『77話 第二試合』
『77話 第二試合』
レーンは五本の矢を見事に外したからゼロ点となった。
竜風の矢は全力の力を込めて放ったのが俺の目に止まった。
力を入れ過ぎた分だけ手が震えていたのである。
そして距離は届いたが、実命中率は落ちた感じか。
レーンには今の矢を打つには腕力が足りないかな。
「次は優勝候補のハクサン国シオン選手です」
シオンが前に出ると、新しい的が用意された。
「シオンはあれだけ大きな口を叩いたのだから、さぞかし凄い命中をするのだよね」
エナジーがシオンに言ったら、
「ハクサン国の国力を見るがいい。そしたら何も言えなくなるから。さぁ、準備しなさい」
「準備?」
俺は魔法を使うのだろうと思っていたから、つい言ってしまう。
シオンが言ったら、騎士が現れて来た。
それも30人はいる。
「何よこれは…………」
「魔法じゃない。巨大兵器……」
レーンが兵器と言ったのが正に当たっている。
巨大な機械式弓矢だった。
「驚いたかしら、我が軍が開発した軍事兵器。バリスタだ。遠距離でも届くし、破壊力は城の城壁も貫く。さらに連射も可能。魔王軍にも対抗できる兵器だ」
「ずるい、こんな兵器を使うのは!」
「エナジー、ずるいて何。これはお遊びじゃないの、魔法だろうが兵器だろうが、優れていればいいのよ、もちろん許可は得ている」
「当たらなければ意味ない」
俺がひと言言ったら、シオンは不敵な笑みだった。
「さぁ、我が軍の最新兵器を試す。バリスタを打て!」
バリスタに設置された矢は、レーンの矢とは明らかに違い、大きさ、太さとも上回る。
人の力では打てないだろう矢だった。
それが発射された。
矢は的にめがけてブレずに直進すると、一枚の的を貫いた。
当たったのでなく、的をぶち抜いた感じだ。
「あははは、見たか我が軍の兵器の力を!」
「凄い……これがバリスタ。魔物だって倒せるレベルの兵器だわ」
「ハクサン国はこんな兵器を開発していたとは……」
レーンとエナジーは驚きのあまり、シオンをバカに出来ないでいる。
魔法や剣とは違い、兵器にしては相当な兵器なのだろう。
その後もバリスタを発射し、結局は五個の的を全てぶち抜いた。
「兵器では自分の力とは言いがたいが」
俺がシオンに言うと、
「構わない。優勝しさえすればいいのだ」
「シオン選手、全への的に命中しました。ただし真ん中ではありませんから、得点は50点とします」
「まあまあか、50点なら」
「次はムイト国のタケダ選手です」
俺の名前が呼ばれると、観客席からは声援はあった。
声援の量は一番小さい。
「農民が何が出来る。農作業しか出来ないだろうな」
「タケダは、見たこともない能力を使います。見ものだわ」
「俺は農民だ。農民らしく戦う。アイテムボックス、モチクロスボウ」
アイテムボックスからモチクロスボウを取り出す。
モチクロスボウは小型の弓があり、矢を発射できる。
シオンのバリスタよりも小型で、手で持てる大きさだ。
モチで作られていて、矢もモチだ。
弓の部分だけ柔らかなモチを採用しているため、しなやかなゴムのようにしなる。
「小さなクロスボウだな。そんなんで的に届くのか」
レーンが不思議そうに見ていた。
「あははは、農民らしくていうから何かと思えば、私のバリスタのオモチャみたいやクロスボウ。傑作だ」
シオンは俺のモチクロスボウを見て笑い出す
笑い声が収まる前にクロスボウから矢を発射する。
それも一本ではなく五本を連射で発射。
一度にではなく五回連射であるが、速すぎて同時に見えるだろう。
「ええっ、五本も発射したぞ……」
エナジーは同時に見ていた。
矢は直進して的の中心に命中した。
しかも五本全ての的であった。
