『※18話 農地を開拓する』
『※18話 農地を開拓する』
◇ムイト国 平原
モチカッターによる大量の雑草を完全に取り除く作業をモチを使いやってしまった。
キアラもフェンリルも圧倒されていた。
モチをカッターのように伸ばして農具を作るのは天才的な感覚であろう。
「見渡す限りの広大な敷地にあった雑草がなくなったのは神の領域です」
「土の敷地になったけど、この後はコメが育つのですねご主人様」
「いいや違う。この土地に大量の水を放水する。コメを育てるには水の畑とする」
フェンリルはこれで終わりと思ってたから、まぁ水を放水すると聞いてもしっくりこなかった。
俺は水を放水することまで計算していた。
「どうやって、水をこの土地に入れるのかしら。水なんてありませんけど」
フェンリルは水のない土地にどうやって水を入れるのか不思議に思える。
俺ならまた何か凄い技をするかとも期待している風に。
「水ならあるだろう」
「ありません」
フェンリルは長い耳をピンとさせて周囲を、首を回して見たけども、水らしきものはなかったから、悩んでいる。
「タケダ様。私を馬鹿にしているのですね。いくら大国の姫だあっても水があるかないかくらいの判断はつきます。全くありません」
どこにも水がないのにあると言う俺に、自分が姫だから馬鹿にされていると思ったキアラ。
嘘をついたわけではない。
「あそこの川だ」
俺は指差した方向には、かなり遠くに川が流れているのだった。
「あんな遠い川。やっと目で見えるくらいの距離です。それが何か?」
「あの川の水を使うというのですかご主人様は。だとしたら大嘘つきと思う」
獣化して走ってもかなり距離はあるのに、そんな川を使うとかあり得ない言い方。
フェンリルの言ったのは真面目な発言で、実際に田植えをする土地から川までの距離は、日本の単位で一キロはあった。
俺に対して厳しい言い方も納得できる。
そこで俺は平然とした顔で言う。
「嘘をついていない。あの川の水をこの土地に持ってくる。アイテムボックス、モチメテオ」
再びアイテムボックスから大量のモチを取り出すとモチメテオを使うことにした。
モチが頭上高い位置まで上昇、上空から一気に地上に落下させる。
モチは地上に当たると大爆裂し、周囲に土煙が大量に舞い上がった。
モチメテオは以前にムイト国の城で使用して、城を半壊させた時に使ったアレだ。
今回は土に落下させて土を爆裂させるのが目的だった。
「ゴホッゴホッ」
「土の埃が飛んできます」
キアラとフェンリルはモチメテオによるインパクトで生じた土煙を吸い込み、咳き込んでしまっても、俺は全く変わりはなかった。
「…………あ、あ、あれは、溝が出来ています。川まで溝が出来ています!」
そして土煙が消えていった後に、モチメテオが落下した地点には一直線の長い溝が掘られてあった。
それは田んぼの土地から川まで繋がってるのをフェンリルが発見した。
「嘘みたい。まるで川が出来た感じ。タケダ様、川を作ったというの?」
「モチメテオを地上に落下させた。雑草を刈り取った田と川を繋げるために、もう一つ川を作った。これで水が田まで来る」
水がないなら川から持ってくればいいと言う、常識ではない考え。
川を作ってしまったあたりは俺しいが、キアラは普通はしないだろうと恐ろしい見方をしてくる。
川の水は長い巨大な溝により繋がると、水は二手に分かれて、田の方にも流れ始め、どんどんと勢いよく流れてきた。
川があるのを始めから知っており、川を作って水を利用するのを計算済みだったにしても、やり過ぎ感は否めないか。
農民のやる行動の範囲を明らかに超えた行動だろうが、水の流れをじっと見ていた。
「み、み、み、水が流れてきます。しかしご主人様、このままではせっかく雑草を刈り取った土地に水が入り過ぎて溢れてしまうのでは?」
「溢れるのは計算済みだ」
「早くしないと溢れます!」
