『※30話 水田でびしょ濡れ』
『※30話 水田でびしょ濡れ』
◇王都 タケダの家
冒険者ギルドでの報告を終えて一段落をした俺は、自宅に帰る。
やる事はいっぱいあるし、暇はなかったのは、コメ農家での作業、先日に作った農地でのコメの農地で、ナエを植える作業がまだあるし、コメからモチを作るのも必要だったからだ。
モチの在庫がアイテムボックスから減少しているので、使った分を補充するのを日課としないといけない。
その後、部屋で椅子に座っているフェンリルはある事に気になっている風にしている。
そこで理由を知るため声をかけてみる。
「フェンリル、何か考え事でもしているのか。先程からさえない顔をしている」
「わかりますか。さすがご主人様。ずっと気になっている点があるの。それはガイアドラゴンが現れたでしょ、町のギルド受付嬢はガイアドラゴンが現れたのは過去にもないて言ってたの。そこで感じたのが魔王のペンダントなの。過去にない異変が起きてるのが魔王のペンダントの影響ならガイアドラゴンが当然に現れたのも説明がつく。なぜなら魔王のペンダントは魔王ハデス様を復活させる。でもそれだけじゃない、色々と異変が起きる」
「異変とは、魔物が現れたりすることか」
フェンリルの話が現実的なのかわからないが、タケダも興味を持たざるを得ない話だった。
「大量の魔物が現れ町で大暴れする魔王の祝祭もある」
「魔王の祝祭……それは初めて聞いた。つまりはペンダントが原因の異変が起きる。面倒な祝祭だと?」
「タケダ様、そうなると世界に悪影響が出ます。ガイアドラゴン級の魔物が次々と現れたら、世界は破滅します。タケダ様がいれば救えますが」
「あのレベルの魔物が前触れなく現れるのは俺も不自然とは思っていた。魔王が関わるのなら、納得もいく。俺がやるしかないだろう」
魔王の戦いの記憶がまたも蘇るなか、俺は世界を救うのを拒否する気はなかった。
それはハデスが危険で邪悪な思考の持ち主なのを一番知っていたし、戦った経験上、危険さを身を持ってわかっていた。
でも二度と会いたくはないが。
もしかしたらペンダントがスカイ町にあったのかもしれない。
「ご主人様なら救えます。ガイアドラゴンとの戦いを見てわかります。ペンダントが他にもあり、世界に影響しているとしたら、他にも異常な町や国が出ているでしょう」
「放置したら危ないな。スカイ町にペンダントがあったかは確認出来ないが、あった可能性の高いかもな」
「タケダ様、今後は他にもあるかをギルドで聞き込みをして、調査します」
「調査は、キアラに頼む」
冒険者ギルドにはムイト国内の魔物に関する情報が集まる。
あらゆる魔物がいつ、どこの町、山、草原、森やダンジョンと、発見されしだい必ず報告され、情報とした蓄積されていき、危険な地域がないか、魔物が最近になって多く発見されてる地域がないかを探すことで、常にギルドに最新の魔物の動向が把握される。
それもムイト国内の情報だけでなく、他国間でも情報は共有化されていることもある。
例えばキアラ母国のハクサン国のギルド情報も知るのも可能だ。
隣国で何か異常な件があったら、自国にも起こると予想もできるし、お互いに連携もしている。
フェンリル本人は知らないのだが、フェンリルが出現したクエストも蓄積されており、危険種であるから、他国のギルドにも知られているはずだ。
また今回のガイアドラゴンの件も同様で、魔物ランクが高い竜種の発見や討伐も同じく、知れ渡っていると思える。
フェンリルの指摘した魔王のペンダントについては後々にわかるかもとしたところでキアラから、
「ご飯にしたい」
「そうだな、ご飯にしよう」
ご飯の準備を開始してモチを取り出す。
また減るな。
モチを追加して作らないといけない。
■■■■モチのチーズ焼き■■■■
モチ
チーズ
油
鉄板を油で温める。
スライスしたチーズを鉄板で焼く。
少し焼いたら上にモチを乗せる。
中に入れたモチをチーズを巻く。
チーズが少し焼き色がつくまで焼く。
今回も俺が料理を担当した。
メニューはチーズの中にモチを入れて焼いたもの。
こんがりと焼けていてキアラも満足してくれる。
◇コメ農作地
その日はキアラとフェンリルにも手伝いをしてもらい、まだ終わっていないナエを植える作業をする。
農作地は広大であるため、前回のナエを植えたのは、少しであったから、その続きをした。
