波乱万丈!お菓子作り大会!
クーゲル達は和気あいあいとしながら街道を歩いていた。
「えーと…ボクらが次に向かえるような近くの街ってあるかな?」
地図を開きながら呟くクーゲルに、デストロームが首を伸ばして地図を覗き見る。
「最も近い場所はこのガナシュ王国だな。点心街に近いから我も何度か行った事がある。もうすぐそこにあるぞ。」
「ガナシュ王国…確か和洋のお菓子が集うと言われる場所ぷにゅね。お菓子の王国とも比喩される凄い場所と聞いたことあるぷにゅ。」
ぷにゅりんが自慢げに語る。それを聞いたドロヒューは目を輝かせる。
「どんなお菓子が食べれるんだろう…僕、楽しみで仕方ないよ。」
そんな話をしながら進んでいると、ガナシュ王国が見えてくる。4人は急ぎ足で王国へと向かうのだった。
「ここがガナシュ王国…!どこを見ても甘い香りがしてくるね!」
「僕、お菓子をあんまり食べた事無かったから、どれも目移りするなぁ…!」
はしゃぐクーゲルとドロヒューを見て、ぷにゅりんは笑顔になる。すると、デストロームが4つ程クレープを持って歩いてくる。
「まずはこのクレープで到着記念としないか?我らの旅路を祝うものとして!」
その言葉を聞いたクーゲルとドロヒューが一目散にデストロームに近づく。そしてクレープを受け取ると、美味しそうに頬張る。
「甘っ!本場の味ってこういうのを言うんだなぁ…」
ドロヒューはクレープを食べながらそう言うと、指についたクリームをぺろりとなめる。クーゲルとぷにゅりんもクレープをかじる。
「このクレープ美味しいぷにゅ!中のフルーツの酸味が程よくて…」
「ボクは好きだなぁ…この甘さ。」
その光景を見たデストロームは、大口開けてクレープを一口で食べきる。3人もクレープをぱくぱくと食べきり、ホッと一息つく。
「さて、これからどうしよっか…?」
ドロヒューが聞くと、クーゲルは悩む。ふと離れを見ると、なにやらあたふたしているモンスターを発見した。
「…ん?あそこで焦っているのはいったい…」
4人は慌てているモンスターの元へ近づく。慌てているモンスターはそわそわしていた。
「困った困った…大会に参加するには2人以上居ないとできないなんて…。どうしよう…」
「あのー…どうしたんですか?」
クーゲルが後ろから話しかけると、モンスターは素早く後ろを振り向く。そして、4人を見ると驚きながらも話し始めた。
「実はこのガナシュ王国で年に一度開かれるお菓子作り大会に参加する為にここまで来たんだが…参加人数が2人以上居ないと参加できなくて困っていたんだ。パティスリーの皆は急用ができて来られなくなったらしくて…」
「なるほどねぇ…」
モンスターの話を聞いたクーゲルは考え込む。すると、ぷにゅりんが名乗りを上げる。
「オレ達が代わりとして参加すれば良いんじゃないぷにゅか?」
その言葉を聞いた3人は驚きながらも頷く。
「我もぷにゅりんに賛成だ。」
「確かに困っている人は放っておけないよね…!」
「そうだね皆!ねぇ、ボク達が代わりに君のメンバーとして参加しても良いかな?」
その言葉を聞いたモンスターは涙を流しながらクーゲルの手を握る。
「ありがとう!ありがとう!そうと決まったら一緒にガナシュ城へ来てくれ!大会はお城の中庭で開催されるんだ。」
モンスターの言葉を聞いた4人はモンスターについていく。しばらくすると、ガナシュ城の門の前に到着する。お城の兵士の一人がそのモンスターを見て、溜息をつく。
「またアナタですか。何度言っても2人以上じゃないと参加できな…」
「ぼくの後ろを見てください。メンバーはちゃんと居るよ!」
モンスターの言葉を聞き、後ろを見た兵士は驚く。
「こ…これは失礼しましたっ!どうぞお通りください!」
兵士は門を開け、モンスターとクーゲル達を通す。5人はエントランスの参加受付に行くと、それぞれの名前を書き、チーム名の欄にはモンスターが〔パティスリー・ラヴリーム〕と書き込んだ。
「へぇ…ケー鬼って言うんだね。」
クーゲルがそう言うと、モンスター…ケー鬼は頷く。
