん…というわらべ歌を聴いた事があったのだ。」


デストロームの言葉を聞いたニコラスは一礼すると、空高く飛んでどこかへと消えていった。


「行っちゃった…」


「とにかくオレ達も気を付けて進もうぷにゅ。霧はまだ晴れないみたいだし…」


ぷにゅりんの言葉に3人は頷き、霧に包まれた道を進んでいく。


「それにしても霧が濃くなってきてる気がするね…」


「薄気味悪いなぁ…」


クーゲルとドロヒューが不安そうにしていると、突然ガイコツが浮かび上がってくる。


「ひゃあっ!?」


クーゲルが思わず驚くと、ガイコツが大量に増えてくる。しかしガイコツをよく見ると、ゼリー状の物質に包まれているのに気づいた。


「あのガイコツ…ゼリー状の何かに包まれてる!」


「なるほど…あのガイコツ共はゲルマンだな!」


クーゲルの言葉で正体に気づいたデストロームは素早く戦闘態勢に入る。


「こいつらは熱と電撃に弱い!クーゲル!一緒に頼むぞ!」


「わかった!」


クーゲルは武器に電撃を纏わせる。デストロームはその間に口を開く。


「ライトニングシュナイダーッ!」


「デストロイブラストッ!」


クーゲルの鋭い斬撃とデストロームの破壊光弾がゲルマンを吹き飛ばす。吹き飛ばされたゲルマンはドロリと溶けきって消滅してしまう。


「モタモタしていたら新たなモンスターに襲われるかもしれない…皆!突っ走ろう!」


クーゲルの言葉に賛成した3人は猛ダッシュで霧の中を突き進む。


しばらく進むと、ボコボコと泡を沸かせた温泉のような場所にたどり着いた。


「これは…温泉?」


「にしては熱そうぷにゅ。まるでマグマのような…」


「こんなの入ったら火傷しちゃうよ…」


「しかしどうしてまたこんな所に…」


4人が疑問に思っていると、突然声が響いてくる。


「やれやれ…ボーイとお前達とまた出会うなんてどーいうイタズラー?」


「この独特な喋り方は…」



ドロヒューは聞き覚えのある声に警戒する。すると目の前の煮立つ温泉から巨大な何かが飛び出してくる。


「お久しのおひたし!ランタンボーイッ!」


その言葉と共に飛び出したのは、大きな身体と至る所に炎を纏うモンスター…それは自らをランタンボーイと名乗る。


「これがランタンボーイだって!?姿代わりすぎぷにゅ!」


「ボーイがどうしてこうなったか知りたそうね?ならば教えてあげよう!教えとー!」


ランタンボーイと名乗る巨大なモンスターはオーバーリアクションをしながら語りだす。


「あの時ボーイは確かにやられた。光の粒となって暗黒を彷徨っていた。だが!ボーイは他のモンスターの力を無理矢理取り込んで、今はステージⅣ!〔獄炎王(ごくえんおう)〕として蘇ったんでー!」


