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『※3話 ムイト国に到着』

『※3話 ムイト国に到着』



 キアラが思ったまま言った言葉はモチに対しての言葉であり、なぜここで出す必要があるのかと言うものだが、俺はキアラ姫の逆を行っていた。

 

「モチジェットで国を移動する。ここに乗るんだキアラ」

「乗る?! 食べ物のモチに乗ってどうするの。いくら私がハクサン国の姫だから世間知らずと思っていても、米で飛行出来ないのは知ってます!」


 ますます意味がわからないキアラは、疑問に思いつつもモチジェットの前方にある部分に座る。

 俺も横に座り、これが何なのだろうかはそれ以上説明しない。


「飛行できる。ちゃんと掴まっていてくれ」

「飛行しません」

「知らないぞ落下しても」

「飛行しません、絶対に!」


 キアラは首を振って断固否定した。


「確かムイト国の王都はあっちの方角だった……モチジェット」

「うわぁーーーーーーーー!」


 俺は田舎暮らし以前にムイト国の王都に行った経験があり、記憶から王都の位置を把握しモチジェットを飛ばした。

 モチジェットは、モチを燃料とした移動する装置で、後方からモチを発射し、地面から飛行される。


「本当に飛行した!」


 大爆発の爆音が起こりキアラは耳をふさいでいて、モチジェットは空中を飛行した。

 俺とキアラはモチで移動するのに成功していたが、キアラには何がどうなっているかが全く理解できないでいたらしい。

 俺のモチジェットはモチを飛ばした作用による力を最大限に能力を求められた。

 日本にあるモチは食べ物という認識だろうが、俺はモチを発射し、その力を利用して乗り物を飛行させるのに成功し、形を自動車みたいにしたモチジェットを考案したのだった。

 不可能とは思わず、何年も毎日、毎日続けてコメからモチを作っているうちに、神のレベルまでモチを極めてしまい、神レベルとなると、モチを発射爆発させるのが出来るのだった。

 これは誰にでも出来る技ではない。

 元は勇者であり農民レベル999、米作りスキルレベル999にまで極めた俺でしか無理な芸であった。

 

「勇者様、空を飛んでます!」

「ムイト国の王都まで飛行する。着地は王都の予定だ」

「速いーーーー!」

「落下したら死ぬ。掴まっていろ」

「はいっ!」


 飛行とはいっても飛行機のように室内にいるわけではないから、大きく揺れるし、しっかりと掴まっていないと落下する危険もゼロではないとし、キアラは胸を揺らして俺に抱きついていた。

 抱きついたキアラは顔を赤くしていた一方、俺はモチジェットに掴まれという意味で言っていたから、なぜ自分に抱きついてきたのかと思ったが、そのままにしておく。

 モチジェットで俺とキアラを乗せたら重量はあるが、決して落下することなく飛行し続けると、日本で言う飛行機並かそれ以上の速度で飛行した。

 俺の農地のハクサン国を超え、目的地のムイト国の上空に。

 ムイト国の上空もそのまま飛行し続けていくと、王都が俺の目に見え、


「着地する。掴まっていろ」

「はいっ!」


 着地する時にもキアラは抱きついて、胸は俺の腕に当たって、キアラ姫の防具はスカートの形状であり、下からの風でスカートはめくれてパンツは丸見えであったが、俺はパンツは見ずに着地に専念した。

 着地する地点は王都の近く何もない草原を選ぶことにし、安全を確認してから着地、着地方法は再びモチを逆に発射をして落下速度をゆっくりにする。

 逆噴射する飛行と同じだ。


「モチジェット」


 モチジェットの前方から爆発したモチが噴出されて速度は遅くなった後に、モチジェットは草原にゆっくりと着地した。

 しかし問題はあって、近くにはこれから冒険に行く冒険者パーティーの一団がいて、出発するところに俺のモチジェットが着地して、いったい何なのかと意味がわからなくなっていた。

 