「ぼくは〔ラブモン〕という比較的珍しい種族でね、交易都市マムクアという場所でスイーツ屋を営んでいるんだ。」
そんな話をしながら歩いていると、5人は中庭に到着する。中庭には沢山のパティシエが集まっていた。
「ここに居るの皆パティシエ?凄い数だなぁ…。」
「オレ達も張り切らなきゃダメぷにゅね!」
「さぁ皆、ぼくのパティスリーのエプロンを貸してあげよう。これで同じチームだって分かるよ。」
4人はエプロンを装着し、大会が始まるのを待つ。しばらくして、ファンファーレが鳴りだした。
「ガナシュ王国、国王様と王妃様のおなーりー!」
召使いのその言葉と共に現れたのは、お菓子の身体を持つ王様達だった。
「国王のクッキングだ。」
「王妃のシロンよ。」
王様達は自己紹介をし、大会の説明に入る。
「このお菓子作り大会のルールはただ一つ!私達2人の審査点が最も高かった者が優勝するというもの。」
「美味しくて見た目も素敵なお菓子ほど、得点も高くなるのよ!」
2人の言葉を聞いた参加者達が我こそはと名乗りを上げ、歓声をあげる。
「これはライバルが多くなりそうだね。」
「オレらも頑張らなきゃぷにゅね!」
張り切るクーゲルとぷにゅりん。ケー鬼は顔をパシッとして、気合を入れる。
「優勝してパティスリーを有名にする!」
そう意気込んだケー鬼は素早く調理道具を用意し、どんなお菓子を作るかを考え始める。それを物陰から見ていた4人が居るとも知らず…。
「優勝なんてさせないぜ…」
「「「ぷにゅ。ぷにゅ。」」」
しばらく時間が経ち、ついに最初のお菓子を完成させた参加者が現れる。
「チーム甘色のお菓子は〜〔4種のフルーツグラタン〕〜。」
召使いの紹介と共に王様達の前に出たのは彩り豊かなフルーツグラタンだった。
「中々美しいお菓子だな。」
「えぇ。味の方はどうかしら?」
2人はスプーンですくい、フルーツグラタンを口に運ぶ。すると、いまひとつな表情になる。
「うーん…?旨いっちゃ旨いんだが…何か物足りぬなぁ…。」
「素材の味を活かしてると言えますわね…でもやっぱり物足りません事。」
「それでは国王様、王妃様、合わせて20点満点中何点かの審査をお願いしま〜す。」
召使いの言葉の少し後に王様達は口を開く。
「…4点だな。」
「私的には5点かしら?」
「チーム甘色の合計得点は9点〜。」
王様達が得点を発表すると、会場はわあっと盛り上がる。チーム甘色は意外と低い点数にがっくりする。その裏で見ていたモンスター達はニヤリと笑う。
「砂糖と味無しパウダーをすり替えて減点作戦はうまくいったな…!」
「「「ぷにゅ。ぷにゅ。」」」
モンスター達は自分の持ち場に戻っていく。しばらくして、次にお菓子を完成させた参加者が現れる。
「チーム飴雨のお菓子は〜〔飴包みスイートポテト〕〜。」
王様達の前に出されたのは、金色の飴でコーティングされたスイートポテトだった。
「キラキラで見てて飽きませんわね。」
「さて味の方はどうなのか…」
2人はスイートポテトを手に取ると、ぱくりとかじる。しばらく咀嚼すると、またしてもいまひとつな表情となる。
「飴はしっかりパリッと甘いが…」
「肝心のスイートポテトがパサパサして美味しくありませんわね…。」
「それでは国王様、王妃様、合わせて20点満点中何点かの審査をお願いしま〜す。」
召使いのその言葉の後、しばらくして王様達は口を開く。
「5点だな。」
「…3点ですわ」
「チーム飴雨の合計得点は8点〜」
チーム飴雨は低い評価にがっくりと項垂れる。それを見ていたモンスター達がまたしてもニヤリと笑う。
「生地がまとまらなくなる牛乳にすり替えといたのがうまくいったぜ…!」
「「「ぷにゅ。ぷにゅ。」」」
その後も次々と低得点が発表されるのをクーゲルとドロヒューは見ていた。
「審査の方は荒れてるなぁ…」
「ボクらも頑張らないと低得点になっちゃうね。」
それを聞きつつも、ケー鬼はオーブンに向かう。
「さて、そろそろケーキが焼き上がるよ〜」
ドォンッ!
