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異世界園芸部物語  作者: ミツユビナマケモノ
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プロローグ

 アールスダム国営学園といえば、世界でも有数の学校である。


 この学校は騎士や魔導士を育成するために作られた学校で、平民でも学べ、卒業すれば将来も約束されるということで、大変倍率が高い。


 そして一番の特徴は「勇者」とよばれる神からの祝福をうけ、とても強くなった若者が王家から入学の権利を与えられるためここで学ぶという点である。勇者は人々の英雄でもあり、その勇者にあやかるためにこの学園に入学する者も少なくない。

                     

                     *


  「はああああああ~~~~、なんとか受かったああああ~~~。」


 僕はいま、アールスダム国営学園、通称アル学の合格発表に来ている。三日前の最終受験を僕も受けたのだ。


 そして結果発表の紙を見て発した言葉がこれだ。


 500人中486番。高くはないどころか、低いが、約一万人の中から受かったのだから、上々だろう。

一回目で受かったのだ。贅沢は言えない。


 受かったということを国の外れの両親に知らせるために手紙をかこうと今泊まっている宿へといそぐ。晴れた空が緊張から解放された目にまぶしい。今日はお祝いに新しい種類のマンドラゴラの種を買うことにしよう。


                      *


 手紙を書いたあと、書いた手紙をだすついでに薄暗い裏路地にはいった。ここは受験生の多いこの時期でもひっそりとしているけれど、いい雰囲気の植物専門店があるのだ。


 店主とはこの二週間の滞在の間にすっかり顔なじみになってしまった。


「こんにちはー!おじさん、受かったよー!」

 

「おや、君かい、そりゃあよかった。これからもこの店をひいきにしとくれ。」

 

「そりゃあもちろん。今日は合格祝いにマンドラゴラコレクションを増やしにきたんだ!」

 

「そうかい、そうかい、わしからも合格祝いでまけとくよ。どれにする?」

 

「うーん。それがマリセル=モルガン種とマグリス=バルクール種と、迷うんだよ。」

 

「それじゃあその二つを500エルでどうだい?」

 

「いいの、ありがとう!!」

 

「合格祝いだ、まいどあり。」


 おじさんは温厚なおじいさん。しかも合格祝いで安くしてくれる優しいおじいさん。またこよう。

           

                      *


 「ちょっと、いいかな。」


 そんな声がかかったのはほくほくしながら店を出ようとした時だった。

 

 「はい、なんでしょう?」


 「きみ、名前は?」

 

 「カミル、カミル=エリシアです。」


 「話を聞いてたけど、カミル君、きみ、植物が好きみたいだね。」


 「はい、大好きです。」


 「それにアル学に受かったみたいだね。」


 「はい。」


 「なら、園芸部に来るといい。きみならきっと楽しめる。」


 そう言ってその人は店を出て行った。薄暗いのでよくは見えなかったけれどすごい美形のようだった。でも誰なんだろう。


 「あの人はアルマス=ハーヴェイ。四年生で、園芸部の部長さ。君と同じく、受験前からここを見つけて以来ずっとここに来てくれている。」


 おじさんが教えてくれた。


                        *


 宿に帰ってマンドラゴラの種を植木鉢に植えながら僕はずっとアル学、マンドラゴラそして園芸部についてずっと考えていた。新しい生活の始まりに、胸が躍っていた。


 「園芸部。どんな所なんだろう。マンドラゴラおけるかな。」


 暗くなってきたので一旦考えるのをやめ、体をぬぐって、その後ふとんにった。


 そして気が付いた。


 「あ、手紙出すのわすれてた。」

 

 明日出すことにしよう。

 


 


 

 

1エルは2円ぐらいです。

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