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音についてのいくつかの話  作者: 西端統宏
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4. 樹木は悲鳴を上げる2

 前稿では樹体と周辺土壌での応力系について、樹体の方に損傷があった場合の音の発生を述べた。もちろん土壌の方に変化がある場合もあり、その例を紹介しよう。


 ある年の台風の後。谷間一杯に異様な音が鳴り響き始めた。木の軋む音ではあるが、音量が異様である。戦闘機に比較的低空を飛ばれた時ほどの音量で、近くの人との会話も音の合間を見計らって行わねばならない。

 「きききぐぐううう」「ききぐううう」「きいいいいい」あちこちから様々に響いてくる様は、聞き慣れた木の軋む音ではあるが、山全体が悲鳴を上げているように感じられた。


 その数時間後、斜面が崩落。ハザードマップで土砂災害の危険性が黄色く示されていた箇所の一部で、それほど大規模ではなかったが、あの音はぱったり止んだ。崩落する土壌に限界まで引っ張られ、根が軋んでいた音であったということが判ったわけである。崩落規模に比べれば、数十倍広範囲にまで轟く音であった。


 昔の人であれば「山が逃げろと叫んでいる」とでも表現したかもしれない。

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