最強の二人組!?
ガグスに捕まったぷにゅりんとドロヒューは、シャプカの前に立たされていた。
「ご覧くださいシャプカ様。ドロヒューとその仲間を捕らえましたよ!」
「よくやったガグス!これで私は大好きなお菓子が貰える…!」
高笑いするガグスと喜ぶシャプカをよそに、プラモディアスは苛立ちを隠さずに悩んでいた。
「どうしたプラモディアス。そんな顔をして。リーダー・シャプカの前でそんな顔をするなど…」
気づいたデュライダーがプラモディアスの元へ歩いてきた。プラモディアスは悩みながら口を開いた。
「俺の個人的な部下のブロークンに連絡がつかない。奴は俺の個人的な部下の中で最も硬い身体を持つのに。」
「ふむ…では、この〔センリガン〕の薬でどうなったか確認してみようではないか。」
そう言うとデュライダーは錠剤を一粒飲み、瞑想を始めた。すると、デュライダーの頭の魂の炎が勢い良く燃え上がった。
「あの動く鎧が生きているだと…?バカな…」
それを聞いたぷにゅりんは口を開いた。
「動く鎧…?それってもしかして!」
その言葉に反応してドロヒューも口を開いた。
「クーゲルは生きているって事か!」
その言葉が耳に入ったシャプカは驚きの表情となった。
「デュライダー…お前は一人消したと言っていたが、ドロヒューの仲間はまだ生きていると…?」
「誠に申し訳ありませんリーダー・シャプカ。どうやら仕留めきれていなかったようです。」
デュライダーは頭に手をあて、すぐにシャプカの方を向いた。
「リーダー・シャプカ。私の部下の中で最強の二人を送り込み、今度こそあの動く鎧を亡き者にしてやります。」
「デュライダー…期待しているぞ。私の右腕の実力を見せてくれ。」
「リーダー・シャプカの仰せのままに。」
デュライダーは手を叩き、二人のモンスターを呼び出した。
「お呼びでしょうか。デュライダー様。」
「ソレガシ達の力が必要か。」
鋼鉄の鎧を身にまとった身体の細い騎士と東洋の鎧と二刀流の剣を構えた細い戦士が口々にそう言うと、シャプカは不安を覚えた。
「…デュライダー。こんな細い奴のどこが最強の二人なんだ?」
「この者らは棒人間の戦士なのです。棒人間は身体は細く、強そうなイメージを持たれませんが、素早い動きと恐るべきテクニックを両立した種族。神魔宝軍に逆らう敵は、瞬く間に倒されるでしょう。」
デュライダーは二人の棒人間に自己紹介するように言った。
「私は剣の道を極めし棒人間の騎士…その名は〔ボウナイト〕!」
「ソレガシは東洋の剣術を独学で極めし棒人間の戦士、名を〔ボウショーグン〕と申す!」
「この二人にかかれば、あの動く鎧も粉々のバラバラとなるでしょう。リーダー・シャプカの手を煩わせる事も無いのです。」
デュライダーはニヤリと笑い、二人に叫んだ。
「さぁ我が最強の部下よ!リーダー・シャプカの邪魔をする者を消し去るのだ!」
「デュライダー様の仰せの通りに。」
「ソレガシ達にお任せあれーッ!」
ボウナイトとボウショーグンは、素早い動きで木々の中を飛び、そのまま姿を消した。
「クーゲル…大丈夫ぷにゅかなぁ…」
「僕達は捕まって何もできないけど…せめてクーゲルの無事を祈っていよう…。」
ぷにゅりんとドロヒューは縛られた身体を寄せ合ってヒソヒソと話していた。
一方その頃…
「完治したぜ…フフフ。」
怪我の治った影武者コモは喜びながら飛び回っていた。
「まさか1日で治るとは…ボク、びっくりした。」
「コモは昔から傷の治りが早かったからな。ワシも最初は驚いたぞ。」
二人がそうして話していると、ナツメグが3人分のお茶を持ってきた。
「パパ〜。見習い魔王〜。お茶淹れたから飲もうよ〜。」
ナツメグの持ってきたお茶を見て、影武者コモは疑問な顔をする。
「ナツメグ様、俺の分のお茶が無いんだが…」
「だってコモさっきまで寝てたじゃん。飲みたかったら自分で淹れてきたらー?」
「そんなぁぁぁぁ…」
しょんぼりした影武者コモは、病み上がりとは思えない動きで台所に飛んでいった。
「さて…クーゲルよ。前に仲間を探す約束をしたな。その約束を今、果たすぞ。」
大魔王はそう言うとお茶を飲み干し、背中の翼を見せ、クーゲルに話した。
「闇夜の樹海から出るのは久々だが、ワシが元の場所まで送り届けてやる!」
「大魔王…ありがとう…。」
