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『104話 ゴブリンは裸が好き』

『104話 ゴブリンは裸が好き』



 ゴブリンは隠れていた姿が完全に俺の目に映る形で現れた。


「タケダ様。助けて!」


 伐採したと同時にキアラが助けを求めてくる声が耳に届いた。

 ゴブリンは逃げる選択ではなく、キアラを襲う方を取った。

 どう出るかは俺にもわからなかったが、逃げるにせよ、どちらにせよゴブリンを始末するのは変更はない。


「ご主人様。後はお任せします」

「アイテムボックス、モチネット」


 モチカッターの次に選んだのはモチネット。

 これはモチを網の目状にした害虫を大量に貼り付けたモチだ。

 モチネットに触れた者は、広範囲に効果が及ぶし、逃げるのを困難である。

 キアラに手をかけるゴブリン、フェンリルの体に触るゴブリン、近くにいるの、やや離れた地点にいるゴブリンともども、まとめてモチネットの網にかかった。

 一度網に触れたら、動いても脱出は容易ではなく、三十匹のゴブリンを捕まえるのに成功した。

 モチカッターとモチネットの合わせ技を見た農民のベレヌスは、


「あれだけのゴブリンを簡単に……ギルドマスターの能力は信じられない!」

「俺は凄くない。凄いのはコメ、そしてモチだ。農民には偉大な力があるのをみんな知らない。農民だからと言って魔物に勝てないと思い込んでいるのだ」

「農民が他の冒険者達と比較して、劣っていないと?」

「農民は決して弱い職種じゃない。弱いと思い込んでいる」


 ベレヌスは俺をまるで神を見ているかのような目で見つめた。

 ゴブリンの中で逃げたゴブリンを確認したところ、居なかった。

 全匹確保した。

 とりあえずゴブリンの群れは大幅に減少、もしくはゼロになるはずだ。

 農民や商人が通っても安心して通れる道になったと思う。


「タケダ様〜助けを」

「??」


 もうゴブリンを確保してあるし、何も問題はないと思った時にキアラの助けの声が届いた。

 まだ何かるあるか?

 馬車から降りてキアラを確認しに行くと、


「ああ〜ベトベトになってます。取れません」

「悪かったキアラ。ゴブリンだけを確保する予定だったが……」


 モチネットで広範囲に網にかけた時にキアラも一緒に網にかけていた。

 よってキアラもゴブリンと同じく体はベトベトになり衣服は取れてしまう。

 半分以上は肌を露出していた。

 しかも苦しくて動いたからか、足は広げてとても見ていられない風であった。


「ご主人様、情けないことに魔狼もこの通り……」

「フェンリルもか。悪い……」


 キアラと同様にフェンリルも網に。

 それに四つん這いになったままお尻を俺に差し出している形であった。

 どうやったらこんな風に。

 なせがはわからないが、二人についたベトベトのモチネットを取るしかない。

 かなり苦労し時間はかかったが、ベトベトのモチを取り除いた。


「なぜゴブリンと一緒に。酷いですタケダ様」

「うっかりした」


 俺は言い訳するもキアラは許さない感じだ。


「ゴブリンは全匹捕まえたのですか。しかもモチネットのまま放置しておく気?」

「捕まえた。あのまま放置しておこう。ゴブリンは自力では脱出できない。そのうち死ぬ」

「なんと非常な。でもその非常さは私は嫌いではありません」

「ベレヌス、町に向けて馬車を走らせてくれ」

「はい、マスター」


 ゴブリンを殺して魔石にも出来るが、面倒になるし、たいした金額にもならないので放置した。

 




◇カンプー町


 馬車を走らせてカンプー町に向かう。

 前方に町の風景が見えた。

 普段はモチジェットで移動しているのに慣れているからか、異常なほどに長く感じた。

 町はハクサン国の中では小規模だろう。

 王都のような人口はなさそうだった。

 俺はハクサン国に拠点を置いて勇者をしていたが、カンプー町は初めて。

 まぁ知らない方が俺にも好都合ではあるが。


「到着しましたマスター」

「ここがカンプー町か。キアラは来たことはあるかい?」

「いいえ、名前は聞いたくらいです。のどかでゆったりしている町に思える。タケダ様も初めてかな」

「ああ、初めてだな。俺の場合は知らない町の方が好都合だ。誰も俺を知らない方が」

「そうでしたね」


 キアラはクスッと笑った。


「ベレヌスの取り引き相手に行ってくれ」


 マチに到着後は取り引き相手のところへと行ってもらった。

 そこのところはベレヌスにしか知らない相手であるからだ。

 ベレヌスが向かったのは商人ギルドだった。

 ギルドに行くのが目的か?


