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『※43話 国王に表彰される』

『※43話 国王に表彰される』




 リザードマンが100匹来るのをモチカーペットで迎え打つ。

 俺の後ろで見ている者は、この後常識が壊れるかもな。

 世界の常識や規格、現実的とかが全て壊れるショーの始まりだろう。

 大きな筒状のモチ。

 その筒状な状態をカーペットみたいに広げた。

 巨大なカーペットが現れる。

 大きさは大きな公園くらいの大きさだった。

 今回のモチは柔らかい。

 水分を多くしてあったから、形も変形可能。

 逆に水分を減らすと固くなる。

 前方に敷かれたカーペット。

 そこへリザードマンの大軍100匹か歩行してきた。

 このままだと王都に到着する。

 普通なら門を閉めて、防衛態勢を作るところだ。

 ところが何もしなかった。

 単純に何もしなかった。

 俺はただ見てるだけ。

 やる気すら見せない。

 しかしリザードマンがカーペットに足を踏み入れた瞬時だった。

 リザードマンは足がモチカーペットに粘着されて、もがき出した。

 結局足の裏にモチがベトベトに粘着して、倒れた。

 次々と後ろから歩行して来るが、全員が歩行で足がベトベトになった。

 カーペットはリザードマンが倒れてリザードマンだらけになっていった。

 リザードマンは何だかわかっていない。

 ただ王都に向かって歩行するだけだった。


「カーペットにリザードマンがピタリと付いたままだ」


 レーンは初めてみる魔物がカーペットに粘着していく姿だった。

 あまりにも、衝撃的な光景な発言。

 

「タケダよ、リザードマンが全匹あそこにカーペットに、張り付くのか」

「そのつもりだ。カーペットは粘着性があるモチだ。カーペットの上に足を踏み入れたら最後。足の裏に粘着がついて取れなくなる。リザードマンは見動きできない。だから見てればいい」

「見るだけ!」


 シオンは、信頼するしかなかい。

 生まれて初めて見る衝撃のシーンになる。

 見てればいいと言われたから、静観するしかなかない。

 ただ見てるだけの戦いだった。

 騎士団と冒険者が苦戦し、大量に犠牲者が出た戦いが、見てるだけだった。

 

「こんなふざけた戦いをするのは、この男しかいない!」

「別にタケダはふざけているわけではない」


 最も犠牲者を出さずに、確実に実行できる最善の策がカーペットだった。

 つまりは、手をかけずに大量のリザードマンを倒せる方法論の行き着いた形がカーペットが適任となって、実行した。

 何も考えていないのでなく、あらゆる方法を考えて、アイテムボックスから取り出したのだった。

 その結果、リザードマンが100匹、カーペットに張り付いたまま見動きできなかった。

 ようは、ゴキブリ何とか的なあれだ。

 虫が粘着性のある所を通ると、粘着でベトベトになり、その内に死んで行く奴だ。

 あれの超巨大版だと思えばいい。

 そんなのを作る方も作る方だが俺は真剣だった。

 ゴキブリ何とか的なのをコメから作ったのだった。

 


「タケダ……これは終わったのか?」

「終わりだ。リザードマンはもう見動きできない」

「見てるだけだ!」

「最善の策だ。リザードマンは知能が低い。その点を利用した。歩行したら王都に到着するまで歩行し続ける性質がある。そこを考えて、最も犠牲者を出さずに、敵を倒す。コメ農家の戦い方だ」

「コメ農家の戦い方……恐ろしい」


 シオンは声が震えていた。

 今までコメ農家は、農業だけしているのが普通だった。

 それが目の前でリザードマンを倒した。

 驚異的な強さだった。

 リザードマンはカーペットにへばり付いたまま、動いてはいた。

 しかし粘着のカーペットから離れるのは無理だった。

 

「もしかして、このまま放置する気か」

「いいですよね。近寄らなければ、その内、死にます。そしたら廃棄してください」

「か、構わないが。団員に言って、誰も近くに寄らないようにしておく」


 カナロアは苦笑いした。

 完全に殺すわけでなく、放置するやり方に。

 生殺してわけだった。

 ゴキブリ何とか的なのも生殺しだから、理屈はあっている。

 使い終わったら捨てる感覚だった。

 リザードマンからしたら、苦痛でしかない。

 






