真珠の星は、春風のアダージョとともに
春、はるる
そよめく春風に
聴こえてくる
アダージョの響き
春日向にさしこむ
光のプレパラートが
一瞬一瞬の春を
映し出しながら
季節の女神が
街に春を
ひと筆ずつ
描いていくように
夢見草の碧い
煌めくつぼみから
こぼれる薄紅の
花笑みを見つめて
風、きらり
光る風にゆれる
マーガレットの花は
まるで月を宿した
真珠のように
ブルーベリーの
白い花びらは
春という鐘を
やさしく
風に奏でながら
やがて辺りを
染めゆく
春月夜の宵に
空の青の
ひとしずくのような
スピカの星
春晴るる夜空に
星は真珠のように
南の地平線から
浮かび上がる
おとめ座の星々
春の女神の
右手には羽根の筆
左手には麦の穂
穂先に煌めく
スピカの光は青く
風光る大地に
花は真珠のように
マーガレットの
花と花びらは
ゆるやかに
巡りゆく季節の
風にゆられながら
つながり続けて
春の女神が
描く季節のように
心にも
春を想い描いて
心にふりゆく
あたたかな
春の陽射しのように
心にふりゆく
雨にそっとさす
空色の傘のように
心にふきゆく
やわらかな春風の
ぬくもりのように
心にも春を
描く言の葉があると
そう信じて
春、きらり
夢見草が
開く未来という
薄紅の色に
あたためてきた冬を
感じながら
春、きらり
空には光る
いくつものわた雲
夜になれば
宙へと春を描く
女神の星座
春、きらり
スピカの光は
心の宙に青く
春風が奏でる、
アダージョとともに
黄道十二星座の一つ、おとめ座は、諸説ありますが、豊穣の女神デメテルとされ、4月頃から南の空へ上がります。青い一等星・スピカは、ラテン語の「麦の穂先」で、光の加減で白く見えることも多く「真珠星」とも呼ばれます。
夢見草は、桜のことです。マーガレットは、ギリシャ語の「真珠」が由来で、月の女神の花ともいわれます。花びらが花とつながっていて、「信頼」「真実の愛」が花言葉です。
ブルーベリーは、春に白い鐘に似た花が咲き、花言葉は「実りある人生」です。「アダージョ」は、イタリア語で「ゆるやかに」「心地よく」の意味で、そうした曲も表す音楽用語です。
季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。