ケー鬼がオーブンを開けた瞬間、オーブンの中が爆発する。瞬く間に5人は黒コゲとなってしまう。
「…これで8回目だな。」
「このオーブン、やっぱり壊れてるんじゃないぷにゅか…?」
デストロームとぷにゅりんが口々に言うと、突然一人のモンスターがクリームを混ぜながら歩いてくる。
「よぉケー鬼!調子はどーだ?」
モンスターはクリームを目の前で混ぜながらニヤニヤとケー鬼を見ている。
「助っ人を見つけてお菓子作り大会に参加したみたいだが…あんまり上手くいってないみたいだな!やっぱり大会の優勝はこの〔アーマーク〕様のモノだなニッヒッヒ!」
モンスター…もとい、アーマークはわざとらしくクリームを音を立てながら混ぜつつ、嫌味っぽく笑う。
「ま、同じお菓子職人として最後まで頑張ろーぜ!ニッヒッヒッヒ!」
そう言うとアーマークはクリームを混ぜながら歩いていった。それを見ていたクーゲル達は呆れていた。
「なんだアイツ…」
「嫌な感じぷにゅ。」
「だが…我には分かる。嫌な奴だが…奴の実力は本物だ。」
デストロームは笑いながら去っていくアーマークを見て、気づかれない程度に睨みつける。
「ぐぬぬぬ…」
悔しそうに歯を食いしばるケー鬼を見て、クーゲルは気になった事が思い浮かんだ。
「ケー鬼、さっきのモンスターと知り合いなの?」
クーゲルがそう尋ねると、ケー鬼は少しため息を吐いてから、話し始めた。
「…アーマークはぼくの向かいに店を構えているパティシエで、ぼくのライバルなんだよ。」
ケー鬼は続け様に語る。
「アーマークは厭味ったらしいやつでね、ぼくの店からお客を奪っておきながら冷やかしにくる程なんだ。悔しい事にアーマークの実力は本物。ぼくのお菓子よりも何倍も美味しいんだ…。」
落ち込むケー鬼を見て、クーゲルは考える。すると、ぷにゅりんが何かを閃く。
「心だぷにゅ!」
その言葉を聞いたクーゲルは疑問の表情となる。しかしデストロームはニヤリと笑った。
「なるほど…心か。心を込めて作ったモノ程、貰って嬉しいモノは無いからな。」
それを聞いてクーゲルは亜人街のこども食堂のおばちゃんの事が頭によぎった。心を込めて作られたお弁当を…。
「…作ろうよ!心が込められた最高に美味しいお菓子を!皆が笑顔になれるモノを!」
クーゲルのその言葉を聞いた4人は頷き、さっそくお菓子作りの準備に取り掛かる。するとケー鬼が困った顔になる。
「だけどオーブンはどうする?おそらく、また爆発すると思うんだけど…。」
「それなら心配は無い。我に任せてくれ。」
デストロームはそう言うと、丸っこい姿に変身する。そして頭のセイロを皆に披露した。
「我はまんじゅうおばけという種族でな。饅頭を作れない特異個体なのだが…このセイロを通してオーブン代わりにはできるだろう。」
デストロームは頭のセイロをクーゲルに渡し、再び大きな姿へと変身する。
「なるほど…ありがとう!デストローム!」
「我も一端の料理人。料理やお菓子の知識は沢山あるからな。」
「よーし!アーマークを超えるお菓子を皆で完成させようー!」
ケー鬼のその言葉で全員が張り切る。しかしそれを見ていたアーマークがニヤリと笑う。
「ケー鬼が何をしようとも優勝はこのアーマーク様のモノだ…!」
「「「ぷにゅ。ぷにゅ。」」」
しばらくして、アーマークがお菓子を完成させる。
「チームパティスリー・メイルドのお菓子は〜〔甘々アーマーケーキ〕〜。」
