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『※12話 新しい仲間』

『※12話 新しい仲間』



 緊急クエストの報酬を貰い、通常のFランク冒険者が貰う金額ではなく、超高額な報酬を得る。

 規格外な能力、規格外のスキルにギルド内にタケダコールが起きた程だった。


「フェンリルは檻に入れっばなしにするのかい?」


 ダイアがプリズンに入れたままのフェンリルの今後の扱いについて確認をしてくる。

 出すのか、出すならまた暴れるのでは、魔王直属魔族を外に出すのは危険と感じたのかも。


「フェンリルは出す。もう二度と獣に変身はない。ステータス能力は獣時の半減以下、もっと低いだろう」


 半減とは言え、並みの冒険者では勝てないが。

 プリズンの柱を一本開けて、中にいるフェンリルに出るように指示した。

 フェンリルは暴れるのではとみんなが思ったが、静かに出てきた。


「大丈夫なのか出して。いくら変身しなくても魔族なのだろ」

「そうだ、この場で殺してやれよ農民タケダ」


 殺してやれとまで言われたフェンリルは黙っていたが、


「待ってくれ。私は魔王直属幹部であるが、今は気持ちが違う」

「嘘を言うな。最初は静かにしてても、急に人を襲うかもだ!」

「こちらにおられるタケダ様に従います。わたし魔王直属幹部のフェンリルはタケダ様に従い生きていくのを誓います」

「タケダ様に従う……どういった意味か話して」


 全くの予想もしない展開、まさかの従うという姿勢に、キアラは信用していなくて説明を要求した。


「はい、魔王直属の幹部でありましたから以前は。しかし魔王ハデス様は現在はおりません。勇者アマルフィに倒されたのは誰もがご存知でしょう。しかしタケダ様と戦いをして、圧倒的な強さ、圧倒的なスキル、圧倒的なアイテムに関する知識、全てにおいて圧倒されました。その時に思ったのが、タケダ様をご主人様としたい気持ちになったことです」

「フェンリルがタケダ様をご主人様とするの?」

「はい、よろしいですよね、ご主人様」


 フェンリルは俺に圧倒的な敗北を喫し、その時に敗北感から尊敬を抱いていると言った。

 俺は全く考えていなかった展開になった。

 自分の主人様としたいと思ったのは本当なのか。


「俺をご主人にしたいと。これから俺とキアラと一緒に過ごすが、それでもよいか?」

「はい、フェンリルは、ご主人様と過ごします」


 従うといった時は、フェンリルは大きな胸を強調するようにして持ち上げ、頭を下げ、尻尾とお尻を逆に持ち上げ敬意を表した。

 フェンリルが一緒に過ごすと決まり、冒険者ギルドは騒然とした。

 ギルド側もどうしていいやら混乱しだした。

 フェンリルが言い出したわけで、俺も納得していることだし、そもそも俺にしか手に負えないフェンリルである。

 

