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『93話 アンデッドロード』

『93話 アンデッドロード』


 アンデッドロードは、攻撃を防御して安心したのか、さらなる攻撃魔法をしてきた。

 俺のモチウオールは完璧に持ちこたえているから、その間に奴の魔法壁を破壊、無効にするのが先決だ。

 問題は何をして消すかだ。

 

「早く手を打て」

「慌てるな。今やる」


 レーンはアンデッドロードが無敵に近いと感じている言い方をした。

 不安なのはわかるが、すでに俺は対策を練っていた。


「アイテムボックス、モチネジ」

「小さっ!」


 アイテムボックスから出したのはモチネジ。

 大きさは、指程度である。

 細くて先が鋭く形成されている。

 モチの硬さは小さいが最強にまで硬くした。

 小さいが硬い細長いモチだ。


「小さいがバカにしてはいけない。決して折れたり曲がったりしない強度がある。これをアンデッドロードの魔法壁にさしこむ。あの壁は物理攻撃を無効にしているのだろうから、そこへ送る」

「そんな小さなのをさしこんだところで小さな穴が作られるだけでしょう」

「壁に穴が開くかやってみたらわかる」


 モチネジをアンデッドロードの魔法壁に向けて投げた。

 レーンノ矢は壁に弾かれたが、モチネジは壁に当たると弾かれなかった。


「ささった……小さいからわかりにくいけど、確かにモチネジがささっている。これではアンデッドロードも笑うわよ。なにも変化ないし」

「俺も初めて使うから、確証はない。ぶっつけ本番だ」


 確かにこれでは無意味に近い。

 モチネジの真価はここから発揮される。

 空中に浮いてるように思えるモチネジ。

 今の段階では目に見えない程度の穴が開いてるはずだ。

 このネジに打撃を加えていこうと思っている。

 現段階では試したこともないことを実践したい。

 

