副編11
「ほんとに一緒に来るの…?大丈夫…?」
泣き腫らした目で俺を心配そうに見る彼女。
東京駅で新幹線の切符を買った俺は、目を細めて口角を上げた。
シュリちゃんの目的人。
俺も聞きたいことがあったから、ちょうどいい。
『心機一転さ』
あんたが、俺をダイチの側に送り込んだんだ。
…俺だけじゃない。
シュリちゃんも、シバも。
あの実験に参加した俺たち3人が、偶然にもあんたの孫を介して繋がっているなんて。
ただの運なら、たまたまならそれでいい。
…ただ、俺にはあんたが仕組んだ”必然”に思えて仕方ないんだ。
『先生の知り合いのいる学校に転校してみない?』
なあ、神野先生。
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「あ、」
いつか見たいと思っていた、富士山が窓の外に見えた。
…案外、あっさり見られたな。
いつの日か家族と書いた、やりたいことリスト。
あと、何があったっけ。
頬杖をつきながら、そのまま外を眺める。
新幹線とは便利なもので、切符一枚で九州まで走る列車は、時折途中駅に停車をしながら景色を変えていった。
「……………すぅ」
通路側には、すやすやと寝息を立てているシュリちゃん。
今だからこそ、あの話をするとき、緊張していたんだなとわかる。
おそらくその緊張が解け、安心しているのだろう。
俺は、先に話してもらう側だったから楽だったんだ。
いつも、大変なことは人任せにしていると後で気づく。
ゴメン。
こんな小さな存在に、背負わせて。
せめて少しでも力になれるよう、最後まで見守るよ。
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福岡県。
博多駅から何駅か移動した先。
人もまばらな小さな駅に着いたのは夕方だった。
「地図、逆じゃないよね?」
「ん?あ~…あのコンビニがそれだから90度回転かな~」
ソラさんより地図をもらっていたシュリちゃんを頼りに、ナハ宇宙機構の事務所へ向かう。
俺のアドバイスに倣ってスマホを傾けたシュリちゃんは、一生懸命画面を眺めていた。
向かう先は、神野ユウがいる事務所。
いつもは沖縄の研究所にいるが、今日はテレビ中継に出ていたらしくこっちにいるらしい。
ソラさんからシュリちゃんが行くことは伝えてあるらしく、1人増えても問題ないか…と勝手に思っている。
神野先生、俺のこと覚えてんのかな。
最後に会ったのは、あの病院。
もう何年も前のことだし、あの人忙しそうだし下手したら忘れてるかも。
「え、行き止まりだ……」
何も考えずに歩いていたら、隣から効果音が出そうなくらい絶望した彼女が立ち止まる。
顔が向いた先、左側は少しの路地と住宅で道がなかった。
「見して~」
シュリちゃんからスマホを取り上げる。
さっきのコンビニからの道順を辿る。
どうやら、余計な道を、曲がってしまったらしい。
誰かさんに似て、方向音痴のようだ。
…よく1人で行こうと思ったな。
心臓に毛でも生えているんだろうか。
「正解はこっちでした~」
来た道をもどり、正しいみちを少し行けば、すぐに建物が見えた。