王様達の前に出されたのは綺麗な飴細工で飾られた3段ケーキだった。
「まるで白銀の鎧のように美しい飴細工…」
「だが味はどうだ?」
2人はケーキを切り分け、口に入れる。すると、目を輝かせた。
「上品かつ濃すぎない味…」
「飴のパリッとした食感…」
「それでは国王様、王妃様、合わせて20点満点中何点かの審査をお願いしま〜す。」
その言葉を聞いた王様達は口を開く。
「9点だ!」
「8点ですわね。」
「チームパティスリー・メイルドの合計得点は17点〜」
発表された高得点を聞き、会場がさらに盛り上がる。それと同時にアーマークはニヤニヤと笑う。
「これで優勝は確実だな…!」
笑うアーマークをよそに、ケー鬼達が前へ出る。
「最後の参加者…チームパティスリー・ラヴリームの登場〜」
召使いの言葉と共に王様達の元へ歩いていく5人。アーマークは鼻で笑っている。
「ぼく達の作ったお菓子は、〔真心の蒸しカステラ〕です!」
ケー鬼はそう言って抱えていたセイロを王様達の前に差し出す。セイロのフタを開けると、柔らかな湯気と共に、美しいクリーム色のカステラが優しい香りと共に現れる。
「おぉ…!何と美味しそうな香り…」
「ふっくらとした上品な色合い…」
2人はセイロのカステラをフォークで切り、口へ運ぶ。しばらくもぐもぐと咀嚼した後、2人は涙を流した。
「私は昔…このカステラを食べた事がある…。」
「えぇ…懐かしいわね…。今は家出した娘と3人で食べたあのカステラと同じ味…。」
2人は涙を流しながらカステラを完食する。そして召使いは優しい声で2人に声を掛ける。
「…国王様、王妃様、合わせて20点満点中何点かの審査をお願いしますね。」
召使いの言葉を聞いた2人は声を揃えて言った。
「満点…10点だ!」
「同じく10点よ!」
「チームパティスリー・ラヴリームの合計得点は20点!」
満点が発表され、会場がとても盛り上がる。点数で負けたアーマークはギリギリと歯ぎしりをしながら叫ぶ。
「…ず、ずるいぞ!そんなの反則だーッ!」
「「「ぷにゅ!ぷにゅ!」」」
「反則なのは貴様の方だ!」
デストロームがそう叫ぶ。すると、周りはシーンとした。
「我の部下であるモニタりんがさっきやってきたのだ。モニタりんの頭のモニターをのぞき込んだ時、貴様の不正たる悪事がバッチリ映されていた!」
「な…なにを根拠に…!」
アーマークは焦りを見せながらも反論する。するとデストロームはモニタりんの映像を周りにも見えるように公開した。
「あ!おら達のフルーツグラタン!」
「ボキらのスイートポテト!」
沢山の参加者の材料をすり替えるアーマーク達の姿が映されており、アーマークは冷や汗をかく。
「アーマーク!これはどういう事だ!」
王様のクッキングはアーマークを睨みつける。すると、アーマークは狂ったように笑い出す。
「…ククク。バレちまったんならしょうがねぇ。テメェら全員眠ってもらうぜ!」
そう言ってアーマークは沢山の雲の泡を作り出す。そして勢いよく会場に降らせた。
「永眠しろ!バブリークラウド!」
雲の泡に触れた参加者は突然生気が抜けたかのように倒れ込んだ。それを見て慌てふためき、逃げ惑う参加者。王様達2人は飛んできた雲の泡を軽くあしらい、唯一食らわなかったクーゲル達に叫ぶ。
「すまない!チームパティスリー・ラヴリームの者!ヤツを止めてくれないか!」