放流されてきた水は田んぼの中に流れ込んできていた。
当然に水は溢れてしまうのは誰が見ても明らかである。
刈り取った意味がなくなってしまうのを俺に指摘した。
しかし俺は全く自然体であせることなく田を見ていた。
なぜ不安にならずに静かに見ていられるかの理由は、こうなることも計算済みだったからに他ならない。
あえて言えばこうなる為に、放流したのだった。
「アイテムボックス、モチウオール」
モチウオールもモチメテオと同じく、以前に使用したもの。
防御壁を作り敵からの物理、魔法攻撃を防ぐ壁の役割があるのは実証済み。
壁を作るため田の周囲を、周囲と言っても広大な敷地の全ての周囲にモチを並べていき、壁を作る。
その為大量のモチを発射し、水が流れてくる速度と競争となった。
もし水の流れが早く満杯になったら田は水が溢れる結果、失敗し田は壊滅し使い物にならなくなる。
タンボと作った川との間には水の調整弁を作ってあるので、水を調節して量を放流できる。
結果が間に合えば適度に水が溜まる田になる。
「敷地の周りに壁が作ってる。けど間に合う?」
「間に合わないかも。ご主人様、頑張って!」
フェンリルから応援を受けて連続でモチウオールを行う。
驚異的な速さでモチを並べていき、敷地面積は小さな町が入るくらいの広さに水が溜まる壁を建造してしまった。
「どうやら間に合ったか」
「凄いですタケダ様!」
キアラは田に尻もちをついた。
あまりにも驚いてエム字開脚している。
「神様です、ご主人様は!」
「俺は神様じゃない。農民だ。これでコメを作る田の準備は整った」
ほとんど水が溢れるかどうかのタイミングで壁の建造に成功した。
水の量はその時にあわせて調節する。
見ていたキアラはヒヤヒヤして手に汗握り、フェンリルに関しては、もはや俺を神様と比較しだす。
人であると思えなくなっていたのに俺からしたら、この程度は朝飯前であり、しっかりと計算した結果で、偶然ではない。
これが神と呼ぶのなら俺は人の姿をした神となるが、神や魔王にも成りたいとか興味はなく、ほのぼのと農民をしていたいと思う。
田に壁を作り水が適度に張られた風景は、俺の言ったとおり、たった一日足らずで農作地になった。
「本当に農作地を作った。ご主人様、これで終わりですか?」
「ナエを植える。ナエはコメが成る種だと思えばいい。ナエを植えることでコメが育ち収穫できる。そうしたらコメを食べたり、モチも作れる」
「タケダ様、ナエとはどうな物かな。見たことありません」
「わからないか。アイテムボックス、ナエ」
農作業の経験のないキアラにはナエという名を初めて聞いたので、種なのか何なのかもわからないらしい。
教えるよりは見せたほうが早いと思いアイテムボックスからナエを取り出した。
「ナエ……小さいです。雑草みたいにも思える」
取り出したナエの形は小さな雑草みたいな感じにキアラには思えて、これがナエなのかと勉強する気持ちで見ていた。
農民ではないキアラは、俺と一緒に行動していくなら農民の勉強が大事だと感じていて、ナエを必死に観察している。
「ナエを田に植えると、月日が経つとコメを収穫できる。そのため絶対に必要な作業だ」
「わかりました。ナエを植えるとコメになるのですね。農民の勉強をするとタケダ様のことが知れて嬉しいです」
「そうか、農民の気持ちを知るのは良いことだ」
「ご主人様、ナエはこの一つしかないのですか?」
「ナエはアイテムボックスに大量にある。キアラとフェンリルには、俺と一緒にドロドロの体で腰を浮かしてもらう。腰を上に向けて運動をする」
「ええっ、腰を浮かして運動を…………ちょっとタケダ様……こんな所で…………」
腰を浮かして運動というフレーズにキアラは恥ずかしそうにした。
俺に対して背中を見せると、恥ずかしそうにしつつ、少し上向きにお尻を付き出してみせた。
働く姫に好感を持った俺は、キアラの作業を見守るとした。