「マスター、取り引き相手は商人ギルドで待ち合わせしてます」

「なぜだ?」


 俺はなぜ商人ギルドが出てくるのかを知りたかった。


「はい、農民と農民の取り引きです。しかし取り引きする商品、今回ならキャベツですね、それが数が合っているか、それにお金を支払うかを商人ギルドが立ち会いをしてくれるので、安心した取り引きが成立する。中には、だまして来る相手もいます。お金を払わなかったり、数が少なかったりと」

「なるほど、取り引きを成立させる仲介になるわけか。了解した」


 どうやら商人ギルドが農民と農民の間に入って仲介をしているらしい。

 それは今回の件で初めて知った。

 こうなると、農民ギルドにも出来ることがありそうだ。

 なにも商人ギルドに任せる必要はないが、今は商人ギルドの受付嬢へといく。


「ベレヌスです」

「お待ちしておりましたベレヌス。お相手の方は部屋で待っております。商品を確認します」「商品は外の馬車にある」

「確認します」


 受付嬢が確認をする間、部屋で待つ相手の農民と会うことにした。

 ギルドには立ち会いの部屋が用意されていた。

 

「立ち会いをする部屋か」

「タケダ様、これは農民ギルドにも必要ではないかな。農民ギルドだって立ち会いは行なえます」

「そうだな、参考になる。農民ギルドにも作ろう」


 立ち会い部屋は参考になるので、帰ったら本部にも作りたい。

 相手の農民が部屋で待っていた。

 ベレヌスは五十歳くらいであり、この人も四、五十くらいだろう。


「ベレヌス、良く来てくれたな。キャベツは?」

「あるさ、馬車に。途中でゴブリンに襲われたが無事だった」

「無事で良かった。護衛の方かい?」

「タケダだ。最強の農民だよ」

「俺はタケダ。護衛で来ました」

「バゲットだ、よろしくな。もしかしてあの有名なタケダかい」


 取り引き相手はバゲットと名のった。

 まあ俺しかいないとは思うが。


「タケダ様に間違いないです。競技大会を優勝しました。農民ギルドも作ったのです」

「やはりあのタケダだったか。名前は聞いている。ゴブリンなんて相手ではないでしょう」

「タケダはギルドマスターだ。後は、帰りの馬車で荷物がある。帰りも護衛をお願いしたい」

「何も乗せずに帰るのは惜しい。少しでも馬車に乗せたらいい」


 ベレヌスは帰り道も護衛してとなる。

 もちろん構わないし、何も乗せないのはもぅたいない。


「農地で取れたモモの実がある。モモはどうかな?」

「モモならば、ぜひとも売って欲しい。ムイト国で売れる商品だ」


 バゲットはモモを売るらしく、ベレヌスも購入希望した。

 キャベツは点検されて、数と腐り具合も問題なかったので、取り引きは正常に行われた。

 ベレヌスはしっかりとお金が入り笑顔になった。


「ありがとうギルドマスター。この金はマスターのおかけだ」


 金を持って俺にみせた。


「俺は農民が笑顔になるために始めたギルド。取り引きが成功して良かった。モモはその金で購入するのですよね」

「この金を使う。しかし今日はもう遅い。出発は明日にしたいが」


 取り引きしたのは遅い時間帯だった。

 陽はくれており、宿に宿泊がいいだろう。


「タケダ様。疲れましたから、宿泊したいです」

「宿泊しよう。キアラの体も洗わないといけない。俺がベトベトにしたから、俺が洗ってもいい」


 風呂の熱い湯ならベトベトは落ちやすい。


「た、た、タケダ様。それは困り……ます……」

「なぜ赤い?」


 キアラは洗ってやると言うと、顔を真っ赤にしていた。

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