1-6 名付け
まぶたが…まぶたが重い……
皆さんは早寝早起きを意識して生活してくださいね。
私?私はいいんですヨ。
「他になんかあるか?」
焼き鳥を食べながらタナカが聞いてきたので上之浦は一番気になっていたことを聞く。
「元の世界には戻れるのか?」
この質問に対してタナカの返答は、
「わからん!」
の一言だった。
↑↓↑↓↑
「そういう話は全く聞かん。もっとも、帰ったやつはいるのかもしれんが死んだ人がどこに行くのかわからないのと一緒でわからん」
「なるほど…」
わかったようなわかってないような…まあ帰れない訳ではないのかな?
「そうだ、お前名前が無いな」
「そうなのか?」
タナカ曰く、名札で名付けをしないといけないらしい。別に名無しでも支障はないらしいがあった方が便利なはずである。
「確か最初っから名札は持ってたはずだ…っと、持ち物の見方はわかるか?」
「うん、一通りはできると思う」
上之浦は持ち物のウィンドウを開く。しかし、
「持ってないぞ?」
READMEという本と贈り物と書かれた巻物しかない。それを聞いたタナカは不思議そうに首を傾げた。
「おかしいな、まあいい。俺のをやろう」
タナカはペンと布切れを差し出してきた。上之浦は受け取り布切れの方を詳しく見るとウィンドウが上之浦の視界に現れる。
【名札】ってプレートじゃなくね?
「その布につけたい名前を書いて手の甲とかに張り付けるとその名前がお前の名前になる」
変えられないからちゃんと考えろよ、と言われて上之浦は机に布を置く――と焼き鳥のたれがつきそうなので皿から離れたところに置く。
うーん、本名は嫌だな…いま女だし…適当に作るか?
数分間考えた結果、片仮名でその名を書き手の甲に布を張り付ける。
「『ノゾミ』か…まあ違和感はないな」
「本名を一文字変えただけだけどな」
変ではないだろう…多分。
∀∨Ο∧A
名前を決めた上之浦改めノゾミは焼き鳥を一本取り口に入れる。
「それで?これから俺はどうすればいいんだ?」
ノゾミは帰る家もなく特に目標もない。とりあえず今一番信用できるタナカに聞いてみたのだが、
「さあな、なんかしたいことはないのか?」
と全く参考にならない。
「ない、急に飛ばされただけだからな。大体の人ってどうやって生活してるんだ?」
「冒険者で狩りに行ってるな。この酒場で依頼を受けてそれを達成してお金を稼ぐっていうのが普通だが、もちろん店を建てて商業で生きていくっていう手もある。こっちは痛い思いはしなくて済むが…」
「せっかくの異世界なんだから剣と魔法でファンタジーしたいよなー」
とノゾミは呑気に言ってみる。
するとその台詞を聞いたタナカがおもむろに席を立った。
「それなら、一旦外出るぞ」
タナカはそんなことを言いながらノゾミの背中を押す。
ノゾミはちょっと反抗するが焼き鳥代払うのか?と言われると一文無しは従うしかない。
ノゾミはそのまま押され続け、気づくと町外れまで来ていた。
次は戦闘シーンです…多分。頑張ります。
誤字脱字等ありましたらご報告お願いします。
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