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幸福の日本人形

作者: ダマスカスダイワ

はじめまして。ダマスカスってかっこいいますよね。響きが

 ある冬の朝の日とある荷物が送られてきた。その日は身を切るような冷たい風が吹き、しんしんと雪が降っていた。今朝も寒い室内を一層冷たく、寒気が満たしていた。


「寒い、何故うちの家には暖房器具がないのか」もちろん金がないからである。部屋の中は途轍もなく質素であった。元々ボロアパートを借りているがこの部屋には生活感がない。


 刃物の類も家電も一切なかった。部屋の中央に寝るのに使ったタオルケットや服を入れるカラーボックス、生活必需品、嗜好品や贅沢を感じられる物は一切なかった。テーブルと何かの雑誌、昨日コンビニで買ったおにぎりのごみが置いてあるだけだった…。彼は思った。(今年は何とか生きたが、来年もこれだと死ぬぞ俺…)彼は実感したこれはやばいと。その時、(ピンポーン)家のチャイムが鳴った。(何だろう?)

 

 ドアを開けてみると宅配のようだ。寒い外から寒い室内に入りダンボールを開けてみる。中から出てきたのは雑誌の懸賞品だったようだ。

  そういえば、数ヶ月前にハガキを送った記憶があった。それは人形だった。正確には日本人形だった。(日本人形って懸賞品にするもんじゃないだろ…)懸賞品としては中々出来がいいのだろう。質感や見た目は中々良かった。とりあえず当たってしまったものはしょうがない。テーブルの真ん中に座らせてみることにした。

 中々生活感が出てきたのではないだろうか。部屋の中は少し賑やかになった気がした。


  さて、同居人?が増えたのだ。張り切って仕事をしなければ!その日はいつもより張り切って仕事をした。…その分ミスも多く出た。


  仕事のミスを怒られていた彼は普段より多く仕事場にいた。暖まっていたのである。普段は真っ直ぐ帰る彼であるが、その日は少し違った。


 タオルケット一枚で眠れる彼も寒かったらしい。それを見かねた同僚がコーヒーを買ってくれた。とても身に沁みる思いである。その日を境に徐々に彼の生活は変わっていった。小さいものは、おかずの一品が増えるものや赤信号に捕まらないこと、大きいものは給料が増えたことや彼女が出来たことだった。


 これもあの人形が来てからのことだった。元々この人形は無病息災健康長寿の霊験あらたかの人形だったのだ。元々は室町時代に作られた人形で人に譲り渡されるたびに元気にしていた。人形が来てからというものの、彼の日々には幸運が訪れ、病や怪我などというものとは無縁となった。


 さて、この人形正しく扱うと本人にとっては大変益である。ただし、幸福と不幸は表と裏の表裏一体。豊かになり、息子に貧しい思いをさせないと、過剰に物を与えていた。


 さて、彼の息子はこの人形を正しく扱えるだろうか?もし押入れにしまったり、捨ててしまったりすると…


 貴方は物を大事にしていますか?物には意思が宿ると言います。もし、粗末にしてしまった時は…貴方に呪いが降りかかるかもしれません。



トイストーリーとかちょっと憧れます。

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