元ランタンボーイの獄炎王はポーズを決めながら笑っている。それを聞いたクーゲルは質問をする。


「ランタンボーイ…いや、獄炎王!一つ聞いていいか?」


「ボーイは今機嫌がいい!何でも教えてやろーじゃない!」


獄炎王はそう言って聞き耳を立てる態勢になる。


「今回の深い霧と死鬼型モンスターの大群…これと君は何か関係ってある?」


クーゲルがそう言うと獄炎王は突然笑いながら喋りだす。


「アハハハ簡単な話!ボーイが使役して獲物を捕らえさせてるだけ!つまりボーイの為!まさかお前達が引っかかるとは思わなかったけどー!?」


クーゲルはそれを聞いた瞬間、獄炎王を斬りつける。しかし傷一つつけられなかった。


「お?ボーイに攻撃?それじゃあの時のリベンジマッチしよ!」


獄炎王は突然目から熱線を放ち不意打ちを仕掛けてくるも、クーゲルは素早く躱す。


「このっ!シールドブーメラン!」


クーゲルは盾を投げつけ、獄炎王の頭にぶつけるものの、全く怯まないその姿に歯を食いしばる。


「ボーイのボディは無敵のボディ!何故ならカーナメタルだからね!」


獄炎王は身体を見せびらかし、キラリと光らせる。その様子を見たクーゲルは盾をキャッチして構える。


「これならどうだ!ドゥンケルボム!」


構えた盾から闇の爆発を放つも、獄炎王に傷一つ付けられない。


「もう終わり?じゃあボーイの番ね!」


獄炎王はドシドシと走り、両腕を振りかぶる。そしてクーゲルに向けて腕を勢いよく振り下ろし、叩きつけた。


(スーパー)メタリングパーンチ!」


「何そのダサいネーミン…ぐぅっ!?」


あまりにもダサい技名に防御を忘れたクーゲルは巨大な腕の一撃を受け、膝をついてしまう。


「ボーイのパワーにびっくりドキドキ?もっともっと知っちゃって!」


そう言うと獄炎王はクーゲルを何度も殴りまくる。クーゲルは盾と鎧で攻撃を防ぐものの、重量感のある攻撃に耐えられなくなってしまう。


「(もう…ダメだ…)」


「極光の矢!」


突如放たれた光の矢が獄炎王を弾き、よろめかせる。


「およよよよ?ボーイがこの程度で転ぶわけな…」


「えぇい!」


すかさず飛んできたニコラスが獄炎王の足を思いっきり殴り、転倒させた。


「ボーイがころりーんッ!」


ニコラスはクーゲルに祈りを捧げ、受けた傷を全て回復させた。


「あ…ありがとうニコラス。」


「お礼はあのデカブツを倒してからだ。」


デカブツと呼ばれた獄炎王は腹部の炎を激しく燃え上がらせ、勢いよく起き上がる。


「ボーイがデカブツだって!?ボーイはボーイだー!驚愕メラメラテールッ!」


尻尾による薙ぎ払い攻撃をニコラスは容易く避けると、光の弾丸を何発も放った。


「この程度の攻撃!ボーイには痛くも痒くもなーい!」


「それは囮だ!くらえ!極光の矢!」


ニコラスは特大サイズの光の矢を放ち、獄炎王の胸に見事に命中させた。


「ボーイの胸がぽっかりー!?だけどもこんなもんー!」


獄炎王は苦しみながらも光の矢を引き抜き、力を込めて粉々にした。


「ボーイは本気で怒ったね!原点回帰で最終勝負!」


「かかってこいデカブツ!」


ニコラスは何かを詠唱し始める。獄炎王は口を大きく開き息を吸い込むと、灼熱の炎を吐き出した。


熔岩地獄(クリムゾンアウト)ーッ!」


「…覇者の流星!」


突然空から無数の光が降り注ぎ、灼熱の炎を消し飛ばし、獄炎王に何度も直撃する。


「ボーイ、またしても敗北ーッ!?無念を胸にさよーならーッ!!」


獄炎王は光に包まれ、消滅する。それを見ていた4人は驚く。


「肩慣らしにもならないね。それと皆、大丈夫?」


ニコラスが笑顔で聞くと、4人は頷く。するとニコラスはマントを翻し、空を飛ぶ。


「私はシンタマーを探す為にもう行くが、またいずれ会う時があるだろう。では、星の導きがある事を願うよ。」


ニコラスは空の彼方へと飛び去った。しばらくすると霧が晴れて、いつもの街道に戻った。


「何か凄いモンスターだったぷにゅね。」


ぷにゅりんがそう言うと、クーゲルは空を見上げて目をパチパチさせる。


「でも…あのモンスターとはそのうちまた会える気がするなぁ。」


「我も同感だ。彼の祈りで傷を癒やしてもらったからかも知れぬがな。」


デストロームはうんうんと頷き、ドロヒューが3人の前に移動すると、両手を広げた。


「とにかく進もう!僕達の冒険はまだ続くんだから…!」


その言葉に頷いた3人は再び歩き出した。これからも4人の旅は続く。空では小さな光が一瞬だけ瞬いた。

今回登場したニコラス王子はアイオルカさん(@iorca11)の応募し、採用されたキャラクターです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