プロローグ2
夕方に海から上がった後、お土産コーナーを見て部屋に戻れば、あっという間に夕食だった。
ユウさんは大学の知り合いたちと食べるらしく、ご飯は二人でいただいた。
席についてまず目に飛び込んだのは満天の星空。
そして料理は、大きい伊勢海老に、ぷりぷりの生牡蠣、輝くいくら…!
海の幸盛りだくさん!って感じで、どの料理に箸をつけても頬が落ちるくらい。
デザートにはバニラアイスがのったフォンダンショコラ。
ホテル上階のレストランで夜景を見ながら贅沢するなんて、夢みたいだった。
「ねえ、見てこれ!やっぱ伊勢海老がサイコーだったよねえ!」
「その一個前の、わたしの写真消してよ~!」
「むり~落ち込んだ時に見るんだもーん!」
「このー!」
エリカと布団の上で今日の思い出を振り返りながらじゃれあう。
海で撮った写真の顔が結構ひどかったのと、
思ってたより自分がぷよぷよだったからもう少し引き締めよう…。
この旅行までに、結構頑張ったのになあ。
くそう、とぽかぽかエリカを叩いていると、スマホの通知が響く。
どうやらエリカのスマホだったようで、
一緒に画面を見ると、そこには最新と表示されたメッセージ。
『展望台に上がるから1時間後に2階の大広間までおいで』
『一応、屋内プールもあるから終わったら案内するよ。下に水着着ておいてね』
「「え」」
それを読んで、同時に声があがる。
プールがあるなんて聞いてない!
海で水着着ちゃったから、びしょびしょだし替えなんてないよ。
でもでも、ナイトプールってことだよね?
絶対おしゃれだよ~…
行きたいけど濡れた水着を着ていくわけにもいかず、
ちらりと横を見ればわたしと同じような顔をしている親友。
行きたいけど、どうしよう…!
一瞬目が合って、考えていることが完全に一致していると理解したエリカは、
超高速で指を動かした。
誰かにメッセージで連絡しているみたいだけど、動きが早すぎてついていけない。
「キタ!」
ぼけっと見ているうちに、どんっとスマホ画面が飛び込んできた。
『貸し出しか販売はあったはず。4階のサマーショップで聞いてみて』
ユウさん、神……いや、ゴッド!!
「さすが!ありがと~~!」
「よし、行こ!」
なむなむと頭の中でユウさんを拝みながら、エリカと2人で部屋を出る。
高校生最後の夏休み、初めての旅行が、もうすぐ終わりを告げようとしていたなんて思いもせずに。