クーゲルもお茶を飲み、大魔王と共に小屋の外へ出ていった。
「いってらっしゃーい。私はゆっくりしてるからねー。」
ナツメグはお茶を啜り、ゆったりしていた。
小屋の外で、大魔王はクーゲルを抱え込み、翼を広げて問いかけた。
「クーゲルよ…準備はいいか!」
「うん!」
クーゲルの良い返事と共に空へ飛び、樹海を抜けると、クーゲルが流された川まで飛んでいた。
「着地するぞ!ワシから手を離すなよ!」
大魔王はそう言って急降下し、川の側に着地した。
「よし、着地成功!さぁ行くがいい!」
「大魔王…ありがとう!」
クーゲルは大魔王に手を振り、森の中へ走っていった。
「ぷにゅりん…ドロヒュー…二人共、無事でいてよ…。」
「残念ながら、お前はここで息絶えるのだ。」
「その通り!カッカッカ!」
突然どこからともなく声が聞こえてきた。クーゲルは辺りを見回すが、誰の姿も見えない。
「誰だ!」
「隙ありーッ!」
上を見上げると、二刀流の戦士が武器を構えて飛びかかってきた。
「あっぶな!」
クーゲルはすかさず盾を構えて攻撃を防ぎ、二刀流の戦士を弾き飛ばした。
「ソレガシの攻撃を弾くとは!お前は中々腕の立つ戦士のようだな!カッカッカ!」
「ボウショーグンの攻撃を初見で防ぐ者は初めて見たぞ。このボウナイト、敵ながらお前を褒めてやる。」
そう言って木の後ろからボウナイトと名乗る鎧を着た戦士が現れた。
「お前達は…神魔宝軍か!」
「その通りだ。私はボウナイト。デュライダー様の部下だ。」
「ソレガシはボウショーグン!同じくデュライダー様の部下なり!」
現れた戦士の二人組は戦闘態勢になり、クーゲルも戦闘態勢をとった。
「かかってくるが良い!我ら二人組が相手になろう!」
「いざソレガシらと尋常に勝負!」
「お前達を倒してボクの仲間を探すんだ!」
そう言ってクーゲルはボウショーグンの方へ素早く接近し、武器を振り下ろした。
「ほほう!まずソレガシを倒すと言うのか!良かろう!独学の東洋剣術、見せてくれる!」
ボウショーグンは2本の剣でクーゲルの一振りを防ぐと、身体を回転させてクーゲルを弾いた。
「くっ…!中々手強い…!」
「ソレガシの武器は〔カタナ〕!東洋の戦士はコレを手に戦ったという!ソレガシの強さは東洋スピリットに有り!」
そう言うとボウショーグンは2本の剣…カタナを構え、クーゲルめがけて走り出した。
「食らえ!秘剣・ハゲタカ落としーッ!」
ボウショーグンの2本のカタナが素早く振り上げられ、クーゲルを斬り裂いた。
「うわぁっ!」
クーゲルは抵抗と言わんばかりに盾をブーメランのように投げるが、当たらずに盾はどこか遠くへ飛んでいった。
「ボウナイト!援護を頼む!」
「この時を私は待っていた!」
斬り裂かれ、吹っ飛んだクーゲルに向けてボウナイトは盾を構えて一直線に向かっていく。
「カーナメタル製のシールドを受けてみるがいい!シールドクラッシャー!」
そう叫んだボウナイトはクーゲルを盾で叩きつけ、そのまま蹴り飛ばした。
「ぐっ…」
ボロボロになったクーゲルに向けてゆっくり近づいてくるボウナイト。じっと目を見つめながら剣を掲げている。
「もう少し歯ごたえがあれば良かったのだがな。私がこの手で永遠の眠りに就かせてやる。」
剣を振り下ろそうとしたその瞬間、クーゲルはニヤリと笑った。
「ボクの作戦に引っかかったね!」
「…何だと?お前はもう終わりだ。私の手で永遠の眠りに…」
クーゲルの投げた盾が弧を描くように戻り、ボウナイトの後頭部に直撃した。
「ぬぐおぉぉぉぉっ!?」
後頭部に走る衝撃を受け、ボウナイトはその場に倒れ込んだ。
「…貴様!ソレガシの相方にこれ程のダメージを負わせるとは…!」
焦ったボウショーグンは素早く2本のカタナを構え、クーゲルに飛びかかった。
「もう一度食らうがいい!秘剣・ハゲタカ落としーッ!」
飛びかかってくるボウショーグンに対し、クーゲルは武器を構えて向かっていく。
「ライトニングシュナイダーッ!」
稲光を纏った武器が、ボウショーグンのカタナとぶつかり合い、激しい火花が散る。しかし、突然ボウショーグンの身体に異変が起き始めた。
「なっ…何故だ!ソレガシの身体が痺れて…力が入らぬ…!」
「それはボクのライトニングシュナイダーから発せられる電気が、その剣を伝って通電し、お前の身体が感電したからだよっ」
