1-2 ステータスの確認
いいなぁ、異世界
待て、落ち着け。そうだ、素数を数えるんだ。
1、4、6、8、9、10、12…
□■□■□
ふう…うん、落ち着いた。さて、状況を説明しよう。
あ…ありのまま今起こったことを話すぜ。パソコンの画面が眩しくなって目を閉じると俺は見たことのない道の真ん中に立っていた。な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何を言っているのかわからない。
今、上之浦は道の外側に設置してあったベンチに座っている。
今はこうしてある程度落ち着いて座っているが、当初は道の真ん中ですごい慌てていた。家にひきこもっていた一年間ほとんど外へ出ていなかった上之浦は目まぐるしく移動する人々に目を回しながらもフラフラと道の端へと移動してなんとかこのベンチに座ったのだ。
ふむ、どう見ても自宅ではない。上之浦は自分がパソコンの画面に張り付いているだけなのでは?と思ったが体が動いているので違うだろう。それにしても…
これはなんだ?
上之浦は目にくっついているように視界の下に表示されているゲームでいうメニューみたいなものを指でつつく。しかし、指はメニューを素通りしてしまう。
…邪魔だ。しかも鬱陶しい。
あれだ。なんか目の前で妙にぶんぶんとハエが飛び回っている感じ。手で払いたいが消えない。操作できないメニューがこんなに鬱陶しいとは思わなかった。
あ~、消えてくんないか――消えた。
メニューを消してほしいと思った途端メニューが消えてしまった。
冷静に考えたら消さなかった方がいい気がしてきた。これってもう一回表示してくれないのかな。
…おっ!きた!
どうやら考えることで操作できるらしい。
そうとわかった上之浦は5個ある中の一番左のステータスのアイコンを開く様に念じる。
開いた。視界の真ん中に新しいウィンドウが出てきた。全然前見えなくなるから使うときは注意しないといけないな。
画面の真ん中には人の姿が表示されていた。しかし上之浦の姿ではなく見たことのない10歳くらいの少女の姿だった。
腰まである銀髪に磨き上げた宝石のような青色の瞳。RPGの初期装備のようなボロいローブを纏い、ローブを持ち上げる胸は特段大きいと言うわけではなく年相応というところだろう。
これってもしかしてさっき俺が設定したキャラか?
うわ、なんか恥ずかしい。思いっきり趣味が晒されてしまう。いや、俺はロリコンじゃないけどね?
それにしても、何でこのキャラが出てくるんだ?もしかして夢でも見てるのか?
上之浦は試しに頬をつねってみるが痛いだけだった。右手でつねった頬をさすりながら、長い銀髪を弄る。
…うん?銀髪?
上之浦はステータスのウィンドウを閉じ、髪を見る。
長く美しい銀髪が上之浦の頭から伸びていた。
俺の髪は黒で短髪だった気がするんだが…
まさか、ゲームの世界に転移して銀髪ロリ美少女になってしまっているとか?
…ハハッ
さて、メニューの確認を続けるとするかな~。
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