◇王都


 王都に帰り、俺はモチハウスに行った。

 安全のため中にいれたキアラがいるからだ。

 キアラは中で眠っていた。

 扉を叩く音をさせる。

 扉が開けてみる。


「キアラ、もう出ていいぞ」

「えっ、もう魔物はいないの。早かった!」


 寝ていたのだが、声で起きた。

 俺が居たので扉へと。

 モチハウスはアイテムボックスに収納しておく。

 

「魔物がいっぱい死んでます。タケダ様が倒したの?」

「倒した。魔物はリザードマンだった。まだ油断は出来ない。ミノタウロスもいるかもしれないし、魔物がダンジョンにいるらしい」

「ダンジョンですか」

「騎士団に言われて国王に会うことになった。キアラも来るんだ」

「はい」


 カナロア団長から、今回の活躍の件で城に来るよう言われた。

 フーリッシュ国王に会い、報告をするからだった。

 重要なクエストや討伐をした時は、国王の前で報告をするのが習わしだった。

 俺の今回の活躍は、報告するに十分に値した。

 十分過ぎるくらいだった。

 ほぼ一人で終わらせたわけだ。

 報告するのに俺無しでは、成り立たないと。

 居れくれないと困る。

 それくらいの活躍ぶりだったと言われる。

 キアラと合流したので、次はフェンリルと合流する。


「フェンリルは、どうしました? 姿が見えないです」

「フェンリルは、俺が倒したリザードマンから、素材と魔石を回収している。近くにいると思うから合流しよう」


 フェンリルとは簡単に合流した。

 しっかりとリザードマンから魔石などを回収していた。

 大量過ぎるから、忙しかったようだ。

 全てを回収するのは不可能で、魔石の山が出来た。

 通り過ぎる人は、魔石の山を見て、しばらく眺めていた。

 見たことない大量の魔石だったからだ。

 魔石の山を作るフェンリルを、冒険者や町の人は、まさかあのフェンリルだとは知らない。

 魔王軍の最高幹部の一人だった。

 それが農民に言われて魔石の回収。

 真実を知ったら、逃げるだろう。

 

「ご主人様、リザードマンの数が多すぎて、私一人では全部の回収無理だった」

「そりゃそうだな。王都にはリザードマンが100匹いたらしいから。全部は無理だ。アイテムボックスに収納しておく。それと、これから国王に会う」

「国王にですか。ご主人様の活躍があったからですよ」

「フェンリルも来てくれ」

「はい」







◇王都 城


 リザードマンの大軍、約200匹を倒したのはフーリッシュ国王に報告された。

 城には、フーリッシュ国王が玉座に座る。

 レーンは隣に座る。

 カナロア団長並びに騎士団の衛兵は、周りに直立した。

 なぜかあまり活躍しなかったトニック、ダイア、スマッシュもいた。

 カナロアが参加をさせていた。

 その他、冒険者の姿もある。


「フーリッシュ国王、タケダを呼びました」

「ご苦労だったタケダ。そなたがリザードマンをたった一人で倒したのは聞いた。衝撃を受けた。助かったぞ」

「俺は仕事をしたまでです」


 失礼のないよう頭を下げて言った。


「リザードマンを倒してくれた報酬はもちろん差し出す、受け取りなさい」

「ありがとうございます」


 報酬は魔石類とは別に支給されるとされた。

 ありがたく受け取る。

 断る理由はなかった。

 報酬目当てではないが、失礼をしたくなかった。

 フーリッシュ国王、レーン、カナロアや騎士団がいる前で俺は表彰された。

 誰が予想しただろうか。

 農民の俺が一番活躍すると。

 表彰されてるのは、トニックでも、カナロアでもない、戦いに不利とされる農民の俺だった。

 世界のどこに農民が表彰される歴史があったか。

 国王から表彰される農民など皆無だった。

 しかし歴史を塗り替えたと言える。

 それも簡単に。

 農作業よりも簡単にやってのけた。

 コメを作る作業の方がずっと苦労していた。

 

「コメ農家らしいな」

「はい、コメ農家です。コメは偉大です。リザードマンもコメで倒しました。コメは無限の可能性があるのです」

「コメで倒したとは凄い。奇跡だ」


 誰もが俺を不思議に見ていた。

 農民が革命を起こした瞬間だったから。

 あり得ない光景だが、現実だった。

 農民に対するみんなの考えが変わればいいかな。

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