「あががががっ!バカな!ソレガシのカタナは相方の盾と同じカーナメタル製!電気など効かぬはず…」
そう言いかけたボウショーグンは、ハッと何かに気づいた。
「し…しまった!持ち手にゴムを塗るのを忘れていたーっ!」
ボウショーグンのカタナは最強の金属と名高いカーナメタル製。しかし、持ち手に何もしていなかったが為に電気が通ってしまったのだ。
「ソレガシ…ビリビリにもう耐えられぬ…む…無念ーッ!」
ボウショーグンはその場に倒れ、クーゲルは武器を仕舞った。
「さて、これで二人共やっつけた!これでぷにゅりんとドロヒューを探しに行ける!」
「ま…まだだ…私はまだ…負けていない!」
倒れたボウナイトが起き上がり、クーゲルに剣を向けた。
「相棒が倒れても私はまだやられてはおらんわぁ!」
そう言って武器を構えた瞬間、ボウナイトの足下が崩れ、逆さまに落ちていった。
「うっ…うぉぉぉぉ!?」
「!!危ないっ!」
クーゲルは素早く動き、ボウナイトの手を掴んだ。
「な…何故だ!何故敵である私を助けようとする!?離せ!敵に情けをかけられるくらいならこのまま崖から落ちてくたばる方がマシだ!」
「絶対に離すもんかぁ…!うぉぉぉぉ!」
クーゲルはフルパワーでボウナイトを引き上げると、崖から少し離れた所で休んでいた。
「私は敵であるお前に情けなどかけられたくなかった…。棒人間の戦士たるもの、敵に助けられるなど、生き恥を晒すようなモノだ…。」
ボウナイトはウジウジしながら小言を呟いている。
「敵とはいえ、崖から落ちる姿なんて見たくないよ。それにボクには、二人共悪いモンスターには見えなかったんだもの。」
クーゲルはボウナイトの方を見て、ニコッと笑った。
「んん…ソレガシはいったい何を…」
ちょうどその時、ボウショーグンが目覚めた。そして、座っているクーゲルとボウナイトを見て、何かに気づいた。
「ボウナイト…ソレガシらは、負けたのか?」
「そうだボウショーグン。私達は負けたのだ。しかも…私はコイツに命を助けられてしまった。棒人間の戦士として、最悪の生き恥を晒してしまった。」
それを聞くと、ボウショーグンはクーゲルに向かっていき、膝をついた。
「…ソレガシの相方を助けてくれて…感謝する。」
「ボクはただ放っておけなかっただけだよ。」
クーゲルはそう言って二人共に改めて笑顔を見せる。ボウナイトとボウショーグンは、ふと何かを考え、お互いに顔を合わせて頷いた。
「なぁボウナイト…ソレガシらはこの者に救われた。それなら、戦士として恩を返さないか?」
「奇遇だなボウショーグン。私も同じ事を思っていた。どうせ神魔宝軍に居てもいい事などないしな…」
そして二人はクーゲルを見ると、膝まづいて口を開いた。
「「我ら棒人間の戦士は、たったこれよりそなたに忠誠を誓うとここに宣言する。」」
それを聞いたクーゲルは、驚いて目をパチパチとさせていた。
「…え?…えぇっ!?」
驚くクーゲルを見て二人は笑った。
「私達は実は神魔宝軍の中では肩身の狭い思いをしていたのだ。それならば神魔宝軍をやめて、これからはお前に忠誠を誓おうと思ってな!」
「もうソレガシらを縛るものはなにもない!ソレガシらの力で必ず助けになると誓おうぞ!カッカッカ!」
そういう二人を少し苦笑いしながらも、クーゲルはまた笑い、立ち上がった。
「ありがとう二人共!…ところでさ、ボクの仲間を知らない?ぷにゅりんとドロヒューって言うんだけど…」
その名を聞いた二人は、険しい顔になった。そして、口を開いた。
「ぷにゅりんとドロヒューか…その二人は、神魔宝軍の十五魔将のシャプカに捕まっている。」
「ソレガシらの事を〔細くてどこが最強なんだ〕などと抜かしたあの者は許せぬ。…オホン。まぁとにかく、シャプカを倒さないと仲間は助けられないって事だ。」
「十五魔将…やっぱり戦う事になるのか。でも、二人を助ける為だ!ボクは行く!」
クーゲルがそう言うと、ボウナイトとボウショーグンは頷いた。
「シャプカはあの森の広場にいる。私達が案内しよう。」
「ソレガシらが主殿を必ず守り抜く!」
「うん!さぁ…行くぞ!」
神魔宝軍を裏切ったボウナイトとボウショーグンを仲間に加え、クーゲルは仲間を…ぷにゅりんとドロヒューを救うために十五魔将のNO:15…「シャプカ」に挑むのであった。




