表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流れ星へ幸せを  作者: 本宮 律
2/102

プロローグ1


≪天城 ルナ視点≫



「うわ、見てルナ!海が見えてきたよ!」


8月某日。

夏も真っ只中の飛行機内では、雲の間から見えた海に感嘆の声が上がっていた。


「本当だ、キレイ~!」


親友・エリカ越しに見える景色に、わたしも思わず身を乗り出して見とれる。

小窓から広がる青は、自然の雄大さを物語っているようだった。


---目の先に見える海と島は、通称“ゴッドアイランド”。

ここ数年で見つかった、南の島。


ぎりぎり日本の領土内らしく、いつからあったのかすら不明。

だけど数年前、大々的なニュースになったことで今では人気スポットの一つだ。

噂によれば、某テーマパーク並みに毎日花火があがり、星空も綺麗らしい。

しかも一日の飛行機便に限りがある為、まだまだ人気沸騰中。

そんな島に来られるなんて、夢みたい。


「二人とも、そろそろ着くから準備してね」


二人でひたすら眺めていると、後ろから優しく声がかかる。


「はーい」


「はい」


この人はエリカの彼氏・ユウさん。


高校生最後の夏休みに旅行を計画していた私たちに、今回この島の旅行を提案してくれた人。


まあ、提案といってもユウさんの大学の研究発表会がこの島であるから、

よかったら一緒にどう?って声をかけてくれたんだ。

わたしとエリカはもちろん、二つ返事で了承して今に至る。


…3人並んで席をとったのに、通路側を譲らない彼氏と

窓側を譲らない彼女に挟まれるのだけが解せなかったけど。

もうすぐ到着だし許してあげよう。


『まもなく着陸いたします。お座席、テーブルは元の位置にお戻しになり、シートベルトをご着用ください。』


わたしはアナウンスに従いながら目を閉じて、これから待ち受けている海やホテルに想いを馳せる。


今日の予定は、とりあえずホテルに荷物を預けてすぐに海!

そして夜はちょっといいごはんと、展望台からの星と花火!


「ルナ、口元緩いよ」


にやにやしているエリカに、そっちこそ、と返した。


それにしても、人生初の飛行機、あっという間だったなあ。

きっと旅行もあっという間なんだろうなあ。

まばたきしてる間に終わっちゃいそう……


って、まだ始まったばっかりなのにやめやめ!


『本日もJAP航空をご利用いただきありがとうございました。』


---------------------------------------------


「うわ~あっつい!」


「さすが南の島って感じだね」


研究発表の準備があるというユウさんとホテルで別れ、

荷物だけ預けたわたしたちは、さっそく海で羽を伸ばす。


「結構人いるね。ルナ、はぐれないでよ?」


「エリカこそ!イケメンに目をとられて置いていかないでね!」


カラッとした空気と照りつける太陽の真下に、わたしたち二人ははしゃいでいた。

水着を着るためにダイエットも頑張ったし、今が最高潮かも。

…まだ恥ずかしくて、上着は脱げないけど。


「君たちめっちゃ可愛いね!俺らと海、どう?」


「ごめんなさい、彼氏いるので~!」


さっそく金髪のお兄さんに声をかけられているエリカは、持ち前の対応力で適当に断っているようだ。


「え~残念~~」


「おい!中坊が何してんだ、行くぞ」


「いてー!」


残念ながら振られてしまったお兄さんは、迎えに来た別のおじさんにげんこつを喰らい、頭を抱えた。


「すみませんでした」


「いえいえ~旅行楽しんで」


もう一人の物静かそうな男性に謝られ、ひらひらと手を振るエリカ。


ちょっとチャラそうだったけど、かっこいい人だったな…。

エリカに彼氏がいなかったら、あっさりついて行ってたんじゃないかと思うくらい。


…って、


「中坊って、中学生…!?」


「みたいだね。今どきの子は大人っぽいね~」


のほほんと言うエリカに、わたしは遠ざかる3人の背中を見つめた。


…あれが、あれが中学生…!

同じくらいか、大学生かと思ったのに…。


目の前の現実を受け止めながら、透き通った海を見る。

底まで見えると思えるくらい綺麗な水に足を浸せば、その温度が直接伝わってきた。


「う、わ~~水温もちょうどいいね」


冷たすぎず、じんわりと浸透してくるような水に感動。

温度調節なしでこれは、名の通り“ゴッドアイランド”かも。


「ルナ、こっち~!」


パシャ


浮き輪に乗ったエリカが、波際で水を蹴るわたしを撮る。


「も~!撮るなら言ってよ!」


「あはは、半目になってる」


エリカはスマホをみながらけらけらと笑う。


顔を上げた瞬間の写真だから、絶対変な顔だと思った!

頬を膨らませるわたしに、再びカメラが向き、瞬間シャッター音がする。


「ねえ~!」


仕返しとばかりになけなしの水をすくってかけるも、華麗に顔とスマホをよけるエリカ。

スタイル抜群の親友は、浮き輪の上で楽しそうに何度もシャッターを切っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