「ええっ、それでは失敗もあり得るてこと?」

「もちろん失敗もあるだろうな」


 なにぶん初めてだから失敗は付き物だ。

 しかし俺的には大変に面白いと感じている。


「アイテムボックス、モチライフル」

「モチライフルでどうするの、魔法壁は物理攻撃効かないなら、モチも効かないわよ」

「直接魔法壁を打つのではない」


 モチライフルを構えて、魔法壁にささっているモチネジに照準を合わせる。

 狙いはネジの頭の部分だ。

 ここからでは目に見えない大きさであるが、そこに照準した。

 ライフルからモチの弾丸を発射。

 弾丸はモチネジの頭部分よりも少し外れてしまった。

 そのためモチネジではなく、ズレて魔法壁に当たった。


「外した」

「魔法壁には当たったのよね。壁は無傷だけど」

「違う。魔法壁を狙ったのではない。魔法壁にささっているモチネジを狙った」

「ええっあんな小さなネジを狙ったと言うの?」

「惜しいな」


 もう少しで当たっただけに、悔しさが残る。


「あなた頭がおかしいの。絶対に無理よ小さすぎてる。逆に当たったらびっくりするわ!」

「当たるまでやる」


 俺の実行している行動にびっくりしたいるレーンを前に二度目を発射。

 外したのはレーンからしたら普通と言えるが、俺からしたら単なる失敗では終わらない。

 三発、四発と打った時に四発目が命中した。

 ネジの頭部分に命中。


「嘘っ、当たった、まさか狙って打ったの?」

「狙って打った。コツは掴んだ。次からは外さない」


 一度命中させたらコツは感覚で掴めた。

 感覚は勇者の時から培われたもので、衰えていなければ命中する。

 モチライフルの弾丸をネジ頭を狙って打ち続けた。


「連続で当たった。でも当たったから何なの?」


 俺の狙いはネジノ頭を狙うのが目的で終わらない。

 狙いはネジをより奥に押し込んでいくことだ。


「よく見てみろ」

「…………変化なし……でしょ」


 モチネジに弾丸を当てても意味がわからないレーンは、俺の背中からのぞく。

 俺はモチライフルを構えていて、背中からのぞくので、レーンの胸が俺の頭に当たっている。

 レーンは気づいていないようだ。


「もっと良く見ろ」

「もっと……こう……」


 より胸が当たる。

 胸の弾力が頭を押してきて、ライフルの照準がブレそうで困った。

 しかし外すのは俺の中にはない。

 胸が当たろうが、必ず命中させる。

 モチの弾丸がネジ頭を打ったときだった。

 俺の思い通りの結果が起きる。


「ああっ、魔法壁にヒビが入った。もしかしてタケダは壁に亀裂を入れようとしていたのか。あんな小さな標的に当て続けて亀裂をいれたのはアンデッドロードも予想してないわよ」


 びっくりしたのか、レーンはお尻を地面に付けて座り姿勢になっていた。

 座って足を広げるから、鎧のスカート部分の中は丸見えだった。

 俺はお尻を見ないで、モチライフルを打つ。

 弾丸はネジをより深く押していくと、魔法壁の亀裂は広がり、最後には割れてしまった。


「壁はない。矢を打ってみな。さっきとは違う結果になるはずだ。ダメージを与えられる」

「竜殺しのレーンをここまで追い込んだのは褒めてやろうアンデッドロード。竜牙の矢」


 再び弓を引いた。

 矢はアンデッドロードにめがけて飛んだ。

 標的のアンデッドロードは魔法壁の無いのに気づいていた。

 慌てる様子が伝わった時にレーンの矢がささった。

 アンデッドロードにダメージがあった。

 苦しそうにしているからだ。

 さらに続けて打つ。

 アンデッドロードの体に矢が何本もささっていた。

 C級ランクの魔物ならば、これだけ矢がさされば致命傷となり死ぬだろうが、さすがにA級に近い魔物だ。

 未だに足はしっかりとしており、俺に向けて攻撃は止めない。


「十分に矢を受けてもまだ立っているか。しぶとい魔物だ……」

「レーン、これを使え。アイテムボックス、モチファイアアロー」

「モチファイアアローだと……」


 アイテムボックスからモチファイアアローを取り出した。

 見た目はいっけんすると連続での矢に似ているものの、ある特徴がある。

 コメからモチにした際に、超高温になるように練ったもの。

 余りの高温さに、俺の手は火傷を負った程だ。

 超高温のまま矢の形に形成した。

 それをアイテムボックスに収納してあり、まだ超高温のままだ。


「熱いから気をつけろ」

「……熱いから……あ、あ、あ、熱いっ、熱くて持てない!」


 ちょっと熱かったか。

 再び尻もちをして、お尻を地面に着いた。

 またもスカートの中身が見えていたが、矢は早く打つほど効果がある。


「熱いまま打て。ただし先端部は持つな。手が焼ける」

「……打つわよ、打てばいいのよね……竜牙の矢…、熱っ!」

「良く打てたな。アンデッドロードに当たればいい」


 モチファイアアローを必死に打ったレーン。

 その必死さが矢に伝わったのか、アンデッドロードの体に見事に命中した。

 通常の矢とは違い、矢の先端を特に超高温にしてあり、命中した途端に暴れだした。

 体温が燃える温度になったのだろう。

 アンデッドなので熱さを感じるのか俺にはわからないが、苦しんでいるのを見ると、効力はあった。

 やがて体全体が燃えだす。


「燃えてる。アンデッドロードが燃えてるわ。見なさいタケダ、竜殺しの必殺技を」

「俺のモチの矢だろ」

「打ったのは私だ」


 あくまで自分が倒したと言いたいらしい。  俺はどちらでも構わないし、話は終わらせたい。

 レーンと会話している間にアンデッドロードは地面に伏せていた。

 完全に死んでいた。


「わかった。それよりもアンデッドロードの死を確認しよう」

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