かぼちゃ頭の魔術師現る
心に深い傷を負ったクーゲルは俯きながら歩いていた。
「クーゲル…気を落としちゃダメぷにゅ…」
「…」
心配するぷにゅりんの声も届かず、クーゲルは涙をこぼしていた。
「…ごめん。少し一人にさせて。」
そう言うとクーゲルは逸れた脇道に歩いていった。ぷにゅりんは追いかけようとするが、ドロヒューに止められる。
「…一人にさせてあげよう。何か起きる事はないだろうし。」
ぷにゅりんは脇道へ歩くクーゲルを心配そうに見送るしかなかった。
「…」
しばらく歩いていたクーゲルの目の前には大きな古びた館があった。どうやら気づかずにそこそこ遠くに歩いてきたようだった。
「ここは…それにこの館はいったい…」
「あっ!クーゲル!こんな所に居たんだ〜。もう!勝手に森に出かけたらダメじゃないか!」
突然、クーゲルの名を呼ぶかぼちゃ頭の二人組が現れる。クーゲルは驚き、戸惑った。
「いくら身体が大きくなったからとはいえ、君はボク達の弟なんだからボクと兄様を心配させないでよ!」
かぼちゃ頭の少年がぷりぷりと怒る。しかしクーゲルはポカンとしていた。
「なんでボクの事を知ってるの…?」
「なんでって?僕達は兄弟じゃないか。ね?クーゲル。」
背の高いかぼちゃ頭の青年はクーゲルを見つめ、そして優しく肩に手を乗せた。
「クーゲル、君は僕達の可愛い弟だ。似てないと思うが、君は呪われた兜を被り姿が変わったんだ。でも安心してくれ。僕達は君の前から居なくなったりしないよ…」
そう言うとかぼちゃ頭の青年はクーゲルの耳元で何かを呟いた。
「紡がれる言葉で真実は夢に溶けていく…君にささやかな悪戯を贈ろうか。悪戯な虚言」
「ボクは…」
かぼちゃ頭の青年の言葉を聞いたクーゲルは、だんだんと目が青く染まっていった。
「落ち着いたかい?クーゲル。」
「…はい。お兄様。一人でお外出歩いちゃってごめんなさい…」
オドオドと謝るクーゲルの頭をかぼちゃ頭の青年は撫で、ニコッと笑った。
「良いんだよ。君が無事で良かった。」
「うん…ありがとう…お兄様。」
一方その頃、ぷにゅりんは落ち着かない様子でウロウロしていた。
「クーゲル…いくらなんでも遅すぎぷにゅ!まさか何かあったんじゃ…」
「確かに…あっちの方向へ歩いて行ってたし、追いかけてみよう。」
ぷにゅりんとドロヒューはクーゲルが歩いていった脇道の足跡を辿っていった。
「ん…?あの姿は…クーゲル!?それとあの二人組はいったい…」
「さぁ僕達の家に帰ろう。」
「はい。お兄様。」
かぼちゃ頭の二人組とクーゲルが話している姿を目撃したぷにゅりんとドロヒューは、こっそり近づいていった。
「それと…僕らの名前は、ちゃんと言えるよね。」
「ボク達は兄弟だもんね!」
「はい…キュルビスお兄様、ロウィンお兄ちゃん。」
その言葉を聞いたぷにゅりんとドロヒューは目をパチパチさせて驚く。そしてヒソヒソと物陰で話し出した。
「あいつって兄弟居たぷにゅか!?初耳ぷにゅよ!」
「でもまったく似てないし…もしかしたら騙されているのかもしれない…。」
ぷにゅりんとドロヒューはヒソヒソと話していると、かぼちゃ頭の青年…キュルビスが少年…ロウィンに目配せをした。
「さぁ、行こうかクーゲル。」
「はやくはやく!おやつが待ってるよ!」
ロウィンはクーゲルの手を引き、館の中へと入っていく。キュルビスはぷにゅりん達の方を少し見て、ニヤリと笑うと館に入り、扉をバタンと閉めた。
「あっ!大変ぷにゅ!あいつら、クーゲルを連れて館の中へ入っちゃったぷにゅよ!」
ぷにゅりんとドロヒューは急いで館に走ると、扉を開けようとしたり、叩いたりした。
「くっ…ダメだ。鍵がしっかりかけられてて開かないよ…。」
「どこからか入れる所は…」
ぷにゅりんとドロヒューが侵入できる場所を探している頃、館の中ではかぼちゃ頭の二人組とクーゲルがテーブルを囲んでおやつを食べていた。
「うぅ〜…おやつがうまく掴めないよ〜。」
「力加減がまだ慣れないからしょうがないよ。ボクが食べさせてあげる!はい、あ〜ん。」
「クーゲル。僕のも食べてくれるかな?僕はお腹いっぱいだからさ。」
クーゲルはロウィンの持ったクッキーをもぐもぐと食べ、キュルビスがそっと添えた色とりどりのクッキーが乗せられた皿を見て喜んだ。
「美味しい!ありがとうキュルビスお兄様!ロウィンお兄ちゃん!」
「お礼は要らないよクーゲル。だって君は僕達の可愛い弟だからね。」
「ホント、可愛いよクーゲル!ボクらの自慢の弟だね!」
かぼちゃ頭の二人組に甘やかされ、照れるクーゲルをよそに、窓からぷにゅりんとドロヒューが覗き見ていた。
「…本当にあれがクーゲルぷにゅか?めっちゃ甘やかされてるぷにゅ。」
「僕もびっくりしてる。クーゲルがあんな顔してるの初めてみた。」
キュルビスが立ち上がると、何本も傷のつけられた柱を触り、ロウィンと同じくらいの高さの所を指差した。
「ロウィンとクーゲルは、前は似たような背丈だったんだよ。」
「そうだったんだ…ボクってそんなに小さかったんだ。」
「そうそう。ボクの方がクーゲルよりちょっとだけ大きかったもんね!」
キュルビスはコラコラ、とロウィンを優しく叱り、3人は仲睦まじい時間を過ごしていた。その頃、館の外では再び侵入できそうな場所を探すぷにゅりんとドロヒューだった。
「う〜ん…どこから入れるのかな…」
ドロヒューが館の周辺を見渡していると、ぷにゅりんが何かを見つけた。
「あっ!ドロヒュー!あそこの窓だけ開いているぷにゅ!」
「二階のあそこだけ開いている…侵入するならあそこしかないね!」
ぷにゅりんはドロヒューを舌で抱えると、頭の葉っぱを回転させて二階へ飛んでいった。ぷにゅりんとドロヒューはクーゲルを取り返す事はできるのだろうか…。
今回登場した「ロウィン」と「キュルビス」はエヌさんの形態変化の一つです!




