表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
根絶やし伯爵と枯れ枝令嬢  作者: 片山絢森
【第二部】ドルキアンの青い花

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/93

今、できることは


 簡単な昼食を済ませ、レティは窓の外を見た。


 ギルバートもウィルも、まだ戻ってくる様子はない。大半の人間が駆り出されているせいで、館の中は静まり返っている。雨はようやく小降りになったが、まだ止む様子はなかった。


 そんな中で、馬のいななきが聞こえた。


「うん……?」


 空耳かと思ったが、向こうから馬を連れた兵士が現れる。ひとりではなく、数名いるようだ。全員が武装しているのを見て、レティは目を瞬いた。


 彼らも災害の復旧に向かうつもりだろうか。それにしては、妙な格好だ。


 よく分からないまま、レティは部屋の窓を開けた。びゅっと風が吹き込んできたが、意外なほど外の音を拾う。身体を隠し、耳をそばだてていると、彼らのひとりが口を開いた。


「なぁ……。本当にやるつもりか?」

「当然だろ。このままお頭が死ぬのを見ているつもりはねえよ」

「けど、相手は王家だろ。いくらなんでも、俺たちだってただじゃ済まねえ」

「先に無茶を言ったのはあいつらだ。皆殺しにはできないまでも、国王の首くらい()ってやるさ。ドルキアンの狼を舐めたこと、思い知らせてやる」


(この人たち……)


 もしかして。


「たとえ殺せなくても、あいつらが何を命じたかが明らかになれば、王家に対する信頼は地に落ちる。ただじゃ終わらねえよ。あいつらだっておしまいだ」

「だけど、ガストルは駄目だって……」

「あいつは腰抜けだ。牙の抜けた狼なんざ、ただの飼い犬だ。そうだろう?」


 兵士のひとりが苛立たしげな戸で言う。レティはその顔に見覚えがあった。


 ドルキアンに到着した最初の日、ギルバートと山で対峙した人物。よく見れば他の面々にも覚えがあった。

 ギルバートに忠誠を誓い、彼に心酔する人々だ。


 どうしよう、とレティは思った。


(この人たち……今から、王都へ行く気だ)


 そして国王の命を狙い、暗殺を仕掛けるつもりなのだ。


 もしそんな事になれば、すべてが台無しになってしまう。

 ギルバートが青い花を咲かせようと、失敗して自らの命で償おうと、ドルキアンはおしまいだ。自領の兵士が反乱を起こして、ただで済むはずがない。


(ギルさまに知らせないと)


 だが、どうしたらいいのか。


 ギルバートがいる場所はここから離れている。徒歩で行ける距離ではない。

 そうこうしている間にも、彼らは馬の準備を終え、王都へ向かおうとしている。


「待っ――」


 窓から叫ぼうとした時、強い風が巻き起こった。その隙に彼らが馬の背に乗る。レティが止める間もなく、彼らは馬の腹を蹴って行ってしまった。


 息を呑んだのは一瞬、レティは部屋を飛び出した。

 彼らがやってきたのは北側だ。おそらくあちらに(うまや)がある。


 ギルバートがここにいない以上、自分でどうにかしなければ。

 どうすればいいのかは分からない。だけど、行かないと。


(間に合って……!)


 外へと続く扉に飛びつき、レティは勢いよく開け放った。

お読みいただきありがとうございます。さあ、間に合うか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