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『70話 露出服』

『70話 露出服』



◇服屋


「ご主人様、やけにお肌がツルツルしてますが」

「ああ、城のお風呂に入ったからだろう」

「ええっ、お風呂ですか、私は入ってません」

「私も知りませんでした。ご主人様だけ入ってズルいです」


 キアラとフェンリルは入っていないらしい。

 ということは、俺とエナジーだけか。

 話づらい内容だけに、あまりお風呂の話題はしたくない。


「お風呂は、偶然にメイドに頼むんだら入られせてもらえたんだ」

「もう、教えて欲しかったなあ」

「俺と混浴風呂をしたいのか」

「違います」


 キアラはきっぱりと断っていた。

 

「タケダ様、これからどうしますか。せっかく王都に来たので町で買い物とかしたいかな」

「キアラの好きにしたらいい。フェンリルも買い物など興味ないか、魔族には買い物という文化はないもんな」

「興味ある。ご主人様、魔族にだって買い物は楽しいですから、キアラと探索する」

「俺は知らなかった、魔族にも人みたいな一面があるんだな」

「あります」


 キアラとフェンリルが買い物をしたいと言い出したから、俺も付き合うとする。

 王都の町には買い物している人が多かった。

 主に食料品を持つ人の姿が目に映る。

 キアラは食料品には目もくれていないようだった。

 向かった先は服屋だった。

 まあ女の子だから服が欲しいのは普通か。

 

「タケダ様、服屋に入ります」

「どうぞ、俺は見ている」


 服屋に入るなり、色々と物色していた。

 カラフルな色の服もあって、キアラは手に取っては試着しだした。

 フェンリルは魔族のはずだが、衣服にも興味を持ち出したらしいのは、良いことととって良いのか。

 魔族が暴れだすよりは平穏の方が増しという考えもある。

 キアラが試着室から出てきた。


「タケダ様、どうです?」

「ちょっと胸の露出が大きいとは思うが」


 今まで来ていた衣服よりもさらに胸を露出させたのだったから、俺はキアラを抑えるように言った。


「ええ〜、これくらいは胸をみせてもいいかな。町の女性だってみせてるもん」

「一緒にすればいいものでもない」

「ほらっ、タケダ様の隣に似合う服がいいの」

「それがこれか……」

「ご主人様、どうですか。私の露出は押さえてあります」


 フェンリルが次に出てきた。


「いや、キアラとあまり変わらない気がするが」

「そうかな〜、キアラよりは露出は少ないのよ。ただ胸が大きいから出ちゃうの」

「それならもっと別のに試着したらいい」


 ほとんど胸が見えていた。

 王都の服屋はみんなこんな感じなのか。

 俺は買ったことがないから、わからなかった。

 値段は別に気にしていないので、せめて普通のにして欲しい。

 一緒に歩ける服でいいのだが。

 彼女らは、露出したのが好みらしい。

 選んでいく服が全て露出度が高いからだ。

 結局は購入することになった服は全て露出服だった。

 そして買った服をすでに来ていた。


「タケダ様、ありがとう。着替えて歩きたい」

「ご主人様、一緒に歩けてフェンリルは幸せです」

「そうか、俺も気に入ってくれたなら嬉しい」

「タケダ様も買ったらどう。いつも防具だし、たまには紳士的な服もあってもいい」

「そうですよ、ご主人様も買いましょう。ほら、紳士服なんかいいわね」


 フェンリルとキアラに言われて俺も購入するとなりつつある。

 俺は緊急でいる服はないが、買わなきゃいけない感じになった。

 紳士服のお店に入った。

 確かにパーティーで着るような服はあった。


「こういうパーティーで着る紳士服をタケダ様も持ちなさい」

「俺は勇者の時からパーティーは、苦手だったから、全て欠席していた。紳士服は必要なかった」

「この際、購入しましょう」

「どうかな、俺はこの手の貴族っぽい服は好きになれない。それよりもあれがいい、あれなら欲しいな」

「えっ、どれですか?」

「これだよ、これなら即買いする」


 俺が手にしたのは、貴族らしい服ではなく、農作業をする作業着だった。

 なぜこんな作業着があるか、知らないが、まさに俺にピッタリの服だった。

 

「ダメよご主人様、これは農作業用です。汚れてもいいような農民が着る服です」

「それがいいのだフェンリル。俺にピッタリだ。店主、これを購入する」

「ありがとうございます」


 結局俺は、農作業用服を購入した。

 非常に気にいった。

 