「…………まさか、五本全て中心に当たった」
「ぬぬぬ……嘘だろ。こんなオモチャで全て中心に当てるなんて」
シオンは笑いを止めて俺のモチクロスボウにケチをつける。
「なんと、タケダ選手はパーフェクト。完璧に成功させました、100点満点です!」
観客席から声援が上がる。
それと同時にどよめきもあった。
俺は期待されていなかったらしい。
満点を取るのが、予想外だったと思える。
「これがコメ農家の実力だ」
「コメで魔法も矢もバリスタをも超えた。この試合はタケダの勝ちだわ」
エナジーは口では俺を褒めてはいたが、悔しがっているのが伝わる。
第一試合は俺の一位で終わった。
的が片付けられていく。
次の試合の準備となる。
「第二試合を開始します。火柱の消化です。火を消せたら100点です」
解説されると競技場の中央に巨大な炎が用意された。
遠くにいても熱さが伝わる程に熱い。
目が痛くなる。
「一番手はエナジーです!」
エナジーの名前で大歓声がわき起こる。
「さっきは5点だったが、この試合では100点を取る」
「頑張れ」
「100点を取ると余裕だわね」
「また火魔法か。炎とは相性が悪いぞ」
俺はエナジーの火魔法と火柱では同じ火属性であるから、消すのは難しいから言っておく。
「柱を消すだけの火魔法を打つ」
「無理」
レーンも悲観的だった。
「火を消せ、ファイアブレス」
「火の風。勢いはあるわ!」
エナジーが使ったのはまたもファイア系の魔法だった。
第一試合の時は槍の形にしていたが、今回は火の風を作った。
風は炎の柱へとぶつけられた。
「消えてっ!」
「消えない」
「あははは、炎に火の魔法は無駄。最初から失敗よ」
「エナジー選手、全く消せません。ゼロ点です」
「思ったよりも柱が強い……」
エナジーは残念そうに言った。
「次はゼロ点だったレーン選手です」
「ゼロ点だったは余計だ!」
紹介に怒るレーン。
「的には当たらなかったけど、柱には当たるのかな、3流弓使いさん」
「3流とは、失礼な!」
シオンにバカにされて、さらに怒り出す。
「しかし柱は近いけど太くて大きい。それを矢で消すのか」
「私は竜殺しのレーンよ、他にも矢はある」
自信満々で言うが、果たして矢に効果があるのかだろう。
「氷の矢よ炎を消せ、竜氷の矢」
先程と同じ弓を使うも、矢には氷の効果をしてあるらしい。
矢が氷っている。
炎に対して氷は効果はありそうだ。
エナジーのように炎に火魔法という選択よりはずっと増しだ。
炎の柱に向けて放った。
柱は近いし標的としては簡単だ。
柱には命中したら、氷の効果が発揮される。
柱の炎の勢いは弱まり、熱さの度合いが弱まい。
炎が小さくなったものの、完全に消すのは無理だった。
「残念ですレーン選手。炎は弱まりましたが、消えない。よってゼロ点です」
「ええ! またゼロ点……」
「エナジーよりは増しだったから少しは褒めてあげます」
「氷は良かったが、効果が弱かった。もっと氷の効果を与えられたなら、違った結果になった」
俺は氷の効果には評価しておいた。
「次の選手はバリスタという兵器で観客席をわかせたシオン選手です」
シオンの出番となった。
魔法を使うのか、武器らしき物はまだない。
「柱を消すのなら、一本の矢で消せるわけない。我が国の兵器をご覧あれ」
「また兵器?」
「自分の魔法もスキルも使わないて卑怯だわ!」
エナジーとレーンは卑怯者と呼んだもののシオンは冷静だった。
「勝てばいいのよ」
確かに大会の運営からは何も文句はない。
問題があれば失格となっているはずだ。
つまりは兵器だろうが関係ないらしい。
次の兵器は何かな。
俺にも予測不能だった。