「気にしないでくれ」


 俺は冒険者の一団に告げた。


「気にするでしょ!」


 キアラは冒険者に謝っている。

 まだモチで空を飛んでいる者など誰もいない時代であって、飛行機すらない時代なのに俺は余裕で冒険者と挨拶した。






◇ムイト国王都


 アイテムボックスにモチジェットをしまうと王都に入って、王都の規模は俺のいたハクサン国の王都と比べると小規模。

 ムイト国が小国であるのが人の多さで感じた。

 キアラは到着したはいいが問題は今後だった。

 姉のシオン姫から結婚をすすめられるままに婚約してしまったのはキアラには不本意だったからであるし、このまま結婚するしかないのかと考えると食い止める方法を考えておこう。


「本当に結婚する気か。姉の言うことを?」

「姉も父も認めていますから、今さら結婚したくない、破談は無理でしょう」

「なぜだ。嫌なら破談したらいい」

「簡単ではないです。破談したらムイト国との間の関係が悪化します。私は両国の関係を良くするために結婚するのです」


 ハクサン国とムイト国の間は戦争ではないが、あまりいい関係ではなかったから、ムイト国からしたら大国であるハクサン国との間で婚姻関係になるのは嬉しいとなり、直ぐに決まってしまったのかもな。

 つまりはキアラはお互いの国の関係を良くする道具でしかない。


「俺に任せろ。結婚は破談にする」

「無理です。もう国と国で取り決めたのですから、元勇者が何をしても決行されます」


 俺は国王に会う前にキアラに断言し安心させようとしたのだが、キアラは破談は避けたいと思ったらしい。

 本当は結婚などしたくない気持ちはあるから、俺の言葉に希望が生まれていると考えたい。

 

 

「勇者様、ムイト国の城があります。あそこで結婚式をする予定です」


 伝説の勇者だと知っているのだから勇者と呼ぶのは当然であったのだが、俺からしたら迷惑だった。


「おい勇者はまずい。勇者だと隠して生きているのだ」

「あっ、そうでした……そしたらアマルフィ様に」

「アマルフィも禁止だ」

「あっ、そうか……そしたらタケダ様にします」


 勇者の名を隠して辺境の田舎の家で暮らす身であったから、勇者とアマルフィの名前は禁句としておきたかったのであるが、タケダ様の様は必要がないけどキアラが様を付けたがるから、そこは許すとした。

 キアラからしたら、勇者は勇者であるから、勇者と呼びたいのもあるのだろう。

 王都を通り過ぎる人は、まさか伝説の勇者が歩いているとは誰も気づいていなくて、少し歩いていった先に城へと到着した。

 

「どちら様です。許可証は?」


 城に入城するには厳しくて許可証がなくてはならないので俺は困って、許可証など持っているはずもないからだった。

 

「許可証はない」

「なければ入れない」


 予想通りにお断りされる。


「待って、私はハクサン国キアラ姫、アドマイヤ王子と婚約している。これはその証明書です。通り抜けるのを許可お願いします」


 キアラは門番の兵士に自分の姫の証明書をみせると兵士は、


「キアラ姫でしたか! どうぞ!」

「ありがとう」


 兵士はキアラ姫だとわかると敬礼して通して、簡単に城の中へ入れた。

 大国の姫ともなれば、兵士の態度は一変するのを俺は確認した。

 世の中はこんなものなのかと。

 城の内部は小国とはいえさすがに国王の住む城だけに俺も圧倒される威厳のある内装、通路は全て絨毯が敷かれており、兵士がいたるところに配備してあった。

 国王の待つ部屋に案内される。


「ようこそキアラ姫。予定よりも早い到着でしたが」


 ミネイロ国王がキアラへ言ったのは、馬車では数日かかる距離であったのを、俺のモチジェットで、僅かの時間で到着してしまったから、ミネイロ国王も理由を訊いたのだった。


「はい、早く到着しましたのはお許しを」

「アドマイヤ王子との結婚式は変更して今日予定とした。よろしいな」

「ええっ、今日ですか!」


 困ってしまうキアラにミネイロ国王は変に思うのは、キアラの態度が結婚を喜んでいない様子に思えたからで、両国の関係上、ここまで来て破談はないだろうと思ったからだったに違いない。

 その国王に俺は意見を言う。


「ミネイロ国王。悪いが今日のキアラの結婚式は取り消しだ」

「ええっ! タケダ様!」


 大勢の兵士がミネイロ国王の周りを固めていて、キアラ姫と俺を見張っている中での国王の気持ちを俺が突然に無視した発言をしたから、室内は騒然となった。

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