「もう、タケダったら、ちょっと服のセンスなさ過ぎです」

「俺は大変に気にいった、もう一着欲しいくらいだ」

「ご主人様、まさかパーティーにもその服で出席するつもりですか」

「そのつもりだ。農民らしくていいだろ」

「どこが……」

「むしろキアラとフェンリルが、騎士団に捕まらない方がに不思議だ。露出狂だろう」

「タケダ様、ひどい!」

「ご主人様、露出狂なんていい方やめて!」


 キアラは俺の服のセンスのなさに、がく然としていた。

 超露出狂のキアラに言われたくはないが。







◇ムイト国


 ガーネット国で派手な服を買い込んだ後は、モチジェットで一気にムイト国にきた。

 キアラは服を買えたので満足したのか、終始笑顔である。

 胸が露出し過ぎとは思うのは俺だけだろうか。

 周囲の男達の視線が、どうにも気になる。

 確実にキアラの胸にいっている。

 

「タケダ様。緊急クエストであったキズナ村の支援を終えたから、冒険者ギルドに報告をしましょう。村を救えて、尚かつオークキングの素材と魔石も取れましたから、収穫です」

「そうだな、ギルドに報告はしておこう。だがその露出の服装は必要か」

「気に入ってます」

「ギルドに服装制限はないですよ、ご主人様」

「わかった、入ろう」


 服装制限があってもなくても、キアラとフェンリルの服は、きわどいだろう。

 実際にギルドに入ったら、男の冒険者どもは、二人の胸元に目が集中している。

 

「こんにちは。あら、キズナ村からもう帰ったとか……」

「帰った。キズナ村を支援をするクエストは終了した。村の村長から証明書をもらってある。これだ」


 アイテムボックスから証明書を受付嬢に提出する。

 証明書は村の洪水による水害の回復、食料支援、オークキングの討伐とあった。

 どれも貢献度は高いはずだ。

 証明書たを受け取った受付嬢は絶句していた。

 少しして俺を見る。


「証明書はキズナのニスタ村長の印がある。これによると、洪水の水害からの回復は、クエスト内容にもあったもの」

「洪水が再び起こり、田畑などの回復を支援した。村人も救った。それと食料支援は、俺が収穫したコメを三ヶ月分くらいは支援したものだ」

「わかりました。食料支援は素晴らしいです。さすが農民タケダの本領発揮ですね。しかし理解できないのがオークキングの討伐とある。これはクエストにはなかった……オークキングと言えばAランクもしくはBランク魔物です。本当に討伐したのですか」


 受付嬢はオークキングのところで声を震わせていた。

 ギルドでもご存知なオークキングらしい。

 Aランクの魔物となれば、普通はAランク冒険者の出番である。

 Aランク冒険者でも厳しいから、それにプラスしてBランク冒険者を数人とか集めるだろう。


「ご主人様は討伐しましたよ、アイテムボックスに証拠があるものね」

「アイテムボックス、オークキングの素材、魔石」


 フェンリルからリクエストされた通りにアイテムボックスから出した。

 受付嬢の前に提出をしたところ、あっけに取られたのか、全く動かない様子だ。

 どうしたのか、ショックを受けたかな。

 出せと言われたから出したのだが。


「鑑定します……オークキングに間違いありません!」

「ご主人様を信じてあげて」

「クエスト情報にはなかったですが……」

「オークキングはキズナ村の近くの山にいた。村に被害を与えるから倒しておいた。ただし、魔王の祝祭であったかは不明だ」

「簡単に言いますね……あはは」


 受付嬢は苦笑いしている。

 俺も居るとは聞いたなかったから、ギルドも想定外だったらしい。

 俺以外の冒険者が受付していたら、確実に死んでいただろう。


「もし、FやEランクの冒険者にクエストを受付けして失敗したら、私は減収でした。いや、クビもあっかな。タケダには感謝します。ありがとうございます」


 ギルドとしては、申し込む冒険者のランクに応じてクエストランクを決める。

 だから簡単だと思って低いランクの冒険者を派遣し失敗したら、それはギルドの責任となる。

 

「報酬をお願いします」

「はい、報酬をお出しします」


 出された報酬をアイテムボックスにしまう。

 

「タケダ様。掲示板のクエストをちょっと見てきますよ。様子を見に」


 キアラが様子見に、クエスト掲示板のところへ行く。

 掲示板の周囲には冒険者がウヨウヨしている。

 ビックチャンスのクエストや、高額なクエストなどを探す冒険者で目が血走っていた。

 その中にキアラが入ったら、邪魔者扱いされないか不安になる。

 大丈夫かキアラは……。


「ちょっと見ていいかな」

「ひぇ〜〜〜すみません!」

「失礼しました!」

「えっと、私は何かしたかな?」


 キアラが近づいただけで体格のいい冒険者は逃げて行った。

 キアラが声をかけただけで、恐れていった。


「キアラを怖がったみたいです。オークキングの話を聞いていたのでしょう」

「かわいそうなことをしたな」


 逃げるようにして去った冒険者に、キアラは意味がわからないでいた。

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