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流れ星へ幸せを  作者: 本宮 律
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本編8

「んー!」


ほっぺたが膨らんではしぼみ、長いもぐもぐタイムが始まった。

シュリには一個そのまま食うの、でかかったかな。

半分に切ってやればよかった。


父さんと母さんが心配そうに見守る中、ごくりと飲み込んだ彼女は俺の服の裾をつまんだ。

半袖だったからちょうどいい高さに裾があったらしい。


「おいしい!」


「よかったな」


つままれた裾はそのまま、その手で頭をなでる。


なんか、あれだ。

妹がいたらこんな感じなんだなって思った。

家族はみんな年上だし、学校で後輩と関わる機会も部活くらいだからなんだか新鮮だ。

ってか、学校…。


「週明けから、どうしよっかな…」


完全に忘れてたが、まだ学校がある。

明日は祝日だから先延ばしできるけど、火曜日以降…

まさかシュリを連れていくわけにもいかない。


それに父さんは普通に仕事だし、母さんも確か夕方まで勤務だったはずだ。

頼みの綱は受験が終わってる姉ちゃんだけど…


「アタシ一応、皆勤賞も前提の推薦なんだよねえ…」


だよなあ。

不当な理由…ではないけど、半さぼりだしなあ。

かといってシュリを一人でここに置くのは不安すぎて授業どころじゃなくなりそうだ。


う~んと考え込む俺に、父さんが思い出したように手をたたいた。


「あ、それなら今日頼んできたよ。事情を話したら、役所も学校も受け入れてくれたんだった」


「?」


いやー忘れてた忘れてたと頭をかく父。


一方、俺と姉ちゃん、それに母さんも首をかしげている。

学校もって、まさか…。


「週明けから、2人と同じ高校に入れてもらうことになったから!シュリちゃんが17歳なら尚更、ちょうどよかった」


「えっ、大丈夫かよ……」


全員の視線がシュリに向く。

水まんじゅうを平らげたシュリは、その視線に気づき俺を見た。


「ダイチ…?ソラ…わっ!」


俺と姉ちゃんを交互に見ていたシュリは、そのまま姉ちゃんに抱きつかれる。


「わーい!かわいい妹ができたって自慢できるじゃない!最高!!」


げっ!姉ちゃんが自慢するってことは俺が他人のフリできなくなるじゃねえか!

知らない転校生として遠くから見守ろうと思ってたのに…。


「シュリ~!制服貸してあげるよ!ウチの学校、決まったものなくて形式は自由だからいっぱいあるよ~」


「せーふく?」


姉ちゃんに皿を下げられ、その場で合掌したシュリ。

そのまま二人で二階へと上がっていった。


あーあ、シバとセトに先に話しとかなきゃ。

彼女でもできたんかってからかわれたらたまったもんじゃねえ。


友達に一報入れておこうとスマホを取り出したとき、父さんが怪訝な顔をしていた。


「どしたの?」


すでに皿を片付けにキッチンに入った母さんには聞こえていないだろう声で、父さんが答える。


「いや……シュリちゃんって今日何か食べてた?」


「あー、お茶なら飲んでたけど固形物はないな。それがなんかあった?」


そいえば起き抜けからまんじゅうまでなんも食べてないな、俺もだけど。

お茶をがぶ飲みしたせいで空腹を感じなかったのかもしれない。


「そっか。ごちそうさまってポーズしてたから、教えたのかなって思っただけ」


言われてみればたしかに…。

身体が覚えてた的な感じかもな。

まあ特に気にしてなかったし、あいつらに状況を送るだけ送って、俺も部屋に戻る。


「はあ…めんどくせ」


【明日から知り合いの女の子が編入する】と連絡しただけなのに、

友人たちはすでにメッセージ上でおおいに盛り上がりを見せていた。

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