「…わかりました王様!」
戦闘能力の無いケー鬼を後ろに隠れさせ、4人はアーマークに戦いを挑む。
「ぷにゅー!」
「同じりん族として、こんな事して恥ずかしく無いぷにゅか!」
一匹のハガネノリンと交戦するぷにゅりん。動きは単調だが、鋼鉄の身体をもつハガネノリンに苦戦してしまう。
「ヒュードロ夜行!」
「デストロイブラスト!」
「「ぷにゅー!」」
涙の人魂と破壊光弾で二匹のハガネノリンと応戦する2人。ハガネノリン達も負けじとタックルをかまして反撃してくる。
「オラオラァ!もっとかかってきやがれ!」
「(くっ…!結構素早い!)」
アーマークとクーゲルが激しい攻防戦を繰り広げている中、ケー鬼はどうしようかと考えていた。
「ぼくも皆のサポートをできれば…でもどうすれば…。」
その時、デストロームとドロヒューは二匹のハガネノリンに強力な一撃を叩き込んだ。
「「ぷにゅぅ…」」
「何とか片付いたね…!」
「あぁ。ステージⅣの我でも苦戦する硬さとは…ドロヒュー。ぷにゅりんの援護に行ってくれ。我はクーゲルに加勢する。」
デストロームのその言葉に頷き、ドロヒューは二手に別れて素早く移動する。
「オラオラオラオラ!」
「(反撃の隙が無い…!どうすれば…)」
その時、デストロームがアーマークを引っ掻き、怯ませる。
「我も加勢するぞ。クーゲル。」
「ありがとうデストローム!くらえアーマーク!ドゥンケルボム!」
盾から闇の爆発を放ち、アーマークを吹っ飛ばす。
「ちっ!2対1は少し厳しいな…それなら!」
アーマークは素早く受け身を取って着地し、クーゲルとデストロームの周りを高速で走り出す。
「な…なに!?目が回ってきた…」
「クーゲル!周りを見渡してはならぬ!」
「もう遅い!このスパイラルを受けた以上、もう立ってはいられないぜ?」
クーゲルは目を回してフラフラとしてしまう。デストロームは身を固めて目をつぶっていたので無事だった。
「クーゲル!しっかりしろ!」
「隙あり!テイルギロチン!」
クーゲルを鋭い剣の尻尾で叩きつけようとするアーマークの攻撃から庇おうとするデストローム。その時…
「リーフコプター!」
その掛け声と共に現れたのは頭の葉を回転させたぷにゅりんだった。強固なカサでアーマークのテイルギロチンをはじき返し、舌でアーマークを何度も叩く。
「こしゃくな…」
「僕の事を忘れたら困るね!ヒュードロ夜行!」
お次はドロヒューが現れ、涙の人魂を飛ばしてアーマークの動きを阻害する。
「さぁ目を覚ましてクーゲル!」
「今がチャンスぷにゅよ!」
「我らの力を見せてやろうではないか!」
3人の言葉を聞いたクーゲルは目を覚まし、素早く武器を構える。
「そうだね皆…!ボク達の力を合わせよう!」
クーゲルは武器を掲げると、ぷにゅりんは念じ、ドロヒューとデストロームはヒュードロ夜行とデストロイブラストを武器に放ち、力に変えた。しかしそれと同時にアーマークは涙の人魂を吹き飛ばす。
「ちっ!どっちが強いか比べるってか!このアーマーク様をなめるなっ!」
「ライトニング…」
クーゲルが武器を構えるとアーマークは両手を前に突き出し、エネルギーを溜める。そして両者は同時に技を放った。
「シュナイダーッ!」
「キントウンッ!」
超火力の熱光線と、クーゲルの必殺技がぶつかり合う。火花を散らし、衝撃波が舞う。
「ぐぎぎぎ…」
「…ちっ!」
