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根絶やし伯爵と枯れ枝令嬢  作者: 片山絢森
おまけ

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パメラの書簡――レティとパメラ――


 レティねえさま、お久しぶりです。


 グレーデ領ではリファラの花が咲き誇り、かぐわしい香りを振りまいています。視界いっぱいに青い花が咲き乱れる光景は、いつ見ても心がなごみます。

 ボールドウィン領の方でも、そろそろ花の季節になりますね。以前お(うかが)いした時は、ちょうど白メルザの花が咲いていました。まるでねえさまのように可憐な花だと思ったものです。あの花が、私の一番のお気に入りです。


 あれからしばらく経ちましたが、私を始め、家族全員つつがなく暮らしております。約三名、異論のある人間もいるようですが、多分気のせいです。ええ、きっと気のせい。


 ねえさまが咲かせてくださった枯れ大樹の花は、今も美しく咲いています。実をつける様子はありませんが、それでもとても健やかです。そばに行くと、ご挨拶のように花びらが降ってきて、まるでねえさまに頭をなでられているみたい。


 だから、私は元気です。


 次にお会いできるのはいつになるか分かりませんが、いつでも、どんな時でも、私はねえさまのことを思っております。いつでもグレーデへいらしてくださいね。この屋敷はねえさまのものですし、私は預かっているだけなのですから。……ふふ、こんなことを書くと、ねえさまに叱られてしまいそうですね。でも、それが私の本心です。これだけは譲れません。


 ボールドウィン伯爵閣下とガレッドさまはお元気ですか? こちらにいらっしゃる際は、ぜひお二人もお連れください。お二人とも、ねえさまを救ってくださった恩人です。ねえさまの恩人は私の恩人。心を尽くしてもてなしたいと思います。


 とびきりおいしいお茶に、たっぷりのお菓子を用意して、いつでもお待ちしています。またお会いできる日を心から楽しみにしています。それではまた、近いうちに。――パメラ



    *** *** ***



 パメラ、手紙をありがとう。


 こちらでもリファラが咲き始めました。ウィルさまは楽しんでいるようだけど、ルカさまは興味なさそうに「食えないからな」って言ってます。うん、あれは食用じゃないからね?


 ボールドウィン領でリファラの花が咲くのは、なんと十年ぶりみたい。来年はもう少し早く咲くかもしれません。そうなったら、パメラと同じ時期に、同じものが見られます。今からとても楽しみです。

 マロリーおばさまたちが元気なようで……元気なようで……元気な、ようで……安心しました。ごめんなさい、ちょっとペンがすべりました。慣れない暮らしは大変でしょう。何か入用なものがあれば言ってください。すぐに送ります。


 パメラも元気そうで安心しました。近いうちにそちらへ向かう用事があるので、その時はきっと立ち寄ります。そうしたら、一緒にお茶を楽しみましょう。お土産もたくさん持って行きます。


 その後、フォンドア子爵とはいかがですか? いずれパメラと一緒に遊びにおいでと言っていただいているのだけど、なかなか機会がありません。でも、パメラと旅行するのはとても楽しそうです。ウィルさまも賛成してくれています。……あ、もちろん、誘ってくださったのはおじいさま……もとい、フォンドア翁の方です。


 こちらではご飯がとてもおいしく、お茶とお茶菓子も絶品です。よかったら、パメラもぜひ遊びに来てください。料理長がとても張り切って、パメラが好きなものをあれこれ試作してくれています。料理長の料理はとてもおいしく、何を食べても最高です。パメラもきっと大好きになると思うの。


 私も早くパメラに会いたい。また手紙を書きます。たくさん書きます。愛を込めて。――レティ



    *** *** ***



「レティ、また手紙を書いてるの?」


 声をかけられ、レティは顔を上げた。


「パメラから届いた手紙のお返事です。おばさまたちも元気なようで……そう、元気みたいで……まあ、元気かなと……」


 遠い目になるレティに、そばにいたルカが片手を振る。


「ほっとけほっとけ。大丈夫だ、ああいう手合いは丈夫だから」

「この間も屋敷に忍び込んだみたいだから、体力はむしろ有り余ってるんじゃないかな?」

「い、いつの間に?」


 どこでそんな情報をと思っていたら、彼らは当たり前のように言った。


「え、だって」

「あのお嬢様と文通してるの、お前だけじゃないし」

「……え」


 え。


「えええええええっ!?」


 今日一番の衝撃だった。

お読みいただきありがとうございます。パメラ、割と筆まめです。

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