限界
おはようございます。
興味を持っていただきありがとうございます。
『ちょっと、せ、接吻なんて言わないでください』
『何故だ、何故そこまで恥ずかしがる、淫らな行為では無いであろう』
『いや...その・・・あ、あれは!?』
私とヴァロンが話していると、ドラゴは痛みに耐えながらも片膝をつき、再び炎を灯し
此方目掛けて炎を放った。
ヴァロンはとっさに構えなおし、大きく拳を振りかざし正拳突きをすると、空気が拳に圧縮されたように
纏わり付き、腕を伸ばしきった所で、圧縮された空気が轟音を発しながら炎を吹き飛ばした。
収まらない拳圧が、白髪の女性を逸れて壁に穴を開けてしまった。
拳を出したと同時に走り出していたヴァロンは、炎を吹き飛ばした時の衝撃で一瞬視界を遮られるも、そこを抜けると倒れた白髪の女性の姿があった。
駆け寄ったときには、体は私の意思で動かせたが
『急げ、早くしないとこの者は助からないぞ』
体の中に心が二つある奇妙な感じを堪えながら、白髪の女性を抱きかかえ
顔にかかった前髪を軽く払った。
会ってから顔をちゃんと見ていなかったが、とても整った顔立ちで心の中で
私が男だったら...と考えるほどに美しい女性であった。
心臓の鼓動が早くなるのを感じながらも、ゆっくりと顔を近づけ
数ミリと言う所まで着たが戸惑いが出てしまい、これ以上先に行き辛くなっていた。
白髪の女性が起きていたら恐らく『くすぐったい』と言いそうなぐらい口元で深呼吸をし
思いきって、唇を重ね合わせた。
(温かい..しかもこんなに柔らかいんだ...初めてのキスがこんな形なんて..綺麗な人だから少し嬉しいけど好きな人が良かったな)
心に葛藤を抱きながら口を離そうとした瞬間、寝ている女性が勢いよく目を見開き
私の首に両手を回し、ギュッと抱き締められた。
一度離し掛けた唇がまた、たぐり寄せられ、そして私の舌に白髪の女性の舌が絡んでくるのがわかった。
(う...凄い力、離せない 舌が口の中に...強引過ぎるけど、なんか変な気持ち...)
(体が熱い、ボーっとしてきた...このままじゃ...)
意識が遠のいて行きそうになりながらも、強引なキスに体が答えてしまい
何かが私の中に入ってくるのを感じていた。
ヴァロンが力の抜けた私の変わりに体を使い、先ほどまで凄い力で絡んでいた手を離そうとしていたが
嘘の様に簡単に外れ、そっと寝かしつけた。
『ヴァ、ヴァロンさん、ありがとうございます...』
『礼には及ばんが、君はこれから大変だろう』
『え、どういうこ...』
全てを言い切る前に、ヴァロンが入ってきた時と同様の痛みが体を襲い、体の変化が現れそうになったが
私の中で二人が争っているイメージが浮かんだ
『ドラゴ、今は私が使っている、大人しく出て行ってもらうぞ』
ヴァロンの発言と共に、煙になって私の体からドラゴが抜け出していった。
少し疲れた表情を見せながらも
『脆い体だぜまったく、自分の体さえあれば...俺は好きにさせてもらうぞ』
そう言い残して、壁に空いた穴からドラゴは出て行ってしまった。
止めようとしたヴァロンだったが、動きが止まり
『器と言っても、そろそろ限界か...』
先ほどまでの戦闘を見ていた人影達も
『ドラゴ!待ちなさい!』『俺も憑依して食い物を...』『私も男達を...ふふふ』
『にん..じん』『もぉ皆、面倒な事しちゃって、面白そうだし一緒に』『待ってよー!』
各々、穴から出て行ってしまった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
不定期ですがよろしくお願いします。
前書きで書かせていただきましたが、サブタイトル苦しくなってきたら
変えてしまうかもしれないのであしからず汗