フェンリルが農作地に入る。
田は水が張っており靴を脱いでもらう。
「フェンリル、ブーツを脱いで入るんだ。濡れてしまうからな」
「はい、ナエを植えるのはだいぶ慣れてきました。もう私がひとりで植えられますよ」
「頼む」
フェンリルは初めての時は慣れていなかったが、二、三回目となると上手く植えられるようになり、作業の時間も早くなっていた。
キアラも同じくブーツを脱いで田に入ると、フェンリルの並んで作業を開始した。
「キアラより私の方が速いわ」
「何言ってるのよ、フェンリルは遅い。尻尾があるから邪魔なのでしょ」
尻尾は水に濡れると邪魔になるから、濡れないように上に向ける。
「邪魔じゃない、無駄に大きな胸も邪魔と思うけど」
確かにキアラの胸は大き過ぎる分、下に重力で下げられ、重さがある分、ナエを植えるのに苦労はしている。
「う〜ん、大きいのもナエをする時には邪魔かな。でもフェンリルだって無駄に大きい」
「ご主人様は大きいのが好きなのよ」
「温泉で私がタケダ様に胸で背中をベトベトにした時は、足りないと言ったわ」
それはモチの在庫が足りない意味で俺は言ったのだが。
「ご主人様は胸が好き。そしてベトベトが好きなんだ。見せてみましょうか」
「フェンリルがやってみて」
フェンリルはご主人様である俺が、大きな胸が好きなのかを試してみようとしたと。
わざと俺の前に来て、前かがみの姿勢を作る。
フェンリルの胸は下に垂れさがり俺の視界に。
田の中でフェンリルの胸が見えそうなのは、ミスマッチしていて、男性から見たらその落差にたいていの男は、フェンリルをガン見しているだろうけど、俺は全く見ていなかった。
なぜなら、フェンリルの胸に興味があるにはあるが、それりよも、ナエの調子や、ちゃんと植えられているか、水の量は多すぎないかなど、コメが収穫出来るかに興味があった。
「ご主人様……」
全く見ようとしない俺の名前を呼んで見てもらおうとしたのか。
「どうした、フェンリル。植える作業の手が止まっているぞ」
「えっと、ご主人様、手じゃなくて他に見てる?」
「他に……手で植えるものだ。手を動かしなさい」
「ご主人様ったら、もしかして見てます?」
「しっかりと見てる。手が止まっている」
俺はフェンリルの胸など全く無視していたから、フェンリルは負けじと胸の谷間をより見えるように、より前かがみの姿勢に頑張った。
前かがみの姿勢はただでさえ辛い姿勢であるから、いっそう前かがみにするのは苦しい姿勢となる。
すると俺はフェンリルの変な姿勢が異常なまでに前傾姿勢であるので、直させといけないも思う。
「フェンリル、その前傾姿勢ではナエを植えるのは難しい。もう少し後方に姿勢を取ること。そうしないと腰を痛める。俺が手伝う」
フェンリルの尻尾を持ち、前傾姿勢を直させとしたから、フェンリルはたまらず声をあげる。
「ああああ! ご主人様、そこは持ってはいけません…………」
「そこを? 姿勢を正しい姿勢にしてあげてる。こうするのが楽になる」
再び尻尾を強く引っ張り、前傾姿勢を矯正したら、姿勢は良くなったが、フェンリルは力が抜けてしまいそうになる。
力が抜けたフェンリルの顔は赤くなり、とても俺の方を向けられなくなっている。
「ああ、ご主人様、そこはダメです」
「後ろに体重を乗せないと腰がダメになる」
「ああ、もうダメです!」
フェンリルは力が抜けしまい、足腰から力が抜けた結果、自力で立つのが困難になり、水田の中に腰から落ちてしまった。
腰まで水田に浸かった体はびしょ濡れになり、上半身の衣服は濡れてしまうと、半透明に透けて見えてしまう。
「大丈夫か」
「はい、大丈夫です…………」
大丈夫ではないが、俺に胸を見せようと変な企みが裏目に出たのは確かだろう。
「ふふふ、びしょ濡れだ」
キアラはびしょ濡れになったフェンリルを、クスクスと笑った。
「笑うな!」
「フェンリル、濡れているが、そのまま作業するんだ。どうせ汚れるから」
「はい、ご主人様」
フェンリルはずぶ濡れのままその日はナエを植えることになった。
しかしキアラが不敵に笑っていたのは気になった。
フェンリルが胸をみせつけてきたのはキアラと関係あるのかな。
よくわからないが、コメの作業をしてもらうのは嬉しいこと。
キアラにも同じだけ作業をしてもらった。




