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『※44話 ペンダントを発見』 

『※44話 ペンダントを発見』 



 カナロアがフーリッシュ国王の前に。

 緊張していてるのはいつものこと。

 丁寧に言った。


「フーリッシュ国王、私から相談があります」

「なんだカナロア。言いなさい」

「はい、リザードマンを大量に倒したのは成果でした。しかしまだ余談は許せないのです。私が王都から離れた地点でダンジョンを発見したからです」

「ダンジョンを?」


 国王はダンジョンが関係していると聞いて、険しい顔になった。


「ダンジョンは、今もあります。しかも二つあります。早くダンジョンの中に入り、リザードマンを全滅させることです。そうすれば国は安全になります」

「なぜ急に二つもダンジョンがあったのだ。何の報告もなかった」

「はい、はっきりとは言えませんが、急に二つもダンジョンが生まれたらしいのです。詳しくは調査が要ります」


 カナロアにも理由はわからなかったよう。

 二人とも、混乱している顔だ。

 

「早急に調査してくれ」

「ただし、調査は難しいです。調査団からの報告にはミノタウロスの姿を発見したとあります。もしかしたら、ダンジョンにミノタウロスが居る。ミノタウロスが居ると調査どころか、中に入るのも困難です」


 ミノタウロスはリザードマンと比較して、ケタ違いに強いのは勇者の時からの知識。

 カナロアも知識としてあったので、不安を言った。

 そしてミノタウロスの名前が出た途端に、ドッとどよめきが起きた。

 聞きたく名前だったからだ。

 その名前がいかに恐ろしいかを物語っていた。

 

「ミノタウロスか……本当に見たのか……ミノタウロスの姿を。もしダンジョンにいるなら、この国は大惨事となる。リザードマンどころじゃない。国が滅びかねないぞ……」


 ミノタウロスが暴れたら国が滅ぶ。

 これは世界共通の歴史で知られていた。

 歴史ではミノタウロスが過去に国を潰していた話を俺は聞いた。

 歴史書に記されているのも見ていた。

 ミノタウロスが居たら、このセレスタ国は終了と言った。

 

「ダンジョンが生まれる、リザードマンが大量に出る、ミノタウロス……いったいなぜこんな不幸が立て続けて起きたか、納得できません」

「フーリッシュ国王、俺に考えがあります」


 カナロアが困った時に俺が申し出る。

 意見を言う立場ではなかった。

 普通は国王に対して何も話しかけてはいけないと決まっていた。

 立場が違う。

 平民、それも農民の弱い立場で国王に話しかけること自体が、反逆者と問われる。

 犯罪行為であった。

 許されない行為をした。

 当然に騎士団や冒険者も周りで、驚いた。

 いくら表彰された人物でも、やっていいことと悪いことがある。

 してはいけない事をした。

 

「おい、タケダ。国王に話しかけるとは身分をわきまえろ!」


 騎士団の一人が俺に剣を突きつけた。

 兵士は剣で切る。

 国王を守るためだった。


「待て、剣を置きなさい」

「はいレーン姫、置きます」


 レーンは、兵士に剣を置かせた。

 そして俺を見た。

 レーンに命令されたら兵士は従う。

 剣を直ぐに置かれる。

 

「お父様、タケダの意見を聞きたい。何か知っているかもしれません。とても奇妙です。お願いします」


 レーンは父親の国王にお願いした。

 俺が突破口になる何かを知っていると思ったかもだ。

 国王は娘の願いなため聞くとした。

 ちょっと助かった。

 

「何か考えがあるならいいなさい。タケダは重要な成果を上げた。特別に意見を聞こう」

「ありがとうございます。カナロアからの話では、不自然な箇所があって、ダンジョンが二つも同時に生まれる。大量の魔物が出現した。ミノタウロスまて目撃があった。これは平時では考えられないでしょう。俺は農民ですが、それ程度の知識はあります。過去にない現象。そうなると今は平時ではないとなる。何を言いたいかと言いますと、こちらをご覧ください皆様、アイテムボックス、魔王のペンダント」


 話の途中で切り、アイテムボックスからペンダントを取り出した。

 国王の前に置いた。

 これが関係しているか、わからなかったが、可能性があったから。

 あくまで可能性の話だが、魔王のペンダントによる祝祭なら、魔王と繫がる。

 魔王となったら、世界はミノタウロスよりも更に恐怖する。


「魔王のペンダントだと……魔王とはあの魔王ハデスのことか」

「はい、魔王ハデスが復活するペンダントです。このペンダントが魔王ハデスの魔力を持っています。ペンダントが集まると復活の儀式で復活します。更に儀式とは別に祝祭があるそうです。祝祭は人族を大量に殺して、魔王への生け贄にする。ペンダントがある所に起こる。今回の出来事が祝祭ならば、魔王と繋がります」


