デュライダーとの死闘
クーゲルはボウナイト、ボウショーグンと共に森の中を走っていた。すると、ボウナイトが突然目の前を指さした。
「あそこだ!あそこに主の仲間は捕まっている!」
「なるほど…!待ってて、ぷにゅりん…ドロヒュー!」
クーゲル達が広場に出ると、突然包帯がシュルシュルと飛んできた。
「ふんっ!」
ボウショーグンが飛んできた包帯をバラバラにすると、目の前にはシャプカ達が立っていた。
「デュライダーの持ってた〔センリガン〕の薬を飲んで確認してみたが…まさかデュライダーの部下が裏切るとは…」
「このデュライダー…何たる不覚…リーダー・シャプカ。お許しを。」
デュライダーはシャプカにそう言うと、亡霊馬に乗り、剣を構えた。
「動く鎧よ…お前に宣言しよう。お前はもう一度私に負ける。それに、裏切り者もな。」
「ボクは動く鎧じゃない!クーゲルだ!」
クーゲルはそう言って戦闘態勢を取る。それに続いて二人も武器を構えた。
「ガグス!プラモディアス!デュライダーと共に完膚なきまでに叩きのめせ。」
「シャプカ様お任せを!」
「やっと俺の出番だな」
ガグスとプラモディアスはデュライダーの側に行き、クーゲル達に向けて戦闘態勢になる。
「ボクはデュライダーに戦いを挑む。二人はどうする?」
「それならあのロボのようなモンスターは私がやろう。」
「ソレガシはあの包帯モンスターを成敗してくれる!」
その言葉を聞いたガグスとプラモディアスは、ニヤリと笑った。
「かかってこい!この私、ガグスの力を見せてさしあげましょう!」
「お前も俺のコレクションにしてやる…!」
そう言うと、ボウナイトとボウショーグンにそれぞれ飛びかかり、激しい戦闘が始まった。
クーゲルはガグスとプラモディアスを二人に任せて、デュライダーを睨みつけた。しかし、デュライダーは動じずクーゲルを見つめる。
「いくぞっ!ハァッ!」
最初に動いたのはクーゲルだった。武器を構えてデュライダーに飛びかかる。デュライダーはやれやれといった表情でクーゲルを見たまま動かない。
「ライトニング…」
クーゲルがそう言って武器に稲光を纏わせる。デュライダーはため息をつき、クーゲルに言い放った。
「学ばない愚か者よ…私は不死身だと言っただろう。その攻撃は前に通用しなかった事を忘れ…」
「ソバット!」
何とクーゲルは武器を振り下ろすフリをして足に電気を移し、デュライダーの亡霊馬に勢い良く回し蹴りをかました。
「な…」
亡霊馬はあまりの衝撃にデュライダーを振り落とし、そのまま吹っ飛んだ。
「ぬぐぁっ!」
デュライダーは受け身を取れずに地面に叩きつけられた。
「よし!お前が最初に動かないように誘導して、機動力を失わせる作戦はうまくいった!馬に乗っていないなら、お互い互角かもしれないと思ってね!」
「亡霊馬に乗っていない私が、貴様と互角だと…?笑わせるな!私はリーダー・シャプカの右腕たるデュライダーだ!貴様のような動く鎧如きと一緒にするなぁぁぁぁぁっ!」
デュライダーは逆上して剣を構え、一直線にクーゲルへ向かい出した。
「貴様の首を刈り取ってくれるっ!」
「二人を助ける為にボクは負けない!」
クーゲルとデュライダーはお互いの武器でつばぜり合い、火花を散らせている。
「き…貴様、何故強くなっている?わ…私とやり合えるなど…」
「ボクは闇夜の樹海で家族のような人達と出会い、強くなったんだ。ハァッ!」
そう言ってクーゲルは盾を使い、デュライダーに体当たりした。
「ぐっ…!」
デュライダーは弾き飛ばされた拍子に、一旦距離を取った。
「動く鎧よ!貴様は強くなっているが…この攻撃には耐えられんだろう!ソウルデモリション!」
デュライダーは剣を振り、黒い斬撃波を放った。前にクーゲルを倒した技だった。
「そうはいかない!ダークナイトシュナイダー!」
クーゲルは闇を纏わせた武器を斬撃波に向けて振った。すると、斬撃波は跡形も無く消え去った。
「バ…バカな…!私のソウルデモリションが…」
デュライダーは驚き戸惑っているが、その隙を突いてクーゲルは盾を投げつけた。身体にガリガリと音を立てながらぶつかる盾に、デュライダーは苦悶の声を挙げる。
「ぐぉぉぉぉっ!」
しかし、クーゲルはその姿に違和感を覚えた。
「(妙だな…デュライダーは自分を不死身で、痛みを感じないと言ってたのに…)」
クーゲルは疑問に思っていると、吹き飛ばした亡霊馬がクーゲルに向かってきた。
「ビヒィーン!」
「わぁっ!あぶないっ!」