激しいぶつかり合いの末、最後に勝ったのは…
「ぬぐぁぁぁぁっ!」
跳ね返された熱光線と4人の力が合わさった斬撃を受けたアーマークは空の彼方へと吹き飛ばされていった。
「「「ぷ…ぷにゅ〜!?」」」
それを見た3匹のハガネノリンは慌てて逃げ出した。
「か…勝った…」
「やったぷにゅね!クーゲル!」
「我らの勝利だ!」
「やったぁ〜!」
ふうっと一息つくクーゲルと喜ぶ3人を見て、ケー鬼は空を見つめた。
「ん…あれ?」
「ボキ達は確か…」
アーマークが倒された事により、眠っていた参加者は次々と目覚めていく。そして王様と王妃がクーゲル達の前へ歩いてくる。
「よくぞ我らと参加者…皆を守ってくれた。君達はこの国の英雄だ。」
王様のクッキングは5人に頭を下げる。それを見たケー鬼は慌てる。
「そんな…王様、頭を上げてください。」
すると、王妃のシロンもゆっくりと歩いてくる。
「パティスリー・ラヴリームの皆様、お菓子作り大会の優勝と守ってくれたお礼を兼ねたものです。受け取ってくださいな。」
そう言って王妃のシロンは召使いを呼ぶと、黄金のトロフィーと大量のルフが詰まった袋を用意した。
「…こんな大金見たことないぷにゅ。」
「本当はもっと用意したいのですが…あまり渡しすぎても運ぶのが大変だろうと思いまして…」
王妃のシロンは苦笑いするが、それを聞いた5人は信じられない顔をする。
「ぼくはトロフィーだけでじゅうぶんさ。ルフは全額クーゲルにあげるよ。」
「え!いいの?」
ケー鬼のその言葉を聞いたクーゲルは驚く。するとデストロームが申し訳なさそうに口を開く。
「なぁクーゲル…お願いがあるんだが…そのルフを我の故郷である点心街の復興資金にしてくれないだろうか?」
デストロームは申し訳ない顔をしているが、クーゲルはニコッと笑い、ルフの詰まった袋をデストロームに渡す。
「復興したらデストロームのお店でいっぱい食べさせてね!」
「…あぁ!何でも食わせてやる!」
そのやりとりを見た王様と王妃は、くすくすと笑い、声高々に宣言した。
「お菓子作り大会の優勝者は…チームパティスリー・ラヴリーム!皆様、惜しみない拍手を!」
王様の宣言を聞いた参加者から沢山の歓喜の言葉と拍手が送られる。大歓声の中、お菓子作り大会は幕を閉じた。
大会終了後、しばらくしてお城を出た5人は、ガナシュ王国の城下町で話し合っていた。
「改めて優勝おめでとう!ケー鬼!」
「ありがとう…えへへ♪」
クーゲルがケー鬼を褒めていると、デストロームが歩いてくる。
「点心街で復興作業をしてくれている部下に復興資金を渡してきた。」
「おぉ!どうだった?」
クーゲルが聞くと、デストロームは笑顔になる。
「その資金で何とか街の皆全員が暮らせる仮設住宅を作る事ができたんだ。本当に感謝する!」
その言葉を聞いたクーゲルも笑顔になる。すると、お菓子を持ったぷにゅりんとドロヒューがやってくる。
「大会優勝者にはサービスだって言われて色々貰っちゃった…!」
「皆で食べてから旅の続きをしようぷにゅ!」
その言葉を聞いたクーゲルとデストロームは頷く。すると、ケー鬼が4人に声をかけた。
「全員分の宿を取っておいたよ。大会優勝者はスイートルームに格安で泊まれるってさ!」
「それじゃあ宿屋で身体を休めてから旅の続きとしよう!」
クーゲルはこの先どんな冒険になるのか、ワクワクしながら宿屋へと足を運ぶのであった。




