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神様達と憑依の器  作者: Y:U)i
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クロガネ ユイナ

おはようございます。

朝早くからご覧になっていただきありがとうございます。

『申し訳ございませんが・・もう手を尽くしてどうにかなる状態では・・・』

『3ヶ月ぐらいとお考えください・・。』

少し太った丸顔の優しそうな医者は、申し訳なさそうに死の宣告をした。


私、黒金 結奈【クロガネ ユイナ】は、今まで何不自由なく暮らしてきた。

学生時代は勉強もある程度でき、交友関係も浅く広く、関わりを持っているつもりだった。


ありがたい事に告白も何度かされたが、全て振ってしまった。

決して高望みをしている訳ではなく、相手がヤンキーグループの方だったり、走り屋のリーダーだったり

常にナイフを持ち歩いてる様な人だったり...少し怖い感じの人に好かれる事が多かったかもしれない。


・・・


いや、怖い感じの人にしか好かれなかった。


正義に目覚め彼らの前で、何か問題を解決した訳でも無く、休み時間は読書をし、放課後は寄り道せず帰宅し休日は友人と遊ぶ..恋人と一緒に・・・なんてリア充までは行かないが、個人的にはとても充実した日々を送っていた。


医者に余命宣告されたのは、私が社会人二年目を迎えた夏の事

大学に入ったものの、昔から夢だったパティシエールも諦め切れず

周りの反対も若干あったが、無事見習いパティシエールとして働く事に


地元から少し離れた、昔から在る、小さなお菓子屋に就職が決まった。

一年目は雑務や補助、接客など面接の際に説明を受け、やる気満々で初出勤を迎えたが

入社してみるとそこは戦場だった。


私の入社二ヶ月前に従業員が数名、同じタイミングで辞めてしまったらしく

補助隊員では無く、メイン戦力として私も導入される事になってしまった。


一年と言う長くも短い期間に、補助もしつつメインもしつつ、とても圧縮された濃度の

高い一年にヘタル余裕も無く、時が過ぎていった。


基礎的な事を教えてもらい、まだまだこれからだ!っと言う時に私は職場で倒れてしまった。

今まで何の異常も無く動いていた体は、内側から徐々に崩壊し、気づいた時には

もう手遅れと言うところまで着てしまっていた。


映画やアニメで見たシーンをまさか自分が体験するとは思っていなく

病室のベットに入って色々考えたが、私の【死】に全く実感が沸かないまま

寝れない夜が続いた。


ある日の夕方、病院内のコンビニで寝れない夜の時間潰しに、本を買って来た。

くよくよ考えていても仕方が無い、そう思った私は普段は読まない、偉い社長さんが書いた

『反発する精神』と言う本を手に取った。


夕食やその他諸々が終り、寝る前にその本を読もうと袋から出したが、とてつもない眠気に襲われ

倒れるようにベットに横になった。


次に目を覚ますと一人の光り輝くローブを着た女性が、病室の端に立っていた。

顔立ちは外人の様にキリッとした表情で此方をジッと見ていた。


周りを見渡すと病室も寝る前と今とで、若干雰囲気が変わり、なんとなく暗く感じたが

思いの他、冷静に自分の死を悟った。


ローブの女性が一歩ずつ近づいてきたが、言葉をかけようにも何故か声が出ず

金縛りにあったように体も動かすことが出来ず、とうとう目の前まで来てしまった。


女性は私の顔に手を置き

『あなたで決まり...無事戻ってこれたら何でも願いを聞いてあげる』


それが私の病室での最後に聞いた言葉だった。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

不定期更新ですがよろしくお願いします。

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