パメラの書簡――オーガストとパメラ――
この間は、素敵な贈り物をありがとうございました。
私が欲しがっていた採集道具を、丸ごとそろえていただけるとは思いませんでした。おまけにとても使いやすくて、私の手に馴染みます。いつも思いますが、オーガストさまはどうしてそんなに私の望みを分かってくださるのでしょうか?
貴族の女性としては失格かもしれませんが、私は森や川が好きです。もちろん、リボンやドレスも好きですし、甘いお菓子やお茶の時間も大好きですが、土に触れているのも好きなのです。だからレティねえさまと一緒にいる時が、いつも一番楽しかった。
今、レティねえさまは私のそばにおりません。でも、思ったよりも寂しくないのは、ねえさまが幸せであることと、枯れ大樹が生き生きしていること、そして、オーガストさまがこうやって、こまめに手紙をくださるからかもしれません。
グレーデ領は今が青花の季節です。よろしければ、リファラの花が散る前に、ぜひ一度いらしてくださいませ。その時はいただいた採集道具を使って集めた薬草を、ぜひお見せしたいと思います。おいでを心よりお待ちしております。――パメラ
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手紙を読んだ。
採集道具のことは構わない。君が欲しがっていたから、贈ろうかと思っただけだ。
他にも色々な道具があるようだが、君の手に馴染む大きさのものは限られるので、残りは今作らせているところだ。他にも必要なものがあったら、遠慮せずに申し出てもらいたい。
確かに貴族階級の女性は外に出ることが少ないが、私は失格とは思わない。私も外が好きだし、森を歩くのも好きだ。フォンドア領にも美しい森がある。もしこちらに来る機会があったら、君を案内しよう。きっと君も気に入ると思う。
屋敷の管理に不都合なことはないだろうか。ボールドウィン伯爵の協力があるのに、差し出がましいことを書いて申し訳ない。だが、何かあったらいつでも言ってほしい。何があろうと、すぐに駆けつけよう。
君は大人びているが、まだ子供だ。大人に頼ることは恥じゃない。
対して私は大人だが、君の前ではどうも調子が出ない。まるで年下の姉に叱られている気分だ。
祖父は私たちの結婚に乗り気だが、さすがに年齢が違いすぎるので、今もやんわりとかわしている。祖父は君のことをとても気に入っているので、丸め込まれないように。それだけは進言しておく。重ねて言うが、君はまだ子供なのだから。
ずいぶん長くなってしまった。最後のは忘れてしまっても構わない。
また手紙を書く。今度は君が好きな甘いものも届けさせよう。
体に気をつけて。無理は禁物だ。君に女神の祝福があらんことを。――オーガスト
追伸 奇遇なことに、ちょうど時間が空いたので、近いうちにお邪魔する。
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「うちの坊ちゃん、最近やけに機嫌がいいよな」
「毎日鍛冶職人のところへ行って、何やら注文してるそうだけど。この間は子供用の金づちを頼んでたみたいだ」
「子供用? 子守でもするのかね。それともまさか、隠し子とか?」
「前にギャン泣きされて引きつけ起こされて以来、子供苦手だと思ってたんだけどな」
「なんにせよ、楽しそうなのはいいことだ。うちの坊ちゃん、顔怖くて誤解されるからなぁ」
「「「まったくだ」」」
お読みいただきありがとうございます。フォンドア子爵は顔が怖い。