亡霊馬はクーゲルに向かって両脚を振りかぶり、踏みつけようとしたのだ。とっさに避けると、亡霊馬はデュライダーの元へ走り出し、再びデュライダーを乗せた。
「さっきはよくもやってくれたな…この私を本気にさせるとは…魂も残らず消し飛ばしてくれる!」
怒りの形相(首は無いのに)でクーゲルを見つめるデュライダーは、亡霊馬を走らせ、クーゲルにタックルをかました。
「うわっ!」
クーゲルは吹き飛ばされ、木に叩きつけられてしまった。
「私の愛馬…亡霊馬が居れば私はもう負けない…貴様などクズ鉄にしてやるわぁ!」
完全に怒りに呑まれたデュライダーを見て、クーゲルは何かを考え、立ち上がった。
「…お前に何と言われようとも…ボクはぷにゅりんとドロヒューを助ける為に、お前を倒す!」
「その減らず口、二度と聞けなくしてやる!ダークフレア!」
デュライダーの左手から闇の弾丸が放たれる。しかしクーゲルは何もしなかった。
「諦めたか?そのまま灰になって消えるがいい!ハーハッハッハッハ!」
デュライダーは高笑いしたが、クーゲルはニヤリと笑い、盾で闇の弾丸を受け流した。受け流された闇の弾丸は、高笑いするデュライダーの元へ飛んでいった。
闇の弾丸はデュライダーに当たり、大爆発をしたが、デュライダーは無傷だった。
「…まさか受け流すとは!しかし私には一切効かないなぁ!私は不死身なのだからな!」
クーゲルはその言葉を聞き、確信した。そして、デュライダーを逆に笑った。
「ふふふ…」
「何がおかしい!」
クーゲルはデュライダーに言い放った。
「お前の不死身の秘密が分かったよ。お前、馬に乗ってる間はダメージを全部馬に肩代わりさせられる…そうでしょ?」
それを聞いたデュライダーは焦りを見せ、苛立ちを隠せなくなっていた。
「あぁそうだ!私は愛馬に受けたダメージを全部移してたんだよ!そうすれば私は永遠に不死身だからな!」
それを聞いたクーゲルは、ため息をついた。
「…仲間や相棒を大事にしないといけないよ。」
「綺麗事など、並べてる余裕があるのか〜!?斬り裂いてや…」
そう言いかけた途端、亡霊馬はデュライダーを振り落とした。
「うぐっ…!」
「ビヒィーン!」
そして亡霊馬はどこかへ走り去っていった。
「亡霊馬!何故だ!戻ってこい!」
デュライダーは叫ぶが、亡霊馬は見向きもせずに走り去り、森の奥へ消えていった。
「…ボクはさっき言ったよ。仲間や相棒は大事にしないといけないってね。」
「黙れ!黙れ黙れ黙れェー!」
デュライダーはもう周りなど見えていなかった。そして剣を大きく振り上げ、クーゲルに向かって走り出した。
「…ハァ。ボクの事を動く鎧呼ばわりしてるけど、お前の方が動く鎧じゃん。」
クーゲルはそう言い、武器を構えて稲光を纏わせた。
「ライトニング…」
「消えてしまえぇぇぇ!」
「シュナイダーッ!」
デュライダーを閃光の刃が斬り裂く。クーゲルは、軽やかに武器を仕舞った。
「あがっ…ぐがぁ…」
デュライダーは苦しそうな声で倒れ込んだ。
「わ…たし…は負けてな…ど…」
何かを言いかけながらデュライダーは消滅した。
「お前の負けた理由は…仲間を大事にしなかった事だ。」
クーゲルはそう言うと、ふーっと息を吐き、シャプカを見た。その時、誰かの倒れる音が聞こえた。
「主よ。ロボのようなモンスターはしっかり倒した。」
「主殿!ソレガシも包帯モンスターを成敗したぞ!」
その言葉と共にボウナイトとボウショーグンが歩いてきた。
「お疲れ二人共。さぁシャプカ!後はお前だけだ!ぷにゅりんとドロヒューを返してもらうよっ!」
「私の部下を全滅させるとは…だが、こちらも負けられない理由がある!大好きなお菓子をいただくという理由がね!」
「…ところでそのお菓子ってどんなもの?」
クーゲルがそう聞くと、シャプカは疑問に思いながらも答えた。
「〔銘菓・亜人の華〕だが?それがどうした?」
クーゲルは驚きながら、目をパチパチさせた。そして、やれやれと言わんばかりにシャプカに言った。
「…それ、ボクの住んでる亜人街のお土産品だよ。」
「…え?」
それを聞いたシャプカは困惑し、広場には気まずい空気が流れた。クーゲルはそんな中、どさくさに紛れて話した。
「…二人を解放してもらっていい?」
「あ…あぁ。いいぞ…?今、解放するから?」
困惑しながらぷにゅりんとドロヒューを縛る包帯をほどくシャプカを見て、クーゲルはなんとも言えない顔になっていた。
ボウナイトとボウショーグンもあ然として、口をポカンと開いていた。
そして謎の空気感の中、シャプカと戦わずに終わったのだった。