 魔王の名前で騒然となった。

 ミノタウロス以上の恐怖だったのは当たった。

 あの恐怖の魔王がまた現れる。

 これ程の恐怖は人族にはなかった。

 国王は顔が引きつる。

 カナロア団長は、真っ青になった。

 いや、真っ青になっていなのは、この場で俺だけだった。

 魔王の名前にも決して動じない。

 顔色ひとつ変えない㊚。

 魔王を倒した㊚。

 それが俺だった。

 世界でただひとり、魔王を倒せる人物。

 知っているのは、キアラとフェンリルだけだ。

 

「聞いたことがある。魔王ハデスはペンダントで何度も過去に復活したと。歴史書には書いてあった。しかし歴史書には一度、死ねば何百年、千年は復活はしないともあった。10年前に魔王ハデスは勇者アマルフィに敗れ死んだのは世界に流れた。10年しかたっていないのだから、無関係なのではないか?」


 アマルフィの名前が出た時に、キアラとフェンリルは、お互いに顔をあわせて微笑んだ。

 アマルフィが俺なのは内緒だった。

 二人しか知らない過去だったから、少し笑った。

 過去に魔王ハデス復活したのは事実だった。

 歴史書にも書かれていたらしい。

 千年単位で復活するのも過去にあった。

 そして現在はまだ十年しかたっていない。

 俺が十年前に倒した日だ。

 国王が言ったのは、つじつまが合わないというわけだ。

 

「そこは俺にも不明です。ですので俺にもダンジョンの調査をさせてください。ミノタウロスと遭遇したら戦います。自分の目で確かめたいのです」

「農民がダンジョンの調査をするか。よろしい、この際だからタケダにも調査を協力してもらう。カナロアも手伝いなさい」

「ありがとうございます」

「はい、タケダと調査します」


 フーリッシュ国王は、ペンダントが関係してあるなら、早く対応したかった。

 納得のいく回答をカナロアに命じた。

 よって俺もダンジョンの調査に同行となった。

 俺も同行には賛成であったため、素直に調査をしたい。

 むしろ俺なしでは調査は難航であるとも。

 とても俺なしに、話が進まない。

 カナロアもその点に気づいていたのかもな。

 

「ちょっとペンダントを貸して欲しいかな……」

「どうしたレーン、欲しくてもダメだぞ。不気味なペンダントは所有は認めない」


 レーンに対して国王は決断して所有はダメとなった。

 魔王の魔力がある。

 気味が悪いし、王都に魔王の魔力があるのは問題だった。

 しかしレーンは、ペンダントをじっと見ていた。


「これと似たペンダントをすでに所有している。所有したのは最近だった。町のアイテム店で見つけた。店主からは珍しいアイテムだと聞いて購入したそれが部屋にある!」

「まさか!」 

「私の部屋にあるわ、似てるのが」

「嘘だろ!」

「取ってくる」


 レーンは自分の姫専用の部屋に戻った。



「部屋にあるドレッサーの引き出しにあった。引き出しを開けたら、ペンダントがあった!」


 魔王のペンダントだった。

 偶然に手に入れた。

 どういう経緯か、セレスタ国にもあった。

 このペンダントが魔王の祝祭のキッカケだったとなる。

 フェンリルから聞いた話を元に推論した。

 このペンダントによる祝祭は的確だった。

 まさに祝祭による王都の破壊。

 王都の人の生け贄。

 ミノタウロスの出現も祝祭ならば頷ける。

 王都を魔王に捧げるための祭りならば。

 レーンは、ペンダントを手に。


「魔王のペンダント!」


 国王の見える位置にペンダントを置いた。

 

「嘘だ! なぜ持っていた!」

「珍しいから買ったの。ほらね」

「何がほらねっだ、直ぐに捨てなさい!」


 国王は慌てて言った。

 まさか娘のレーンが所有していた。

 魔王の魔力の元を。

 

「捨てなくていい、俺が貰います」

「タケダが所有する方がいい。タケダに渡しなさいレーン」

「はい、渡します。ふん、なかなか気に入っていたのにな」


 父親に怒られたレーン。

 少しためらいつつ俺に渡した。

 手にして鑑定をした。

 鑑定結果は、魔王のペンダントだった。

 これで全てが繫がった。

 セレスタ国に起きたのは、ペンダントが関係していた。

 そして祝祭だった。

 カナロアはがっくりとした。

 レーンが魔王ハデスと繫がった。

 騎士団もペンダントに騒がしくなった。

 トニックもダイアは変色した。

 恐怖と言う名の顔色になった。

 ただひとり俺だけは違った。

 ミノタウロスだろうが、魔王ハデスだろうが、関係ない。

 たとえどんな相手だろうと。

 魔王にもおくすることはあっても、逃げはしない。

 アイテムボックスにペンダントを収納した。

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