「おいおい、あのフェンリルを仲間入りさせたぜ農民タケダは!」

「いいのか、元魔王幹部なんだろ、それが普通に町を歩いたりして大丈夫かよ」


 フェンリルが俺の仲間入りしたのを認めたことで、常識的に考えて元魔王幹部なのだから不安になったよう。

 トニックレベルの冒険者を楽勝するフェンリル、いくら俺が側にいるとしても危険なのでは訴えた。


「タケダ、町の人がフェンリルを怖がるかもしれませんし、暴れる可能性もありますが……」

「俺か責任を取る。フェンリルは暴れさせない」

「本当かよ?」


 タケダに確認を取るように冒険者が言いよるとフェンリルは、


「ご主人様の言うことにフェンリルは従います。それなら私に命令してください。私にご主人様へキスをしろと命令を」

「キスを?!」


 フェンリルは納得しない冒険者に何とか認めさせようと考えて、俺に命令をさせる。

 俺の命令を忠実に実行したら、冒険者も納得すると思ったらしい。

 キスをするのを提案したら、キアラは驚いて顔を赤くしていた。


「どうするんだタケダ」

「命令してみろよ」


 トニックがまるで俺が命令しないのをわかって言ったのだが、顔色変えずにフェンリルに向かって命令する。


「フェンリル、俺にキスを」

「はい、フェンリルはご主人様にキスをします」


 俺のとても無理だろうと思われる難題な命令、それは元魔王直属であるフェンリルからしたら、絶対にしたくない、屈辱的な行為。

 人族に屈した行為、服従を意味するわけであるが、フェンリルはそっと俺に寄り、唇に元魔王直属の唇を重ねた。

 ギルドは元勇者と元魔王直属幹部のキスを見たことになるのだが、一瞬の沈黙が起き、誰も声を出せずに唇は離れる。

 命令は終わると、トニックは、


「本当にキスをしやがった……魔王直属フェンリルが農民タケダに従うのを認めるよ」

「フェンリルは俺の仲間とする。意義はないな」

「わかりました、ギルドも承諾します」


 目の前でキスを見せられたら、さすがに受付けも認めざるを得ないし、かといって批判したら逆にギルド側が情けなく思われるのもあり、フェンリルの仲間入りは決着した。

 俺はまさか本当にキスをするとは思わなかったが、別に魔族とキスをしたからどうこうするわけでなく、フェンリルを一緒に連れていく仲間となるのを引き受ける儀式程度と考える。


「人族のご主人様とキスをしたことに、もちろん人族のキスは初めてで、二度と獣の形に成れないとしても、ご主人様にしたい気持ちが大きく、今後は一緒に冒険していくと決めました」

 

「あなたは?」


 フェンリルが俺の横に居るキアラに。

 常に横にいるし、仲間なのは伝わっていたので話しかけたのだった。


「ハクサン国キアラ姫です、現在はタケダ様と冒険してまふ。よろしくフェンリル」

「ええっ、あのハクサン国姫か!」

「まさか、農民タケダはハクサン国のキアラ姫を連れて歩いてるのか」

「農民タケダは何者なんだよ…………」


 キアラはフェンリルに頭を軽く下げて挨拶をしたところ、周囲にいた冒険者がキアラ姫の名を聞いて、ざわついた。

 ハクサン国の姫のキアラ姫、名前は有名であったからで、あのキアラ姫なのかとなった。


「キアラは姫なの?」

「そうよ、ハクサン国の姫。タケダ様に助けてもらい一緒にいる。これからよろしく」

「うん、頭を下げるなんて行動は生まれて初めてした行為。自分が挨拶をするなんて考えても見なかったが、キアラ姫と挨拶してみて、悪い気持ちはなかった。ご主人様がいたから」

「農民タケダ、お前はキアラ姫と魔王直属幹部フェンリルと仲間に……普通じゃねえ」


 トニックはあまりの非常識さ、規格外のパーティーに恐れをなしていた。


「トニックも俺の仲間になりたいのか?」

「バカ言うなよ、冗談じゃねえ、お前みたいな規格外と、フェンリルの化け物と一緒にいたら頭がおかしくなるぜ」

「化け物扱いしたな!」


 化け物と言われてムッときたのはフェンリル。

 今までだったら褒め言葉なのだろうが、今は魔族でも俺の仲間なので、けなされた気持ちになったらしい。

 トニックを軽く睨みつけると、トニックはそれだけで後ろに下がり怖がってしまった。


「フェンリル、あまり怖がらせてはいけない。タケダ様が困ります」

「あっそうか、すみませんご主人様」

「気にしてない。トニックならどれだけ言っても構わない」

「俺に冷たいなあ!」

「タケダ様は、トニックには冷たいの、平原の崖でフェンリルにやられて、死にかかっていたトニックを死んだと思ってそのまま放置して帰ろうとしたのだから」

「それは言うな」


 キアラが真実を話した。  トニック達を死んだと思い放置した話、口止めしようとした時にはすでに遅く、冒険者全員に聞こえていて、ダイアは怒り気味に俺に迫る。

 

「農民タケダを褒めすぎたわ、見殺しにしようなんて最低な男、トニック、スマッシュ、タケダを尊敬しちゃだめよ!」

「ああ、俺もタケダは信用できねえ」

「タケダ、次はこうはいかねえぞ」


 タケダの悪口を言いながらギルドを出ていったダイア、それに続けてけなして去ったスマッシュ、トニック。

 俺は構わない態度でいたが、キアラは申し訳ないなと静かになった。


「タケダ様、なんか私、余計なこと言ったかな?」

「気にするな。俺はどれだけ嫌われても気にしない。それよりキアラもフェンリル、これからは俺の液体の粘着の手伝いしてもらう」

「えぇっ、粘着の…………」

「粘着…………あああああ」


 俺はコメから作るモチの補充、コメの状態から叩いたりして粘着性のあるモチにするのを頼んだ。

 だけどフェンリルは頭の上についた耳が真っ赤になり、キアラは顔を真っ赤にしていた。

 俺は二人が赤くなるのを見ながらギルドを出るとした。

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